国債格下げなど慌てる必要なし!格付け会社の「いい加減な実態」
「増税の催促」なんてとんでもない先週から国会がはじまった。その最中の1月27日、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本国債格下げを発表し、話題が集まった。
私は財務省時代に国債課に勤務したこともあり、格付け会社が何かをよく知っている。だからこそ、格付け会社が公表する意見があたかも価値のあるかのように大々的に報道されることに、かなり違和感を持っている。分析もそれほど深いものではないし、マスコミが関係者からちょろちょろっと話を聞いてまとめた記事と大差ない。
先般の世界金融危機でも格付け機関の意見はまったくあてにならないことがわかった。米国で格付け機関の幹部たちが自分たちに責任はないと逃げ回るテレビシーンは、一般の国民の記憶に残っているだろう。
私の国債課時代の経験でも、いい加減な事件があった。国債格付けは債券回号ごとに行われるのだが、資金調達不要になって休債したのに格付けされ、世界に配信されたのである。要するに格付け会社は何も見ないで格付けしているのだ。私が指摘してはじめてその醜態が明らかになった。
さすがに、そのときは米国の本社からお偉方がわざわざ日本まで謝罪に来た。ついでなので、国債の格付けをするときには予算書を読んでいるのかと質問したら、読んでいないという返事だった。それではきちんとした財務分析は行えるわけがない。
今回の格付け機関による国債格下げについて、菅直人総理が「疎い」といったので、マスコミが取り上げたのかもしれない。
もっとも、菅総理は、2002年の民主党幹事長時代に、当時、今回と同じように格付け機関による国債格下げが行われた時に、小泉純一郎総理や塩川正十郎財務相を「能天気」といって批判している。そのブログは今でも残っている。
そうこうしているうちに、与謝野馨経済財政担当相は27日夜、BSフジの報道番組で、格付け引き下げたについて、「(消費増税を)早くやれという催促だ」と語った。まさに「増税催促」の我田引水的な発言だ。