「再婚は、してもしなくても…」【池袋暴走事故】の被害者遺族、松永拓也さんが語る「これまでの5年間」と「今後の生き方」
「池袋暴走事故が1つの区切りを迎えた……飯塚さんの死は、それくらい大きな出来事だったかもしれません」
2019年4月、東京池袋で乗用車が赤信号を無視し暴走。横断歩道で歩行者らを次々とはね、9人が重軽傷を負い、松永真菜さん(当時31歳)と長女の莉子ちゃん(同3歳)が死亡した。メディアでたびたび報じられた痛ましい事故は、高齢ドライバー対策を強化した2020年の道路交通法改正のきっかけにもなり、世間の関心を強く集めたといっていい。
今年11月、その事故が再び注目を浴びる出来事があった。事故を起こした旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三元受刑者(93歳)が、老衰によって死亡したことが報じられたのだ。
池袋暴走事故の被害者遺族、松永拓也さん(38歳)
事故で妻と娘を失った松永拓也さん(38歳)に、飯塚元受刑者の死について問いかけると、少し間を置いた後で冒頭の言葉が返ってきた。現在、会社員として働きながら、「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」の副代表理事を務め、交通事故の防止や犯罪被害者支援の講演などに尽力する松永さんは、2019年春、突然「被害者遺族」となり、その後の人生が一変した。
最愛の家族を失っただけでなく、時には誹謗中傷被害にも遭い、命の危険を感じることも少なくないという松永さん。そんな彼は、「池袋暴走事故」が1つの区切りを迎えた今、何を考え、そして、今後どのように生きていくのか。