『まおうとゆびきり』六甲月千春

まおうとゆびきり (富士見ファンタジア文庫)
あたりー。
たまには魔王らしく、同業者の出てくる小説も読んでみよう企画第一弾。第二弾があるかどうかは神(河津さま)のみぞ知るのです。
ぜんぜん聞いたことのない作家さんだったんですけど、どうもこの人はデビューからまだ半年ほどで、既刊も二冊しかない様子。そして本書がそのデビュー作らしいです。
外れでもいいやというつもりで買ったので、そういう意味では大当たり。安心して追いかけていけそうな作家さんなんですけど、癖もかなり強いですね。どうにも文体と雰囲気に面白さが特化していて、ストーリーや構成こそが小説の命だと考えている人の視点からすると駄作と烙印されても仕方ない出来かもしれません。注意。
そして肝心な文章の方はというと、これはもう小ネタの嵐です。吹きだしてしまうような爆弾はあんまりありませんけど、読んでいる内に知らず知らず頬が緩んでしまって、周りの人から変な目で見られるという類のおかしさ。言い回しのひとつひとつに気が利いているというか、ひと言余計と言うか……。小ネタに関しては魔王をモチーフにしているだけあって、ジョジョやガンダムのような定番ネタと並んでDQなどのゲームネタも多かったように思います。
どうにも、調べてみるとまだあんまり名前が知られていない人のようで、(そしてたまに記事があると酷評されてたり) 個人的にはとても応援したくなりました。最初から最後までほとんど同じノリとテンションが続くので、ひとまず最初の10ページくらいを(あるいは適当なページをめくってパラパラと)読んでみれば自分に合うかどうかの判断が出来るのではないでしょうか。