開成東大卒の「天才AIエンジニア」が都知事選出馬…オードリー・タンに背中を押されて決めた「圧倒的危機感」の正体

東大卒AIエンジニア・起業家・SF作家。

そんな異色の経歴を持つ東京都知事選候補が、出馬の表明と同時に知識人からの注目を集めている。

安野貴博氏、33歳。

「テクノロジーで誰も取り残さない東京へのアップデート」などユニークな政策を掲げる彼は、一体どんな人物なのだろうか。

取材を通じて、驚くべき経歴と出馬にかける思いが明らかになってきた。

都知事選に出馬を表明した安野貴博氏

9歳の頃、独学でプログラミングを学ぶ

まずは「天才AIエンジニア」と呼ばれるに至る経歴から見てみよう。

安野氏は9歳の頃、独学でプログラミングを始め、17歳にして初めてのWebサービスをリリース。未来予測の確率論「マルコフ連鎖」をベースに開発されたもので、すでに“超高校級”のエンジニアだったことがうかがい知れる。

開成高校を卒業後は、東京大学に進学。人工知能研究のエキスパートが集まる松尾豊研究室で学びながら、いくつものサービスを開発する。国会議員の全発言をAIに学習させ、議員ごとの思想信条を発言から解析させた際には、議員秘書の間で「先生の知能がバレる」と永田町に激震が走った。

 

その後、外資系コンサルティング会社ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)を経て、AIスタートアップ企業を2社創業。経営者兼エンジニアとして手腕を発揮する一方で、2022年には「ハヤカワSFコンテスト」で優秀賞を受賞し作家デビューを果たす。同時期に、世界最高峰の芸術大学「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」で準修士も取得し、AIを使ったメディアアーティストとしても活動している。

もはや存在そのものがSFめいている安野氏だが、なぜ今回の都知事選に出馬を決めたのか。その理由は、安野氏が持つ圧倒的危機感にある。

「いま、私たちは岐路に立たされています。テクノロジーには『いい使い方』と『悪い使い方』があります。テクノロジーをうまく使えば、社会がより発展していくのに、フェイクニュースなどの『悪い使い方』のほうがはびこっている。テクノロジーを良い方向に使えなければこの国は終わります」

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