枝野代表は「強気」でも
立憲民主党が存在感を強めている。日本経済新聞の世論調査(11月27日付)によれば、立憲の支持率は14%と他の野党を圧倒した。だが、野党勢力の行方を左右するのは、日本共産党ではないのか。
立憲の支持率14%は野党の中では断トツだ。共産が3%、日本維新の会と希望の党がそれぞれ2%、民進党が1%、社会民主党と自由党が0%にとどまり、他の野党の合計よりも立憲が1党ではるかに上回っている。
そんな高い支持率を背景に、立憲はこのところ、強気の姿勢が目立つ。
たとえば、地方議員について枝野幸男代表は「立憲に入党を希望するなら年内に決断を」と迫り、希望の反発を招いた。枝野氏は産経新聞とのインタビューで「希望との再合流なんてありえない」と断言している(http://www.sankei.com/politics/news/171204/plt1712040004-n1.html)。「枝野氏は希望潰しを狙っているのではないか」という憶測を呼んだほどだ。
支持母体である連合の神津里季生会長はたまらず、枝野氏に「与党に漁夫の利を与えないで」と事実上の苦言を呈した。枝野氏は野党内の数合わせよりも、明確な理念と政策が重要と考えているようだ。他の野党との連携に冷ややかなのも、それが理由だろう。
ところが、これまで何度も指摘してきたように(たとえば8月11日公開のコラム、http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52562)、枝野氏はつい4年前まで、憲法9条の改正を唱えていた。それが、いま「安保法制が違憲だから」という訳の分からない理由で9条改正に反対している。
百歩譲って安保法制が違憲だとしても、それが9条改正に反対する理由になるのか。たとえて言えば、家の土台が揺らいでいるのを認めておきながら(だからこそ、9条改正を唱えたはずだ)「いまの部屋の形が変だから家の建て替えに反対だ」というようなものだ。まったく理由になっていない。
部屋の形がおかしいなら、まず家を基礎から建て替えたうえで、部屋の形を変えればいい話である。これだけでも、私は枝野氏の政治姿勢に疑問を抱く。枝野氏が2013年10月号の月刊『文藝春秋』に発表した憲法改正私案と、枝野氏の変節に対する批判はいま発売中の『月刊Hanada』1月号で詳細に述べたので、そちらも参考にしてほしい(http://www.asukashinsha.co.jp/book/b333321.html)。