厚労省「村木公判」で暴かれている大阪特捜の「壮大な虚構」
東西で民主党を狙った検察の思惑大阪地検が窮地に立っている。昨年、地検特捜部が総力をあげた郵便不正事件の村木厚子厚生労働省元局長の公判で、「無罪証言」が相次いでいるのだ。
2月8日、第5回公判に証人として出廷した元上司の塩田幸雄障害保険福祉部長は、捜査段階での供述を覆し、「村木課長(当時)に指示したことはない」と言明。
検察が描いた事件構図は、「壮大な虚構ではないかと思い始めている」とまで言った。
2月15日、第6回公判で証人となったのは、村木被告の元部下の村松義弘元係長だった。その村松氏も「指示を受けていた」という捜査段階の調書を否定、「村木被告は冤罪ではないかと思う」と言い切った。
「虚構」に「冤罪」である。証拠採用された「供述調書」は重要な意味を持つが、偽証罪に問われる公判での証言も重い。今後も「無罪証言」の続出が予想され、早くも「検察は公判維持できるのか」といった声があがっている。
事件を振り返ってみよう。
大阪地検特捜部が、障害者団体向けに安く郵便料金を設定した「低料第三種郵便制度」を悪用、「白山会(認可取得時は凛の会)」という団体から名義を借りて、通常、120円の料金を8円にしてボロ儲けしていた広告代理店の社長らを逮捕したのは、昨年2月のことだった。
ここでも崩れた検察の捜査シナリオ
特捜部は、脱税事件の捜査段階で、「政界へとつながる事件」であることに気づき、大久保弘道特捜部長以下9名の検事が、総がかりで取り組むことになった。「白山会」に障害者団体としての実績はない。だが、厚労省はなぜか「証明書」を発行、そこに石井一参院議員の影がチラついていた。
「凛の会」を設立したのは、石井事務所を始め政界に各種パイプのある倉沢邦夫被告である。嗅覚の鋭い政治ブローカーである倉沢被告は、120円と8円の差額に目を付け、「認可団体」となるべく工作、旧知の石井議員に口利きを依頼、それが功を奏したのか「凛の会」は厚労省から「低料第三種郵便制度」の適用を受ける「証明書」を、2004年5月に受け取った。