ゲームクリエイターかく語りき3〜ナムコ・岩谷徹氏

ゲームクリエーターによる「ゲームづくりのコツ」のようなものを紹介してみる企画の3回目。


テキストとして使用する本は引き続きこちら。

487233907Xゲームセンター「CX」
太田出版 2004-12

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今回は『パックマン』を送り出したナムコ・岩谷徹氏のインタビューを紹介。

B0050MLQLUPAC-MAN & Galaga DIMENSIONS (パックマン&ギャラガディメンションズ)
バンダイナムコゲームス 2011-06-23

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有野:これができたきっかけって、なんですか?
岩谷:ゲームセンターには、なかなか女の子が来なかったんですよ。女の子を絶対、ゲームセンターに入れたいと思いまして、完璧に女性をターゲットにゲームを作ったんですよ。で、考え始めたんですよ。女性であればなにかいいかなぁ、ということで「食べる」っていう動詞のキーワードを考えまして。
有野:はい。
岩谷:「食べる」ってことでゲームができないかって常々考えていたんです。お昼時にピザを頼んで食べた時に、丸いピザがあって、その一片を取ったら、残った形がちょうど今のパックマンの形だったんですね。

当時は不良の溜まり場という印象の強かったゲームセンター。そこへ女性を呼ぼうというのが切っ掛けだったという。
あと「動詞をキーワードにする」というのは重要。これは後に紹介する予定の、ナムコゲームの影響を多大に受けたであろうクリエイターついても書く予定。

有野:成功した秘訣ってなにかわかるんですかね?
岩谷:それは、わからないんですよね。
有野:元々、女の子をターゲットに。で、女の子は入りましたよね。
岩谷:女の子が入ったのは狙い通りだったんですよね。で、日本ではそこそこのヒットだったんですけども、アメリカとかヨーロッパのほうで爆発的に人気が出たんですよね。
有野:海外で?
岩谷:アメリカやヨーロッパの人にとって『パックマン』がマイ・ファースト・ビデオゲームだったんですよね。その国民にとってビデオゲームっていうのが、バーッと広がって認知されたきっかけになったのは、日本の場合は『スペースインベーダーゲーム』で、アメリカではその役割が『パックマン』で。
有野:最初のゲームは印象深いですからね。

アメリカでのヒットにより、テレビアニメにもなったという『パックマン』。最高視聴率56%を記録するオバケ番組になったという。
アメリカ人に受けそうなポップアート風のデザインも、欧米輸出を視野に入れていたのかも。

有野:次、今後どんなゲームを作ろうと思ってますか?
岩谷:今のゲームは難しすぎるんですよ。
有野:そうっスね。
岩谷:たとえば10ある要素を、初めから10個ポンッって出しちゃう傾向にあるんですよね。10個出したい要素は1か2に絞ると。だから『太鼓の達人』っていうのも「太鼓を叩く」っていうルール、1本だったんですよ。
有野:それぐらいの簡単な方がいいと。
岩谷:そういう意味では今は原点回帰が必要な時代じゃないかって思っていますね。

B004WMHBS6太鼓の達人ぽ~たぶるDX 特典 アンケート1位のナムコオリジナル曲をもらえる! プロダクトコード入りカード付き
バンダイナムコゲームス 2011-07-14

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インタビュー当時の最新作である『太鼓の達人』について。こちらも『パックマン』と同じく、「(太鼓を)叩く」という動詞をキーワードにしたゲーム。「出したい要素を絞る」というのも、アイディアを盛り込みすぎて消化不良にならないために重要だという。