琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

「個人サイト『大国の興亡』」に関して

http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20050908#p6
↑のコメント欄で、id:AFCPさんが書かれていたことに関して、僕が考えたことを書きます。いや、最初に読んだときは、「それはちょっと、考えすぎなんじゃないかい?」と思ったのですけど、でもまあ、これもひとつのきっかけなのでしょう。

僕の中では、あの「大国の興亡」の内容は以前から頭の中にあって、そのうち文章にしてみようと思っていたものです。そのきっかけというのは、ある「有名個人サイト」における(とか書くと、また「犯人探し」をはじめる人が出てくるのであえて書きますが、id:TomoMachiさんの「アメリカ日記」です)荒廃したコメント欄を目にしたことで、僕にとっては「アメリカ日記」は、毎回興味深く、かつ面白く読めるサイトであり、たぶん、多くの人にとってもそうであるにもかかわらず、どうしてこんなことが起こってしまうのだろう?と考えたことでした。町山さんは、「大国」の中では少数派の、コメント欄を開放されている書き手なのですが、そこに出現する「荒らし」に対して、ときに厳しいコメントを返されます。でも、次から次へと「荒らし」はやってきて、喧嘩をふっかけてくるのです。僕はそういうのを見ていて、本来なら「建設的なこと」を書くために使われるべき町山さんのエネルギーが、「そういう不毛なこと」に使われて、消耗されていくのが、ものすごく悲しかったのです。「大手」になれば、多かれ少なかれ、そういうことはあるようですが。某大手女性個人サイトの方は、「性器画像」とかが何度も送られてきたそうですし。

でも、そういう「ゲリラ攻撃」に対して、サイト管理人にできることといえば、「コミュニケーションを絶つこと」しかないのではないか、と僕は考えるようになりました。「見せしめとしての荒らしに対する攻撃」というのは、かえって、火に油を注ぐ結果にしかならず、さりとて、放置していけば、その場は荒んでいくばかり。いや、サイト運営側としては、コミュニケーションのないサイト運営なんて!という意識もあるのですが、僕くらいの中堅サイト管理人のそういう感慨って、売れない芸能人が「キムタクは、なんで集まったファン全員にサインしてやらないんだ!ファンを大切にしろよ!」と説教するようなものではないでしょうか(推定)。

もうすでに長くなっているので、ここまでたどりついた人は半分くらいか。

まあ、そういうことを考えていて、「荒らしに対抗するためには、管理人はどうすればいいのか?」という話を書こうと思っていたのです。要するに(5)衰退期、のところが、まず先に頭の中にあったわけです。

基本的に僕が「はてな」に書くときのスタンスは、「自分が面白い、あるいは書きたいと思ったことを、書きたいときに書く」というものです。嘘だと思われるのなら、過去ログをざっと読んでいただければお分かりいただけるでしょうが、それこそ、みっともないくらいに多種多様のことを、思いつくままに書いています。僕としては、「大国の興亡」は、前からなんとなく書こうと思っていたアイディアがまとまったので、書きたいモチベーションがあるうちに、完成させてアップした、というものです。サイトの文章というやつは、「書きたいと思ったときに書かないと、温めておいては絶対に良いものにならない」と信じています。もちろん、時間的制約で、それが難しいこともあるのですが。
確かに、ああいう「俯瞰」みたいなものを書きたくなったキッカケとしては、最近の一連の議論による「虚無感」がベースにあったのかもしれない、と、言われてみれば思うのですけど、僕の中にあったのは、「面白いものが書けそうだ」ただ、それだけです。
「誰かに対する、意趣返し的な要素」というのは、少なくとも僕の気持ちの中にはありません。

僕はWEB上に文章を書くとき「積極的に誰かを批判すること」を目的とすることはありません。なぜなら、それはバカバカしいことだと考えているからです。リアルでの自分の居場所を邪魔する人ならさておき、ネット上で「気に入らない者を、ひとりひとり排除する」というのほど不毛なことはない」と、今までのネット生活で実感してきたからです。もちろん、「その一人を排除するプロセスが、他の人にも『抑止効果』を与えるだろう」という発想だってあるとは思うのですが、それこそまさに「大国の見せしめ」みたいなものですよね。そのやりとりの内容はともかく、そういうやり方に「恐怖感」を覚えて黙ってしまう人はいるとしても、それでみんなが積極的に動くようになり、世の中が良くなるというのは、考えにくいのではないかと思います。
「反対者」を1日1人ずつ説得していったとしても、1年で365人、30年毎日頑張って、1万人(現実的には、そんなの無理でしょうけど)。そんなの、非効率的かつ不毛の極みです。
あえて申し上げれば、僕が書きたいのは、常に「普遍」であって、特定の相手への「報復」や「意地」とかではないんですよ。傲慢な物言いですが、1人を「潰す」ための記事を書く暇があったら、「本当に話をちゃんと聞いてもらえる100人」に「考えてもらえる」記事を書きたいと思っています。誰かに対して批判的な内容になってしまうときでも、僕は「この記事を読んでいる人に自分の問題として、考えてもらえるように」意識しているつもりなのです。僕個人が正しかろうが間違っていようが、頭が良かろうがバカだろうが、そんなことは枝葉末節なんですよ、少なくとも僕にとってはね。
ただし、僕の書いたもので「気を悪くする人がいる」というのも致し方ないのだろうな、とはあきらめています。小説でも映画でも、「伝わるもの」というものは、ある意味「自分の物差しで測れるもの」だし、怒るというのは、「心が反応している」ということですから。誰も「これは自分のことじゃないか?」と思わないようなものは、たぶん、伝わりません。
まあ、あまりに恣意的な解釈に基づく「言いがかり」「煽り」に対して、いちいち回答する気もないのですけれど。

この「大国の興亡」は、けっこうたくさんのサイトで取り上げていただいたのですが、僕からみて、本当に「大国」であるサイトの管理人さんが、「諸行無常だな…」とコメントされているのを(アクセス解析経由で)見つけました。そういうふうに、AFCPさんからすれば「第3者」であるはずの人たちにも、「普遍」として伝わっているのです。
それこそ、僕の意図するところであり、率直に言うと、「せっかくがんばって『普遍』を描こうとしているのですから、あんまり個人的な解釈をみんなに押し付けて、この記事を矮小化しないでほしいなあ」と思っています。

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