「被疑者の不起訴を求める意見書(3)」(萩尾健太弁護士)

おそくなりましたが、昨年末12月24日(金)、弁護士より東京地検あてに提出された「被疑者の不起訴を求める意見書(3)」を公開いたします。この時点で釈放から2週間が経過していましたが、検察官は不起訴決定を出そうとしませんでした。29日(水)から官公庁は年末年始休業に入るということもあり、年明けまで結果をずるずると引き延ばされてはかなわない、年内に不起訴にしてほしいということで、3度目の弁護士意見書を、3名の心ある方の上申書とともに提出しました。

急な依頼にもかかわらず、上申書を2日ほどのあいだに仕上げ提出してくださった3名のうち、1名は現場を目撃していました。場合によっては検察官に口頭で証言してほしい旨ご協力をお願いし、ご快諾をいただき、以下の要請をしました(下記「第1 目撃者の取り調べの要請」)。

また、弁護士からの「決定はいつ?」の問い合わせにたいし、検察官が「デモ隊に対してしたような行為をもう2度としない旨の誓約書を出す用意はあるか」(!)などという、西村修平への暴行容疑とは無関係な要求があったため、当人と弁護士で話し合った結果、以下の返答を提出することになりました(第2「誓約書」について)。

いたずらに処分を先送りにされ先の見えない中で、「黒い彗星」こと 崔檀悦 氏が出したこの返答に、救援会一同、身の震えるような感動に打たれました。ぜひ多くのひとに読んでほしいと思います。

この意見書を提出したことで土日挟んですぐの27日(月)、検察官より「黒い彗星」にたいし任意の出頭要請があり、「黒い彗星」はこれに応じます。そして翌28日(火)「起訴猶予」処分が下されました。

被疑者の不起訴を求める意見書(3)

2010年12月24日 
東京地方検察庁公安部
前澤検察官 殿
被疑者  チェ ダンヨル 

 上記の者に対する暴行被疑事件について、下記の通り意見を述べる。


弁護人   萩 尾  健 太 
[住所略] 


 検察官が被疑者について「嫌疑なし」として不起訴とすることを求めることは、従前と同様である。
 そのことに補足する点を、以下に述べる。



第1 目撃者の取り調べの要請

 下記の者は、本件の目撃者として、検事の取り調べに応ずる意向を持っている。
 ダンヨルの支援者でもデモ隊の参加者でもなく、現場に居合わせた者である。デモ隊参加者らからダンヨルが激しい暴行を受けていたことを目撃している。
 デモ隊参加者らは、そのような危険な集団なのであり、インターネット上のダンヨルに対する攻撃からも、その危険からダンヨルの身を守るためにも、真実の通りに、ダンヨルについて「嫌疑なし」との処分がなされることが必要なのである。


氏名:[略]
TEL:[略]




第2 「誓約書」について

 日本国における特別永住資格者としてその自然権を保障されているチェ ダンヨルは、以下の条件が満たされれば、今後、デモ隊の間に入ってバナーを広げる行為をしないとの「誓約書」を出す。


「誓約書」を出すにあたっての条件

1 西村修平・金友隆幸・桜井誠(桜井は当日京都の同趣旨のデモに参加していたが、在特会会長として責任を負う)が、弁護士または検事同席の上で4日の暴行をダンヨルに謝罪する。

2 上記3名が、「日本国が批准している国際人権規約B規約」および「こどもの権利条約」そして、日本国が加入している「人種差別撤廃条約」にのっとり日本国における「少数民族」および「外国人」への差別・憎悪を扇動する行為いっさいを行わないこと、「少数民族」および「外国人」の教育の権利を含めたいっさいの正当な権利を侵害することを行わないことを誓約する。

以上 

1月23日(日):「12.4 黒い彗星★救援会」報告集会を開催します - 「2010.12.4 黒い彗星★救援会」跡地