消費増税と財務省人事の関係

悲願の増税に向けて
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財務省の悲願・消費増税

昨年夏の財務省人事は、木下康司事務次官が退任し後任に香川俊介氏、主計局長に田中一穂氏といった布陣だった。これは、8%から10%への消費増税の決定にむけて、盤石の増税人事のはずだった。

ところが、いま振り返ってみると、安倍首相はその時点で秋の消費増税延期、冬の解散総選挙の構想を描いていたようだ。

そして今夏、消費増税ができなかった香川氏が1年で退任し、後任には田中氏が就任。財務官に浅川雅嗣国際局長、国税庁長官に中原広理財局長、主計局長に福田淳一官房長など、最新の財務省幹部人事が固まった。

財務省の悲願は、'17年4月に予定されている8%から10%への消費増税をなにがなんでもやり遂げることだが、今回の人事は最強の布陣となっているだろうか。

まず、ポイントは田中次官。安倍首相は田中氏を次官にするとしばしば漏らしてきたが、これは田中氏の力量を買っての発言ではなく、安倍首相自らの政治力を示したい意図が透けて見える。

思い返せば、財務省のいうことを無視した政治家は、これまでたった一人しかいない。グリーンカード(少額貯蓄等利用者カード)をつぶした故金丸信氏だ。金丸氏はその後、税法違反で政治家生命を絶たれた。その両者に関係があるのかどうかは定かでないものの、政治家は財務省権力の強大さを思い知ったはずだ。

しかし、安倍首相は、消費増税延期の解散総選挙で大勝し、財務省にリベンジの隙すら与えなかった。

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