中国が提唱したアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加問題をめぐって「日本は孤立した。いつまでも米国追従でいいのか」といった批判が出ている。欧州はじめ50ヵ国近くから参加表明が相次ぐ一方、日本は米国とともに参加を見送ったためだ。この問題をどう考えるか。
不参加批判は大勢順応主義
私は先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42638)で「左翼勢力はかつての軍国主義者たちの思考様式とそっくりだ」と指摘したばかりだが、日本のAIIB不参加を批判するリベラル左派の論調も似たようなものだ。上っ面だけをみて、厳しい現実をきちんと見ようとしない。それから大勢順応主義である。
また東京新聞の社説をとりあげて恐縮だが、典型的で分かりやすいから、仕方ない。東京は社説で次のように書いている。
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米国偏重で「アジアで孤立化」した日本が、アジアのリーダー的な地位を中国に奪われつつあることは明らかである。(中略)懸念があるのなら、参加して他の国々と連携しながら改善の道を探るべきである。(中略)対中国の緊張関係にとらわれ、世界の動きが見えていなかったのではないか。米国とともに行動すれば大丈夫という時代ではなくなったことを理解すべきである(3月31日付。http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015033102000149.html)。
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もう1つ、毎日新聞も紹介しよう。
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政府は参加を全面否定しておらず、将来的な加盟の余地を残している。それなら、組織の枠組み作りから関与し、自国の提案が反映されるよう、内から発言する作戦の方が賢明だったのではないか。(中略)米国とは違い日本はアジアの国である。AIIBに限らず、今後このような中国やインドが主導する構想と向き合わざるを得なくなろう。「慎重」だけでは戦略にならない(4月1日付。http://mainichi.jp/opinion/news/20150401k0000m070155000c.html)。
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ようするに両紙は「日本は世界の流れが見えていない、米国と歩調をそろえるだけではダメだ。AIIBに参加せよ」と主張している。リベラル派の2紙が同じ主張であるのは偶然ではない。後で述べるように、思考パターンが同じだからだ。