渡邉美樹インタビュー「なぜ経営者が東京都知事を目指すのか」
都知事候補に60分、まるまる聞く 第1回 聞き手:長谷川幸洋
長谷川: 皆さんご存知だと思いますが、ご紹介します。ワタミ株式会社前会長の渡邉美樹さんです。
渡邉: はい。1週間前に会長をやめました。
長谷川: 渡邉さんは、外食グループのワタミの他、介護、医療、農業、教育などを手がけ、カンボジアやネパールでも小中学校140校、さらに孤児院まで手広く活躍しています。渡邉さんの著書『東京を経営する』も読みました。今日はまず、どうして東京都知事選に立候補されたのかを聞かせてください。
渡邉: 実は私は、自分の人生を3~4分割して物事を考えているんです。25歳までが自分で学ぶ期間、25~50歳までが、「お金の入る『ありがとう』」を集める期間、そして50~75歳までが「お金の入らない『ありがとう』」を集める期間と自分で決めています。ですから、50歳で会長になることはずいぶん前から決めていたんです。
そして会長になった後、今ご紹介いただいたように、カンボジアやネパールで学校や孤児院を作ったり、日本中の若者たちの夢を応援したり、森を作ったり、学校や病院を経営するなど、ワタミの経営以外のことにも力を入れてきました。それを1年半ほどやる中で、「この国の政治にかかわらなければ、より多くの人の幸せにかかわることができない」と思うようになったんです。
介護事業で感じた縦割り行政の限界
長谷川: 著書の中で、非常に興味を持ったのは、「国土交通省が管轄する高齢者専用賃貸住宅と、厚生労働省が管轄する24時間体制の在宅介護がドッキングしたら素晴らしいと思うけれど、なかなかできない」と書いています。これはまさに、霞ヶ関の縦割り体制の弊害だと私は思ったのですが、渡邉さんは他の部分でも同じようなことを感じましたか?
渡邉: はい、ありますね。私は介護付有料老人ホームを61棟経営しておりまして、4000人以上の方をお預かりしています。でも、私たちの施設に入られる方はやはり恵まれている方です。他の施設に比べれば安いですが、500~700万円のお金をいただいて、毎月18万円くらいのお金をいただいています。これを、何とか安くならないかと考えたんです。