北朝鮮崩壊説は、前世紀から起こっては消えてきた。だが'18年は、金正恩政権が、かつてない危機の時代を迎える。暴発か、爆撃か、それとも……。日中韓の専門家が占った金正恩政権の最期と次期政権。
まずは2月に核実験
12月12日、京都の清水寺で、恒例の「今年の漢字」が発表された。清水寺の森清範貫主が、巨大な筆を振り上げて綴った。
「北」――。
集まった人々の間で、大きなどよめきが上がった。北朝鮮の核とミサイルの脅威が高まった年という意味だった。
実際、'17年は北朝鮮の脅威が、最高潮に上昇していった一年だった。
2月13日にクアラルンプール国際空港のロビーで、金正恩委員長の異母兄・金正男氏が毒殺され、世界が震撼した。
以後は5月、8月、9月と3度にわたって、IRBM(中距離弾道ミサイル)「火星12」を発射。日本列島の上空を通過したことで、日本にも緊張が走った。
また7月には、2度にわたってICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星14」を発射。11月29日には、アメリカ大陸全土をカバーする射程1万3000kmのICBM「火星15」の発射実験も行った。
さらに9月3日には、6度目となる過去最大規模の核実験を強行――。
まさに一難去ってまた一難の、多難な北朝鮮情勢だったが、'18年はいったいどんな年になるのか?
「米朝開戦となる確率は百パーセントです」
こう断言するのは、元外交官の原田武夫氏だ。原田氏は、小泉政権時代に外務省北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)として訪朝し、拉致問題の解決に尽力した北朝鮮問題の専門家。
現在は、シンクタンクIISIA(原田武夫国際戦略情報研究所)を立ち上げ、国際問題について数々の予測や提言を行っている。
原田氏が続ける。
「'17年の年末まで、米中だけでなく、最後にはフェルトマン国連事務次長までもが訪朝し、北朝鮮と交渉の努力を重ねてきました。しかし効果はなかった。
そこでトランプ政権は、北朝鮮との交渉は失敗したと判断。'18年は、唯一残されたオプションである軍事オプションに動くのです」
12月11日と12日、平壌で軍需工業大会が行われ、金正恩委員長は、「わが国を世界最強の核強国、軍事強国として、さらに輝かせていく」と宣言した。
この大会は、「核戦力の大業の完成宣言」が目的だったが、アメリカではむしろ、「クリスマス核実験説」まで飛び交っているのだ。
北朝鮮は金正恩時代に入った'13年と'16年、「光明星節」を控えた時期に核実験を強行している。その前例にならえば、'18年2月16日の前に核実験を行うことは十分考えられる。