『誰にも続かない』乙一北山猛邦佐藤友哉滝本竜彦西尾維新

ISBN:4061794469
何だその腰から生えているものは。名前を区切ってないのは清涼院流水大塚英志箸井地図さんのノリです。
もうVol.5も発売されようかというこの時期に今さらですけど、『ファウストVol.4』に載っていた連作リレー短編です。北山さんと佐藤さんの作品は初読みだったんですけど、並べて読むと書き方の癖みたいのものがそれはもう思い切り出ていて興味深かったですね。お二人の作品の傾向が何となく分かったような気のせいのような。
特に佐藤さん。佐藤さんは酷いですね。『地獄の島の女王』もそうでしたけど、これは酷い。「えげつない」と形容しまってもいいと思います。色で言うなら赤黒です。ふとももをチェーンソーならぬ鈍ノコでギコギコ潰し切って半日放置したあとの断面のような赤黒さ。何というか、この人のことは赤黒作家として認識してしまいました。ここまでの嫌悪感はそうそう味わえるものじゃありませんね。既刊の文庫化がとても待ち遠しいです。
あとタッキーこと滝本さん。乙一さんもそうですけど、この二人は人間の中にある素晴らしさみたいなものを本当に心の底から信じていて、それを作品に出さずにはいられないんでしょうね。こういう視点は消えてほしくありません。*1

*1:西尾さんも実はこれと同じ考え方で、でもそういうのを切り札としてひた隠しにして、表面上は虚無虚無した皮を被っているという気がします。ネコソギラジカルの最後では人間性や世界や他人を肯定していく方にお話が転がっていくんじゃないかと思ったり。