2015.06.02

田村耕太郎さん【後編】 「ASEAN6億人、インドと中国を入れて30億人の巨大市場をどう考えるか、です」

『アジア・シフトのすすめ』著者に訊く
[左]藤野英人さん [右]著者の田村耕太郎さん

【前編】はこちらをご覧ください。

根無し草がマジョリティになる時代

藤野 そもそも、田村さんがアジアをベースに世界を考えるようになったきっかけは何だったんですか?

田村 まず何と言っても、子供のおかげですね。3歳になったばかりというところですが、この子に残してあげられるのは教育くらいだなと思って。この子が大学を出て就職するころ、つまり2035年くらいの世界を予測して、逆算して、その時代にふさわしい教育を与えてやろうと思ったんです。ところが・・・20年後なんてまったくわからない。

藤野 わからないですよねえ。

田村 どの国がどうなっているのか、明言できないことばかりで。それだったら、どこの国でも対応できるような力をつけさせてあげたくて、シンガポールで英語と中国語、そして多様性に囲まれた環境をと思ったんです。だから、この本は自分の子供のことを考えて、未来を考えて、アジアを考えて書きました。

藤野 なるほど、そういうことなんですね。この対談を読んでいる方にもぜひ田村さんのFacebookをフォローしてほしいですね。ときどき娘さんや教育のことを書かれていて、あれを見ると考えさせられるんですよ。なんというか、毎日マルチカルチャーの中でがんばっているのは娘さんですが、それ以上に、親である田村さんがたくさんのことを学んでいるように見えて・・・。

田村 あはは、そうなんですよ。僕、性格的に、自分はオタクじゃないだろうと思っていたんですけど・・・最近、「いや、オタクかもしれない」と思うようになりました。ふと気づくと、娘と教育のことばかり考えている。親を集めてディスカッションしたり、自然と学校に足が向いて、娘に煙たがられたり(笑)。勉強という意識もないくらい楽しいんですよね。

藤野 何がそんなに楽しいんですか?
 

シンガポール発 最新事情から説く アジア・シフトのすすめ』
著者= 田村耕太郎
PHPビジネス新書 / 定価983円(税込み)

◎内容紹介◎

アジアの中心・シンガポールに居を移した筆者は、まずは豊富なデータを用いて日本の近未来を予測。その内容は悲観的ともいえるが、同時に「実は日本は相変わらず運が強い」ことも説く。なぜなら、日本のそばには世界最大の成長エンジンであるアジアがあるからだ。日本にもアジアにも「いいところ」と「課題」がある。両者の長所と短所を冷静に把握したうえで、アジアの熱風を感じつつ、時代に合った形でアジアの活力を取り入れる――そのための最高の素材として本書を活用してもらいたい。 日本でこれから起きようとしていること。アジアで今、起こっていること。読めば、これから勝負すべき舞台が見えてくる!

⇒本を購入する AMAZONはこちら / 楽天ブックスはこちら

関連記事