『相棒』新シリーズが今日から始まるけれど・・・
テレビ各局が競って「警察礼賛」番組を作るのはナゼ!?
信頼回復のためにテレビを利用?
今日から、人気ドラマ『相棒』の新シリーズが放映される。楽しみにしてるファンも多いことだろう。最近は、ドラマだけでなく民放各局が競うように「警察密着ドキュメント」を制作している。
その草分けは「川口浩の探検隊シリーズ」を生んだ『水曜スペシャル』(1974~86年、テレビ朝日)の人気企画の一つ「警視庁潜入24時」だ。昔はテレ朝の「オリジナルコンテンツ」だったが、現在、似たような警察ドキュメントが全民放で放送されている。
どうしてブームが続いているのか? その理由は、一定の視聴率が見込めて、しかもコストパフォーマンスが高いからだと聞く。
密着取材は長時間となり、難作業となるが、相手は警察だから、取材協力費等は発生しない。スタジオもセットも要らない。タレントが出演しないので、ギャラも不要。制作者側にとって都合の良いことだらけなのだという。
警察側にも損はない。警察が、ひたすら正義の味方として描かれるのだから。全国約29万人の警察官たちの士気高揚につながるだろう。リクルート活動にも好影響をもたらしているに違いない。これほどのPRはないはずだ。
だが、ドキュメントは本当に、現代の警察官たちの素顔を表しているのだろうか? もちろん、圧倒的多数の警察官たちは職務に忠実で頼もしい存在であることは分かっているが、最近の実態はドキュメントとは異なり、あまりにも不祥事が目立ち過ぎる。ドキュメントと実態の間に隔たりがあるように思えてならない。
ドキュメントを見る限り、警察官たちが事件を起こすとは到底思えない。「光」の部分ばかりが紹介されているからだろう。不祥事を防げない体質や構造である「影」が映し出されていない。本来のドキュメントとは、「光」と「影」の両面を捉えるものだが、現状は看板倒れになっているのではないか。
1月には大阪府警阿倍野署巡査長だった水内貴士被告(27)が、妻の存在が発覚したため、結婚前から交際していた女性(当時23)を殺害。あまりにも身勝手な犯行だった。
9月には埼玉県警浦和署地域課の巡査部長だった中野翔太被告(31)が元タクシー運転手(当時58)を殺した。金目当ての強盗殺人であり、凶悪犯罪だ。その動機は不倫相手との交際で金が必要だったためで、やはり身勝手極まりない。
殺人以外の不祥事まで挙げ始めたら、キリがない。警察官の任務とは、まずは市民の生命や身体、および財産の保護なのだか、真逆の警察官の出現が後を絶たない。ドキュメントとは、まるで違う。