古典物理だけで盗聴不可能な暗号を

面白いなぁ(今度のお茶会のネタにしよう).こういうのって他にも色々見つかってるのかね? 見つかってはいなくても色々あり得るのかね?

... その原理ですが,送端と受端にHigh,Low 2種類の抵抗を持ち,その間を電線で結び,それぞれHigh,Lowどちらかの抵抗をグランドとの間に接続します。抵抗には熱雑音が発生しますが,両端が Highの抵抗を選択すると雑音電圧は大きくなり,Lowを選択すると小さくなります。一方がHigh,一方はLowを選択するとその中間になるのですが,線路上の電圧や電流を観測しても,送端と受端のどちらがHighであるかは分かりません。しかし,受端は自分がどちらを選択したかは分かっているので,送端から送られた情報は,その反対であることが分かります。これを利用して情報を送ります。
...

盗聴者が伝送ラインに電流を流し込み,送端と受端方向の電流を計測すれば,どちらがHighでどちらがLowかはわかるのですが,送受端で電流を計測ししていれば,熱雑音ならば平均はゼロになるのに,電流を流し込むと平均がゼロにならないので,盗聴がばれてしまいます。

単一光子による量子暗号より長距離を伝送できるし,なにより回路が簡単で圧倒的にコストが安いとのことで,今回,パソコンに接続するPCIインタフェースのユニットを試作し,2000kmの擬似線路を通して,0.1bit/sのデータ伝送を実証したということです。

  • http://jp.arxiv.org/abs/physics/0612153 Mingesz, Gingl, and Kish, Johnson(-like)-Noise-Kirchhoff-Loop Based Secure Classical Communicator Demonstrated for Ranges of Two Kilometers to Two Thousand Kilometers, arXiv:physics/0612153v5 [physics.gen-ph]