こゝろ
こころ
文豪・夏目漱石の長編小説。漱石の代表作と言う事もあって、長編であるにもかかわらず、高校の国語の教科書に抜粋されて掲載されることも多い。
明治45年(大正元年)の明治天皇崩御とそれに続く乃木希典陸軍大将の殉死に強い衝撃を受けた漱石が時代の変化により遠からず批判されるであろう「明治の精神」への思いを込めて書き上げた作品である。
ちなみにこの小説は朝日新聞に『心 先生の遺書』として連載され、漱石が岩波書店から自費出版で出した(装丁も漱石が手がけた)もので、これが事実上岩波書店最初の本であった。
物語は語り部の「私」と「先生」、「私」と「私の両親」、「先生」が「私」に遺した遺書と過去の三部構成になっており、教科書等では特に最後の『先生の過去編』が多く採用されている。
学生の「私」は、夏休みに訪れた鎌倉で出逢った一人の男を「先生」と呼んで慕っていた。奥さんと二人でひっそりと暮らしている「先生」は毎月友人の墓参りを欠かさず、「私」にも何度も謎めいた、そして教訓めいた言葉をかけ気遣ってくれた。そんな不思議な魅力を持つ「先生」の元へ、「私」は東京へ戻ってもなお頻繁に出入りしていた。
ある日、父親の容態悪化の知らせが届き、急遽帰省を余儀なくされた「私」は、発つ前日に「先生」の家へ挨拶に訪れる。そこで「先生」は「私は貴方に慕われる様な人柄ではない」、「私は過去に取り返しのつかない事をしてしまった最低な人間なのだ」と嘆いた。「私」は「先生」に過去を打ち明けるように迫るが、「先生」は来るべき時に過去を話すことを約束し、「先生」とはそれきりとなった。
そしてある日、父親の看病に明け暮れる「私」の元へ「先生」から分厚い手紙の束が届いた。その手紙が「先生」の遺書なのだと気付いた私は即座に東京行きの汽車に飛び乗ると、その中で「先生」の手紙を読み始める。
その手紙に書かれていた衝撃の事実────「先生」と先生の「奥さん」、そして亡くなった先生の友人「K」との悲しい物語が綴られていたのであった。
私
前半(現在編)の語り部であり主人公。田舎に両親を持つ学生。夏休みに出逢った「先生」と交流を深める。「先生」に対し熱烈なアプローチを繰り広げるため女性と勘違いする人がたまにいるが男性。文中でも「先生」と「同性」と明言されている。
先生
後半(過去編)の語り部でありもう一人の主人公。「私」が鎌倉で知り合った男性。「私」と同じく東京に住んでいる。先生と呼ばれているが教務職に就いている訳ではなく、「私」が勝手にそう呼んでいる。実家は新潟。
静
先生の奥さん。名前は「先生」の呼び名であり、本名なのか略名なのか不明。過去編では「お嬢さん」と呼ばれている。
静の母
過去編に登場する先生の奥さんのお母さん。戦没軍人の妻。
過去編では「奥さん」と呼ばれている。
K
過去編に登場する「先生」の親友。浄土真宗の僧侶の次男で、本人も数珠を持ち歩いている。
「先生」とは同郷で、同じ大学に通っているが専攻は別。大学には「先生」外特別親しい人はいない。「先生」の提案で同じ下宿に一緒に住む事になるが・・・
発行部数は新潮文庫版だけで七百万部を優に超える。シリーズ物ではない日本の文芸作品で本作並みかそれ以上に売れているものは太宰治の『人間失格』と、村上春樹の『ノルウェイの森』くらいしかない。奇しくも3作とも、人間不信が故に女性に振り回される男性主人公や、恋愛を巡っての破滅等、幾つかの共通点を抱えている。
反面、主人公が不可解な行動を取る小説としても有名であり、特に「先生」に対しては手厳しい意見が多い。そのポイントは「先生」と「K」の自殺の理由が理解できないという点にある。
「K」も「先生」も作中でかなり唐突に自殺する上に、その自殺の理由についても明確に語られているわけではなく、余りの急展開ぶりに最初に本作の内容を知った人間はかなり困惑する。
コメント
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二、鎌倉
「私」を先生に会わせてあげたい。 その一心のみで描く「私」が東京行きの列車に乗った後の話です。 4箇所書く予定です。 ※初めてこゝろを読んだ直後で、かなり粗いです。初見後にしか出せない勢いを優先して、手を加えずとりあえずこのまま残します。3,322文字pixiv小説作品 - こころ あらた
こころ あらた 40-43(終)
「こゝろ」K→先生。Kの片想いと受け入れきれない先生。 時系列別にバラバラに書いたので一部辻褄の合わない部分があるかもしれません。 設定上差別的表現があるかもしれませんがけして助長するような意図はありませんのでご了承ください。 ※シリーズ完結しました。長い間をお付き合いいただきありがとうございました。6,704文字pixiv小説作品 ハイタイド【サンプル】
「俺は最初にこの街は紛い物だと思った。しかし違った。この地では俺達の側が偽物なのだ」 あんまり仲良くないKと先生の話です。 ※かなり暗い話です。苦手な方はご注意ください。腐向けタグは保険です。 漱石こころ二次創作 小説本 A6 40P 500円 K+先生 全年齢 サンプルは全体の半分程度を公開しています。 BOOTH→https://booth.pm/ja/items/61464468,774文字pixiv小説作品- 列車の行きついた先に
一、雑司ヶ谷
「私」を先生に会わせてあげたい。 その一心のみで描く「私」が東京行きの列車に乗った後の話です。 4箇所書く予定です。 ※初めてこゝろを読んだ直後で、かなり粗いです。初見後にしか出せない勢いを優先して、手を加えずとりあえずこのまま残します。1,428文字pixiv小説作品 - 五五六物語・十二候
五五六物語・十二候(上)
漱石こころ二次の布教として1話を556(こころ)文字程度に設定し読みやすくした短編集です。腐向けタグは保険です。 上中下編を4話ずつに分けて投稿します。気長にお待ちいただけるとありがたいです。2,441文字pixiv小説作品 - こころ
先生と私
完結です。学生の頃からの『いつか』が達成できて満足です。そりゃ好き勝手創作しちゃったからなぁ...。念願の製本だ~~~✨ これまで読んでくださった方、♡いいね!下さった方、フォローしてくださった方、ウォッチリストに登録してくださった方、皆様ありがとうございます! 「先生と私」の創作中に、個人的にやり取りをしてくださった唯一の方、貴方様の素敵な創作を拝見して、貴方様とのやり取りがあったから楽しんで創作できました。ありがとうございました。 このような二次創作ができる時代、二年間創作できる環境をくれた方、神様すべてに心から感謝します。 2025.4.26 追記:製本届きました!二年間の集大成をこの手に出来て感慨深い...。 『先生と私』読んで下さった方々、ありがとうございました。5,904文字pixiv小説作品 - こころ あらた
こころ あらた 35-39
「こゝろ」K→先生。Kの片想いと受け入れきれない先生。 時系列別にバラバラに書いたので一部辻褄の合わない部分があるかもしれません。 設定上差別的表現があるかもしれませんがけして助長するような意図はありませんのでご了承ください。 次話でシリーズ完結です。10,137文字pixiv小説作品