働く人のための「DaVinci Resolve」
第8回
無料の動画編集ツール「DaVinci Resolve」で動画にBGMをつけて最終出力
ついにコーヒーメーカーのビデオマニュアルが完成
2023年6月12日 06:55
本連載では、無料で使える高機能な動画編集ツール「DaVinci Resolve」の使い方をお伝えしています。
前回の作業で、ビデオマニュアルとしては一通り仕上がりました。今回は最後の仕上げとして、音楽を付けていきます。音楽は特になくてもかまわないのですが、ありなしを比べるとやはりあったほうが、完成度が高く見えます。
説明映像に挿入する音楽は、基本的に歌入りは避けます。歌の音域と映像の説明音声の音域がぶつかって聞き取りにくくなったり、歌詞の内容に気を取られて話を聞いていないといった現象を避けるためです。
現在ネットには、無料で使える音楽を配信しているサイトがいくつかあります。今回は筆者もよく使っている「DAVA-SYNDROME」というサイトで配信されている、MFPさんの「Sink Into The Night」という曲を使ってみます。実際に練習してみたいかたは、各自サイトからダウンロードしてください。ダウンロードした音楽は、「DaVinci Resolve」の中に読み込んでおきます。
オープニングに音楽を付ける
映像に音楽を挿入する際には、細かいボリューム調整が必要になりますので、[カット]ページではなく[エディット]ページで作業していきます。画面下のページアイコンの中から、[エディット]を選択してページを切り替えます。
これまで[カット]ページで編集してきた結果が、[エディット]ページでも表示されます。ビューウィンドウの下にある[全体を表示]をクリックすると、これまで編集してきた全体像を把握することができます。映像と音声の関係が意外に複雑になっているのがおわかりかと思います。
- 読み込んだ音楽を、空いているトラックに挿入します。ここでは「A3」トラックに配置しています。
- タイムラインに配置した音楽トラックの上にマウスを持ってくると、マウスポインターが上下のアイコンに変わるポイントがあります。ここにある横のラインが、ボリュームを上下するラインです。ここをドラッグして下に下げると、音量を下げる事ができます。だいたい-20dBになるぐらいまで下げてください。
- ビューウィンドウの下にある[細部ズーム]をクリックし、タイムラインを拡大します。再生バーがあるあたりが拡大表示になります。
- タイトルの終わりのあたりで、[Alt]キー(MacOSでは[Option]キー)を押しながら、ボリュームラインのあたりをクリックします。赤い点(ノード)が作られます。音のボリュームは、このノードのところで折り曲げることができます。
- もう1カ所、オープニングシーンのしゃべり出しの前にノードを作ります。
- 2番目のノードの後ろにあるボリュームラインを掴んで、-25dBぐらいまで下げます。数値が細かく動かせない場合は、[Shift]キーを押しながらドラッグしてみてください。これで、この2つのノードの間で音楽のボリュームが-20dBから-25dBに滑らかに変化します。
オープニングからここまでを再生して聞いてみます。文字タイトルのところで適度な音量で音楽が流れ、しゃべり出しの直前で少し下がっているのが確認できればOKです。
音楽は、このまま使うと長すぎるので、オープニングから少しのところで絞ってしまいます。まずビューウィンドウの下にある[カスタムズーム]スライダーをクリックします。タイムラインが拡大・縮小されますが、この拡大率は右側にあるスライダーで調整することができます。
[エディット]ページではタイムライン表示が1箇所しかありませんので、[全体表示]、[細部ズーム]、[カスタムズーム]を切り替えながら作業することになります。
- 「シーン3-1」に入ってすこしたったあたりで、再生バーを止めておきます。
- 画面の真ん中あたりにあるツールバーで、[ブレード編集モード]をクリックします。
- 音楽クリップを、再生バーのあたりで1回クリックします。この地点で音楽が2つに分割されます。
- 音楽の後半部分を選択して、[Delete]キーで削除します。
- 残ったトラックを選択すると、トラックの最後にマーカーが付けられています。このマーカーをドラッグして、前の方に持っていきます。
こうすることで、音楽の音量が徐々に小さくなる、「フェードアウト」を作る事ができます。実際に再生して、自然に音量が小さくなって聞こえなくなる様子を確認します。
エンディングにも音楽を付ける
同じ音楽を、今度はエンディングにも付けてみましょう。この楽曲はしっかり終わりがありますので、この楽曲の終わりと動画の終わりを合わせ込んでいきます。
- 同じ音楽を、別の空いているトラックに配置します。ここでは「A4」トラックに配置しています。
- ボリュームラインを操作して、-25dBのあたりまで下げておきます。
- 音楽のエンディング部分と、映像の終わりのタイミングがいい具合になるよう、タイミングを調整します。
このままでは音楽の前のほうが長すぎますので、オープニングの音楽で行なった方法で長さを調整します。オープニングでは音楽の後半を切り取ってフェードアウトさせましたが、今回は音楽の前半を切り取ってフェードインすることになります。
- 「シーン3-5」に入って少し過ぎたあたりで再生バーを止めておき、[ブレード編集モード]で音楽に切れ目を入れます。
- 音楽の前半をクリックして、[Delete]キーで削除します。
- 残った音楽の最初にあるマーカーを後ろにずらして、フェードインを作成します。
これで動画のエンディングにも音楽を付ける事ができました。これでビデオマニュアルは完成です。
ここまでの作業結果を掲載しておきますので、確認してください。
完成した動画をファイルに書き出す
ここでビデオマニュアルは完成しましたが、これはまだ「DaVinci Resolve」のタイムライン上にあるだけで、1つの動画ファイルにはなっていません。誰かに見せたり、サーバーに掲載したりするためには、このタイムラインを動画ファイルに書き出す必要があります。[カット]ページには、簡単に動画を書き出せる[クイックエクスポート]という機能があります。
- 画面下のページアイコンをクリックして[カット]ページに戻ります。
- 画面右上にある[クイックエクスポート]をクリックします。
- ダイアログが表示されますので、ここでは[YouTube]を選んで[書き出し]をクリックします。
- ファイルダイアログが出てきますので、保存したい場所を指定し、ファイルに名前を付けて保存してください。
[クイックエクスポート]は、あらかじめいくつかのプリセットされたフォーマットに対して素早く書き出せます。
[YouTube]フォーマットは、YouTubeにアップロードするためのプリセットですが、できあがるファイルは汎用性の高いMP4ファイルですので、多くのコンピューターやスマートフォンでも再生できます。あとからYouTubeにアップすることになっても、そのままアップロードすることができますので、とりあえず誰かに見せたいという場合には便利なプリセットです。
以上でビデオマニュアルを題材にしたレッスンは終了です。次回はこの作業の様子を動画でご覧いただこうと思っています。