『昴(3)』

昴 (3) (ビッグコミックス)

 主人公すばるさんの才能を「魅せる」ために描かれた作品なのだと思います。今のところ、キャラクターなどを含めた全ての要素は主人公の「凄さ」を引き立たせるための配置になっています。単体で映える脇役キャラというのがいないわけですね。

 今巻で焦点が当てられたのは、主人公の内面的なモチベーションです。絶対量的な「動機の強さ」に関して、主人公は既に人並み外れたものを獲得しています。ただしそれは「私にはバレエしかない」という一種強迫観念的なものであって、内からこみ上げる能動的な「よろこび」に欠けている、と。

 そのあたりのお話が一段落し、またひとつ新たな障害が現れたところで次巻への引きとなるわけですけれど、この障害が興味深いです。次巻からは、これまで自分の中にしか壁のなかった主人公が、プロ中のプロという「自分以上の存在」と対峙していく様子が描かれていきそうな予感。

 それにしても真奈ちゃんが面白そうなポジションになって着ました。これはいいヤムch……じゃなくていいライバルになってくれることを期待したいです。