2024.06.20

ロシア非難決議への賛同国数が「激減」する…ここへきて「ウクライナ」の求心力が「急低下」している「3つのワケ」

アメリカ大統領選までのタイムリミットが迫るウクライナ

ロシア・ウクライナ戦争の戦況は膠着している。アメリカなどに提供された兵器をロシア領内の目標に対して私用することが「許可」されたといったニュースもあったが、劇的な変化をもたらす要素には見えない。ゼレンスキー大統領は、イタリアのG7会合やスイスで開催された「平和サミット」を続けてこなしたりして、外交を通じた支援の維持拡大に向けた努力にも余念がない。だが支援国と懐疑的な国の構成や様子に変化はなく、こちらも膠着状態だ。

そもそも昨年夏前から「反転攻勢」を仕掛けたのは、アメリカの大統領選挙の選挙戦が本格化する前に、戦場で武器支援の結果を出しておきたかったからだろう。その成果は芳しくなく、責任を取る形でザルジニー総司令官が更迭された。ただしこれは政策の変化を意味せず、戒厳令を根拠にした大統領任期の無期限延長状態に入ったゼレンスキー大統領は、従来の姿勢を取り続けている。

PHOTO by Gettyimages
 

果たしてこの状況は、いつまで続くのか。おそらく大きな転機は、アメリカの大統領選挙後に訪れるだろう。突発的事態がなければ、ウクライナ向け支援の停止を訴えているトランプ前大統領が、返り咲く。武器支援の中核を担うアメリカからの支援の停止は、戦況に影響を与えるだけでなく、アメリカの同盟諸国によって形成されているウクライナ支援の国際体制にも、大きな動揺をもたらすだろう。

ゼレンスキー大統領は、トランプ前大統領への批判的な感情を隠しておらず、トランプ大統領誕生に備えた保険を用意している様子がない。かつてはトランプ氏の弾劾裁判にまで展開したスキャンダルがあった。両者が良好な関係を築けそうな兆候がない。プーチン大統領は、そのことを計算に入れているだろう。そして他の諸国の指導者もそうだ。日本はどうだろうか。

関連記事