My Book of the year 2024

 

今年読んだ本は26冊(読みかけも含む)。コロナになってから通勤が減って読書時間を確保するのが難しくなってたけど、今年は出社機会も増えてきて、また生活に本が戻ってきたという感じ。今年は分厚い技術書もあったから、それを考慮すると大体7−8割くらいまで回復したかなと。

小説部門

小説については、一部ネタバレがあります。話をすべてをバラすことはしていませんが、大きな構成だったり手法のようなハイレベルな要素には言及します。3冊をセレクト。

私が彼を殺した

この本はミステリー小説として少し特徴的な手法を取っている。それは、最後まで犯人が明かされず、謎解きが読者に託されていて、言ってみれば「東野圭吾からの挑戦」という形になっている。そうなると真実が当てられなかったら負け、となるかもしれないが、そうでなくても十分に楽しませてくれたのがこの本を選んだ理由。

話の構成として、容疑がかかる数人が、章ごとにそれぞれ一人称で語られるのだが、そのいずれにも動機があり全員がそれっぽい言動を取るので、読み進めるたびに「この人物こそ真犯人だろう」と何度も思わせられる連続であった。終盤はもうずっとスリリングでとても引き込まれた。(ちなみに自分は最後まで読んでも犯人はわからなかった)

 

 

 

六人の嘘つきな大学生

最終試験で集まった6人が内定の座を争うミステリー。

就活って人生の中で特殊な状況だし、就職試験になると、知り合ったばかりのライバルとは、なにかの縁だし仲良くなりたいような、でも自分を脅かすような存在で警戒しちゃうような、とても特殊な関係性だと思う。そういった機微をミステリーの題材にするのはなかなかなアイデアだった。

ちなみにこの本は、今年の真夏に鳥栖遠征したときに持って行って読んだもので、思い出補正が多分にある。松尾のゴールで先制したが結局引き分けたやつ。

 

 


 

君のクイズ

この本は一風変わったミステリーで、クイズをテーマにしている。クイズ番組の最後の問題で、出題者が一文字も読まない状態で正答することができたのはなぜか、という不可解な謎に立ち向かうといったもの。
クイズを通して主人公の人生を辿っていく感じが「スラムドッグミリオネア」のようだった。

クイズの早押しの解答テクニックがいくつも紹介されていたのが面白くて、この本を読んだあとも、テレビのクイズ番組を見るとクイズ王たちがどんな思考をしながら解答しているのかを考えるのが楽しかった。

 

 

 


ソフトウェア・IT部門

仕事柄この分野は必須なんだけど、紹介する3冊はどれもも本当に勉強になるものでした。

LeanとDevOpsの科学

DevOpsについて調査・研究している会社(DORA)がソフトウェア開発において組織のパフォーマンスを上げるために重要な指標と、取るべき行動をまとめた本。

発売後多くのソフトウェア開発に従事する人たちに影響を与えていて、かなり多くのブログやポッドキャストで議論されたりしているので、そういうものを通して更に理解を深めることができたのも良かった。

個人的に、自分の仕事に直接的な影響を与えた一冊でもあり、今年のBook of The Yearかもしれない。

 

 

単体テストの考え方/使い方

プログラミングにおける単体テストの実装方法・目的・スタイルなどを体系的に解説してくれる一冊。恥ずかしながらこれまではなんとなく他人の真似したりしながらコーディングしていたので、初めて知ることがたくさんあった。

  • 試験するのは実装ではなくて、振る舞いであること

  • 試験の対象にすべきなのはドメインのコード

という2点は特に重要な点かなと。400ページあってなかなかの修行だったけど読むべき本だった。

 

 

GitHub CI/CD実践ガイド

職場でGitHub Actionsを導入したのだけど、やりたいことをWebで調べて動けばひとまずOKみたいな使い方になりがちだった。この本を読んで、actionやcacheみたいな細かい使い方だけでなく、つい忘れがちなセキュリティのことも含めて、ちゃんと体系的に学ぶことができて良かった。

GitHub Actionsの本はあまり多くないので助かりました。

 

 


ビジネス・ノンフィクション部門

部門のまとめ方が難しかったんだけど、ざっくりいうと小説・技術系以外の本全般という感じ。5冊。

This is Lean

スウェーデンの研究者がトヨタの内部で見聞きした内容を交えながら、リーンという”よくわからないもの”について、めちゃくちゃわかりやすく説明してくれる本。

序盤は効率性・生産性の本質的な意味を深堀っていきながら、リーンにはフロー効率の考え方が重要であることと解く。そして「リーン」の考え方のもとになったトヨタ生産方式とは何だったのかを、著者がトヨタで得た内容を交えて解説し、さらに、その上でリーンとはなにかを改めてまとめている。

リーン◯◯みたいな言葉って結構巷に溢れているけどコンテクストがそれぞれで違っているから、定義が掴みにくかったけど、この本を読んで結構整理できた気がする。アジャイルとも共通点が多く、仕事をするときにフロー効率のことをすごく意識するようになった。
この本もBook of the yearの候補。

 

 

 

限りある時間の使い方

時間と戦ってはいけない。時間は有限なので、何に集中するかをしっかり判断しないといけない。人の一生は4000週間しかない。だから、「本当にやりたいことだけ」をしなくてはならない。効率を上げて時間を作ったらその分タスクが増えるだけで、後でやろうと思ってたことなんて絶対できない。という本。

直前に紹介した2つの本は効率、つまり手段や方法の話であって、それよりももっと大切なものがある。人生の目的や目指したいものがなにか、という視点を忘れてはいけない。

抽象的な表現が多くて決して読みやすい本ではないんだけど、シンプルで本質的なテーマがもう強烈過ぎた。
このベストイレブンの候補として見返すまで、内容を少し忘れていた。振り返ってよかった。

 

 

 

ネガティブ思考こそ最高のスキル

世の中ポジティブ思考を勧める人たちがたくさんいるけど、過度なポジティブ思考はダメだよという本。
ポジティブな人って一緒にいるとすごく助かるんだけど、引っ張られすぎるのも怖くて、僕は結構バランスを取るような立場を取ることが多い。そんな僕にはこの本の主張はとても自然だったし、なんか嬉しかった。

ただ、残念ながらこの本はタイトルの翻訳を結構がっつり間違っていて、「ネガティブ思考」なんて全く言ってない。アンチ・過度なポジティブっていう感じなんだよ。もったいなすぎる。

この本も「限りある時間の使い方」と同じオリバー・バークマン氏の著書。どちらの本もテーマが最高すぎる。

 

 

 

NO RULES: 世界一「自由」な会社、NETFLIX

Netflixのカルチャーを創業者かつ経営者のリードヘイスティングス氏が語る本。職位や役割に関係なくフィードバックをするという文化はなんというか”大人に”振る舞える欧米っぽいけど、仕事でも家庭でも取り入れたいものであった。

優秀な人が集まるとルールなんてなくても良いといったところは、まあそらそうやろ、みたいな話でもあって結構元も子もないけど。一方でマナーや能力に中流が多い日本の組織でルールが多くなってしまうというのは、ふと考えてみると不思議な状態だな。

少なくとも自分のチームでルールを作る時にはこういう考え方でありたい。

 

 

世界一流エンジニアの思考法

マイクロソフトで活躍する牛尾剛氏の本。

著者は自身を三流プログラマと言ってるが(絶対そんなはずはないが)、そういった自己認識を持っている人が、一流と思っている人たちと比較しながら分析し言語化されたものは、自分のような五流六流エンジニアにも価値がある。

普段から外国人(というか日本以外の教育システムで育ってきた人たち)と仕事すると視点や考え方のアプローチが結構違う事があって、それが刺激的だったり勉強になったりして個人的にはとても好きなので、この本もそういう点から面白かった。

 

 

 

以上!

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