その名も「プロジェクト・シンジュク」
いまフランスでは、パリなどにある主要ターミナル駅を再開発するプロジェクトが進められている。コードネームは「プロジェクト・シンジュク」。そう、東京の新宿駅をモデルとした駅の大改造が進行中なのだ。
このことは、朝日新聞デジタルが2016年5月3日付の記事「仏の駅再開発、『シンジュク』が手本 パリ主要駅で計画」でも報じている。この記事では、パリのサンラザール駅における再開発の成功を機に、パリの主要ターミナル駅などを再開発するプロジェクトが始まったと記されている。
では、この記事の公開から3年経った現在、パリの主要ターミナル駅はどのように変わったのだろうか。そもそも新宿駅のどのような部分をモデルとしたのだろうか。実際に現地に行って、それぞれの駅を歩いてみた。
本題に入る前に、パリの主要ターミナル駅について説明しておこう。
よく言われることだが、東京には東京駅があるのに対して、パリにはパリ駅がない。その代わり、パリには「北駅」「東駅」「サンラザール駅」「リヨン駅」「モンパルナス駅」「オーステルリッツ駅」の6つの主要ターミナル駅があり、市街地に分散して設置されている。東京で言えば、JR上野駅の地平ホームのように、線路が行き止まりになった駅が6つバラバラに存在しているイメージだ。
先述したサンラザール駅は、パリにあるもっとも古い主要ターミナル駅で、今から182年前の1837年に開業した。「睡蓮」などの作品で知られる印象派の画家・モネが、最初の連作の題材に選んだ場所としても知られている。
ここは、フランスで初めてショッピングモールを併設した駅でもある。そう、新宿駅などで展開されている「エキナカビジネス」を最初に取り入れた駅なのだ。ショッピングモールは、2012年に開業した。
しかし、ショッピングモールが入るための「駅ビル」を新設したわけではない。サンラザール駅の前に立っても、そこには19世紀の姿を留める駅舎があるだけ。大小さまざまなビルに囲まれてゴチャゴチャした新宿駅とは対照的だ。