2016.02.26
# 本

医師が教える!健康的に痩せる糖質制限ダイエット「4つのルール」

脂肪を燃焼させる「ケトン体回路」とは
[Photo:iStock]

(文/斎藤糧三)

「糖質は必要栄養素」は都市伝説!

厚生労働省は、糖質は必須栄養素ではないことを「日本人の食事摂取基準(2015年版)で認めました。これは新たに加わったわけでなく、以前から「1日100g必要と推奨されるも、糖新生によって糖がつくられるので、それは真に必要な量ではない」とされていたのです。

たとえ食べ物から糖質を一切摂らなくても、ヒトには糖新生というシステムが備わっているので、低血糖になる心配はありません。こう説明しても「いや、糖質が切れると頭がフラフラしてしょうがない。低血糖だ」と言い張る人がいます。

それは、糖質を摂るから。糖質を大量に摂ったこと(本人は大量だと思っていないかもしれませんが)によって、血糖値がドーンと上がってインスリンが追加分泌され、その勢いで今度は血糖値がドーンと下がってしまう。はい、「低血糖」のできあがりです。

それに、脳のエネルギー源は、糖だけではないことがわかってきたのです。

「えーっ、脳細胞はブドウ糖しか使えないのが常識でしょ!」

そんな声が聞こえてきます。確かに、昔からそう言われていましたし、医学書にもそう書かれていました。定説は、明らかに間違いだったというしかありません。このパラダイムチェンジを受け入れないと、話は先に進みませんのでご注意を……。

そもそも「脳は糖しか使えない。だから糖質は必ず摂取しなければならない」という通説(今となっては俗説、いや都市伝説!)は、どうして生まれたのでしょうか?

脳には、血液脳関門(ブラッド・ブレイン・バリア)という関所のような場所があり、異物が侵入できないシステムになっています。エネルギー源のうち、ここを通過できるのはブドウ糖だけ。脂質やタンパク質は分子が大きすぎて通れない。ここから「脳のエネルギー源は糖質だけ」という誤解が生まれたと推測できます。ところが、近年の研究で、脳の関門はブドウ糖以外にも、通過できる物質があることがわかってきました。

それが「ケトン体」です。

やっと主役が出てきました。これがケトジェニックダイエットのネーミングの元になっているもので、ヒトのカラダにとても有益に働く物質です。脳の関門を通過できるのですから、脳のエネルギー源になれることは確実です。

ケトン体は、脳だけでなく体内のあらゆる細胞でエネルギーとして使えることがわかってきました。「糖に代わるエネルギー」と言っても過言ではありません。そしてむしろ、人間の本来のエネルギー源はケトン体なのではないだろうか?という説まで飛び出してきているのです。

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