概要
種類 | 超人系 |
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特性 | |
概要 |
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能力 |
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地震の比喩表現 |
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利点 |
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弱点 |
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形 | (実の形等は不明) |
色 | (実の色は不明) |
備考 |
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※1「地震」は、厳密には比喩表現として扱うことを除き、グラグラの実の能力の特性にイコールとして結びつけるのは不正確なのだが、作中では地震の能力として知れ渡っており、能力の一部の発揮方法は地震と同じなので、一応『特性』の覧に記述している。詳しい理由などについては、『本当に地震の能力なのか?』の項目を参照。
※2 「津波」についても、グラグラの実の能力の特性と混同して解釈されてしまうこともあるが、それは能力による影響が海底にも大きく伝播し、海を大きく持ち上げるほどの地殻変動が起きたことで誘発された現象に過ぎないと考えられるので、グラグラの実の特性と直接的には無関係。
※3 「海震」は、作中とゲームの両方で使用されている言葉なのだが、原作での言葉は、能力者本人が技名として叫んだことはなく、海軍側が普通に発言していたことから、あくまでも水中・水上において揺れが発生したからそのように発言しただけに過ぎないと考えられるので、能力による技名として発言したものではないと捉えるのが自然。ただ今後は、原作でもはっきりと技名として扱われる可能性もあり、現能力者に期待がかかる。
※4 グラグラの実に限らず、全ての悪魔の実の能力に言えることである。
解説
超人系の悪魔の実の1つ。
食したものは振動を操ることで、あらゆるものを揺り動かすことができる「振動人間」になる。
ただ作中では四皇“白ひげ”エドワード・ニューゲートや“黒ひげ”マーシャル・D・ティーチのように大地や海を大きく揺らすほどに実の能力を引き出す能力者だったため、「震動人間」と呼称される(振るは人工的な揺れ、震えるは自然的な揺れを表す)。実際にSBSでは、白ひげの能力の強さにあわせて、こちらの言葉が使用されている。
つまり分かりやすく言えば、グラグラの実は揺れそのものを操る能力である。
揺れの性質は、能力を強く発揮すればするほど強大。揺れの力は「能力者の振動の強さ」以外に、「共振現象を起こす」性質もあるので、対象物があまりにも強く揺れ出すと、揺れていたものは耐えきれずに最終的に破壊につながることも多いので、事実上「強い揺れとなった能力=破壊する・歪ませることができる能力」にもなる。
「揺れ⇒破壊」という現象を、大気に応用すれば地震を引き起こせるので、広範囲で震動を起こすほどの規格外な効果を発揮することが可能。実際に、当初の能力者だった白ひげはその規格外の強さから「地震人間」とも呼称された。
ポテンシャル
超人系の中でも最強の攻撃力を有すると言われ、この能力の恐ろしいところは性質上、能力者が発揮する振動の強さと環境、その応用次第では地震や津波などの大規模な自然現象を簡単に誘発できてしまう点だ。実際に四皇クラスの実力者が使用すれば、強く振動の能力を発揮することで、歴史に残る巨大地震に匹敵する規模の地震を引き起こすほどの震動として規格外なポテンシャルを発揮できる(因みに大地震に分類されるのは基本的にM7程度以上のことで、「M7程度=断層は数十km程度の長さ」「M8程度=断層は大体100~200km程度の長さ」「M9程度=断層は大体数百~1000km程度の長さ」にわたってずれ動くことが"目安"となる)。
グラグラの実はこのことからも、如何に恐ろしいポテンシャルを持っている能力であるかが分かるだろう。
実際に能力により、大気にも触れることができるようになり、地震発生と同じ仕組みで能力を発揮することで、その効果を発揮することが可能。もちろん、力量次第では簡単に実物の地震も引き起こせる。
- 大気にヒビを入れて、揺れ(振動・震動)を起こす
大気を殴りつければ、そこにヒビが入り、そこから生み出された振動は圧倒的な「衝撃波」となってかけめぐり、対象に伝播させることが可能(能力で再現している力は、恐らく「プレートの内部が割れて発生する地震(プレート内地震)」)。
破壊された大気から生まれる力は「揺れ(振動)」なので、能力の影響を受けた物は揺れ動き、強く揺れ動いた物はやがて破壊されたり、歪みが生じたりする。
海の付近で強く能力を行使すれば、大地震に匹敵するほどの力を生み出すので、島一つをあっさり沈めることが可能な大津波を引き起こし、大地を殴れば、底の見えない巨大な地割れが発生する。
- 大気を掴み、それを叩きつける(=滑り動かす)ことで、震動を起こす
大気に触れられることを応用し、つかんだ大気をたたきつけることで、周囲を大きく揺らすことができ、しまいには傾かせたりすることができる(能力で再現している力は、恐らく「海洋プレートの沈み込み運動によって引きずり込まれて限界までひずみを溜めた大陸プレートが、一気にそれを解放しようとして滑り動く(=跳ね上がる)ことで発生する巨大地震「大規模なプレート境界型地震」)。
この場合、再現している地震の規模が元々大きいということもあって、例外なく巨大地震のような力となり、揺れるどころか、島や海も丸ごと傾く(一瞬天地がひっくり返ったと錯覚する)。劇中では周囲の海ごと島一つを大きく傾ける程度だったが、ゲーム作品などでは一瞬ながらも本当に天地がひっくり返り、敵が「空に落ちていく」というとんでもない光景を目にすることもできる。
また、巨大地震そのものを能力者自身がコントロールしているのと一緒なので、最初は強者ですらも制御が非常に難しい力である。実際に黒ひげは、能力者になった当初、「コントロールが上手くいかない」と発言をしていた。
- あらゆるものを「揺れ」から「破壊」の力に転じさせる
振動を直接相手の体に叩き込んだり、武器に纏わせ、一気に開放し巨大な衝撃波を生むことも可能。振動を相手に叩き込むことで、叩き込んだ相手を破壊に転じさせることができる(すなわち、内部に強い振動が伝播すれば、「内部の振動⇒内部破壊」に変わるということである)。直撃すればどんな武装も意味を成さずに破砕され、巨人族の海軍本部中将すらも一撃で沈んでしまう。
たとえ拘束されても海楼石などで能力を封じなければ、内側から振動を起こすことで、拘束具は振動の力に耐えきれず破壊されてしまう。特に揺れの力が大きければ、よほど頑丈な構造物でなければとても耐えきれない。
ただし空気の振動とはすなわち音であるため、ナギナギの実の能力者には能力の扱い方と強さ次第で無効化される可能性がある。
このようにグラグラの実の能力自体のポテンシャルは非常に高いのだが、それはあくまでも悪魔の実の能力そのものが持っている強さに過ぎず、それを如何に強く効果的に発揮できるかについては全くの別問題。実際に、SBSでも「能力の強さと能力者の強さはイコールではない」とはっきり言われていることである。
どんな能力も使い手が能力を使いこなせるだけの力量・技術などが伴って多くの使用幅を広げているからこそ、能力もより強力な使い方ができる程に昇華されていることが殆どで、能力者当人の力を超越するようなより力の大きい攻撃を繰り出すには、それをコントロールできるだけの力が必要となる。
このことから、使用者が実力者であったからこそ、上記のようなより強大な力(振動どころか震動の力)になったと言える。特に地震・津波などの誘発能力は、膨大な強い振動を地下深くにまで伝播させなければ起こすことはまず不可能。つまり一般的な能力者は、グラグラの実の能力を得てすぐに大地震を起こそうとしても、発揮できる振動のエネルギーが致命的に不足しているなどの問題があるので、能力を使いこなすために年単位で必要なことを根気強くやらないと実現できるものではない。
危険性
絶大な破壊力と影響範囲のため、使いどころを間違えると味方にまで甚大な被害が及んでしまうのも欠点。他の能力と比較すると影響範囲が広くなりやすい理由は、もちろん能力者にもあるのだが、グラグラの実が地震のように能力の衝撃が波として周囲に伝播していく性質を持っているのも要因の一つ。つまり、あまりにも強大な能力として発揮してしまうと、能力の性質上、能力の衝撃波(或いは地震波)が惑星の内部を通って世界の裏側にまで伝播していくことや、新たな災害を誘発させる可能性も考えられる。
例えば、ワノ国で強大な実力者がグラグラの実の能力を強く発揮し、その力を複数回強く発揮し続けると仮定する。そうなるとワノ国やその近海ではグラグラの実の能力によってあらたな二次災害を誘発させる可能性は平常時よりも極めて高くなる。そもそも、ワノ国の地下には巨大なマグマ溜まりがあり、作中の描写から火山活動が活発な地域であることが分かる。つまり、マグマ溜まりにいつ噴火しても不思議ではないほどにマグマが限界まで溜まっているよう場所で、そこにグラグラの実の能力を強大な力として発揮してしまえば、当然それは地震だけでなく、大規模な噴火にまで発展してしまう可能性も出てくる。また、この場合はこんなケースも考えられる。グラグラの実の能力による強大な力によって運悪く藤山から右側にある岩盤と左側にある岩盤の両サイドが地下深くまで大きく破壊された場合、岩盤は上にあるワノ国自体も含めて耐えられなくなって崩落。地下のマグマ溜まりに大量のマグマが残っていれば、崩落してきた岩盤がマグマを押し出す形で破局的噴火に発展してしまうというもの(所謂、カルデラ噴火)。こうなればワノ国全体が消滅し兼ねない事態に陥る。
また、M7クラス相当を超えるような振動の力を誇れば、それは当然能力の発生場所から遥か遠くに離れていても、その場所に能力の波(それによって誘発された地震波)が通過すれば、場合によってその場所でも破壊が生じる可能性も否定はできない。
このようにグラグラの実の能力はポテンシャルが高い分、強大な実力者があまりにも大きい能力として発揮してしまうと、巨大地震等の誘発に伴い、扱う場所や環境によっては大規模な噴火などの二次災害を引き起こし、想定外の事態を招きかねないので、必要のない場面で強く能力を発揮するのは禁物と言える。
能力者
当初は”世界最強の男”と呼ばれた四皇”白ひげ”エドワード・ニューゲートが能力者だった。
白ひげ本人の規格外な高い戦闘力も相まって、マリンフォード頂上戦争では「世界を滅ぼす力」と呼ばれる程にまで磨き上げられていた。
しかし、老齢・持病による身体の限界、更に"黒ひげ"マーシャル・D・ティーチによる集中攻撃が致命傷となり戦死。
グラグラの実の能力者は姿を消したかに見えた。
だが、黒ひげは白ひげの遺体とともに黒い布の中にこもり、出てきた途端にグラグラの能力を披露。
このため、グラグラの実は作中で初めて2人以上の宿主が描写された悪魔の実となり、悪魔の実のメカニズムを読者が知る上で重要なヒントを与えた実となっている。
本当に地震の能力なのか?
グラグラの実の能力は、作中では大地や海を揺らすほどに規格外な力として発揮できるのが特徴的で、さらに一般的には「地震=地面の揺れ」と認識されていることから、多くの者からは地震の能力として広く認識され、「地震人間」「地震の力」などと呼ばれている。なので、一般的に使用する分には「グラグラの実は地震を起こす能力」という解釈で問題はない。
但し、能力の特性を把握する場合においての「グラグラの実は地震を起こす能力」という解釈は、作中の描写から一見すると能力の特性として信憑性のある説明になっていると錯覚してしまうのだが、もう少し詳しく見ていくと、これは外見で判断して発言しているだけに過ぎないので、能力の本質の説明には一切迫っていないことが分かる。その理由については、「地震が発生する仕組み」を理解する必要があるので、少し地震学について簡単に触れながら仕組みを解説する。
そもそも「地震」という言葉には、一般的に使用される「地面の揺れ」のほかにもう一つ、専門的に使用される「岩盤がずれ動く現象」を表す意味もあり、実際には2種類の意味を持っているのである。
能力の特性として把握する場合は、以下の2つの理由から、後者の専門的な意味で解釈するのが相応しいため、「地震によって発生する揺れ=地震動」として認識するのがが正確。
- 作中で一般的な意味で解釈すると、能力の特性を十分に説明できない
実際に、作中では地面以外の海や空を揺らす描写も存在する。さらに詳細に見ていくと、対象物は自然物だけではなく、能力者自身が内部から揺れを起こすだけで、地面は揺れていない描写もちらほらあるので、明らかに「地震の能力」と呼ぶには無理がある。つまり「地震」は、意味自体が揺れを起こす対象物を地面に限定しているので、作中で描写されている能力は一般的な意味では特性を十分に説明できない。
さらに大気を利用した能力の発揮方法については、一般的な意味では全く説明ができないのである。
- 作中ではグラグラの実の能力関連で、専門用語を扱う描写(または、専門的な意味で使用している発言)もあるので、一般的な意味での解釈は相応しくない
マリンフォード編後半では、能力関連で「震源(岩盤の破壊開始点)」という専門的な言葉を使用する描写があるので、一般的な意味で解釈してしまうと、意味不明な理解になってしまう。実際に作中では能力の影響で、「マリンフォードを震源とする地震により シャボンディ諸島南方沿岸に大津波警報発令!!」と警戒を呼びかける描写が存在している(「白ひげ(黒ひげ)を震源として地震を起こす」などと能力者を震源とするような意味で解釈している者も多いのだが、そもそもこのような言い方はしない)。
さらに、黒ひげが「全てを破壊する“地震の力”」と発言している場面も、一般的な意味で解釈してしまうと説明することができない。
つまりこの場合の「地震を起こす」というのは、直接的に揺れを起こす現象を指すのではなく、意図的に「外部の力」を加えることで、地殻などに働いている応力を強制的に変化させて歪を蓄積させることで、破壊を誘発させる現象という意味になるので、「グラグラの実の能力の特性=地震を起こす」ではなく、「グラグラの実の能力の特性=地震を引き起こす原因となる“外部の力”」というのが正しい解釈だ。
その「外部の力」が何なのかを作中の描写と公式情報を見ていくと、グラグラの実関連で作中とSBSに記述されているある言葉にたどり着く。その言葉が「振動・震動」、すなわち揺れ自体を指す言葉だ。実際にこれらの言葉は、作中において「振動」という言葉が用いられ、クザンが発言している一方で、「震動」は、SBSにおけるグラグラの実の簡単な解説で使用されている言葉である。
「揺れ」であれば、強い振動の発揮・※共振現象の発生によって「破壊」に変える説明はいくらでも可能である(※対象物自体が持つ揺れの固有周期と発揮した能力自体の揺れの周期が一致することで、揺れが増幅する現象。この場合の「周期」とは揺れが1往復するのに掛かる時間のことを指す)。
そのことを踏まえた上でグラグラの実の能力の「地震」を考慮すると、作中の能力と地震現象は意味が全く異なっていることから、能力の特性と直接的には無関係だということが分かる。つまり「地震」は、グラグラの実の能力によって誘発された現象の一つなので、本当はグラグラの実の特性に該当する能力ではないと言える(一般的な意味で解釈しても、あくまでも「震動」に属す現象の一つなので、それでも特性の説明としては不十分である)。「グラグラの実の特性=地震」という解釈は、別の能力で例えると「マグマグの実の特性=噴火」という解釈をしているのと同じなので、相応しいとは言えない。
このように「地震」は2種類の意味として使用され、それぞれ場面によって意味の解釈が異なってくるので、作中でも使用場面に十分注意が必要になる言葉である。
迷ったときは地震という言い方を控え、「グラグラの実=揺れの特性を持った能力」とするのが最も無難だろう。
ただ、能力者のグラグラの実の能力の扱い方は、能力を使用することで触れる「大気」を地球の表面を覆っている分厚い岩盤「プレート」に例えた場合、
グラグラの実の能力の力を発揮するメカニズム | 実物の地震に置き換えた場合の説明 | 再現している地震のタイプ |
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大気にヒビを入れることで、それが振動の衝撃波となって周囲に伝播していき、対象を揺らすことができる | 地震を起こすことで、地震波が伝播していき、地震動を発生させる | プレート内地震(内陸地殻内地震・スラブ内地震等) |
大気そのものを掴んで、それを大きく叩きつける(=滑らせる)ことで、周囲を大きく揺らすことができる ※ | 意図的にプレートや断層を大きく滑らせることで、巨大地震を引き起こし、周囲を大きく揺らすことができる ※ | 大規模なプレート境界型地震 ※ |
※少年向けに描いている漫画ということや、例外なく巨大地震のような描写になっていることから、それにふさわしい一般的に馴染み深い地震のタイプを考慮すると、「プレート境界型地震」の再現と考えられる。
という見方ができ、グラグラの実の能力の力を発揮する仕組みが実物の地震発生メカニズムと全く同じなので、地震に置き換えられることが分かる。このことからグラグラの実によるは、「能力を発揮する仕組み」や「揺れるという現象」の2つが地震と全く同じだから、「地震」を特性の一つとして呼んでも良いのかもしれない。
しかし、それでも地震は「岩盤の破壊」「地面の揺れ」という意味なので、現象自体が違うことに変わりはない上、それも何らかの外部の力(揺れの能力)によって初めて引き起こせるものなので、特性を説明するときに「地震」という表現を使用する場合、「地震の能力」という言い方よりも、「地震のようにあらゆるものを破壊できる・揺らすことができる能力」と比喩表現として使用する、またはSBSの解説通りに「地震を引き起こす能力」などと説明する方が正確だろう。
グラグラの実の能力の特性を正しく認識できている者は、はっきりと確認できる者だけでもクザンのみで、能力の特性を正確に把握できている者は実力者を含めてもごく少数。読者も含めて地震や能力に詳しくないような発言が多く目立つ。
つまり、能力の概要を正しく見極めるには、地震に対してのある程度の専門的な基礎知識を持っていることが前提条件となるのだが、「地震」については、基本的なことも含め正しい認識を持っているファンが非常に少なく、殆どが一般的な意味だけで認識していたり、曖昧な理解になっていたりする。そのためグラグラの実は、ファンの間でも認識にずれが生じたり、勘違いが多く生まれたりしやすい能力の一つと言えよう。
覚醒しているのか?
悪魔の実の能力には覚醒という段階があり、超人系の場合は自身の能力が周囲に影響を及ぼすようになる。
例としては
実の名前 | 基本能力 | 覚醒能力 |
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イトイトの実 | 自身から糸を生み出す。 | 周囲の物体を糸に変える。 |
モチモチの実 | 自分の体を餅に変える。 | 周囲の物体を餅に変える。 |
オペオペの実 | 手術室を作り、その中から手術室内を手術(操作)できる。 | 外部に手術の性質(手術室)を付与し、手術室の外からその空間内を手術できる。 |
ジキジキの実 | 磁力を操る。 | 相手に磁力を付与する。 |
仮にグラグラの実の基本能力が「振動を伝える能力」で、覚醒能力が「物体を傾ける能力」なのだとすれば、能力を一度も使ったことのない黒ひげが最初から使えることに矛盾が生じる。
事実、黒ひげが島や海を傾かせたときは、それを完全にコントロールできるだけの力を有していなかった。
一度覚醒した能力は、他者が引き継いでも覚醒能力まで使えるということなのか?
「衝撃波」に関しては発生していないことも多くあり、黒ひげが能力者になった際には発生している描写が一つもないため、覇気の技術による白ひげ本人の覇気であった可能性もある。
また、カイドウの発言の通り「(能力者の)心身が(悪魔の実の)能力に追いついくこと」が覚醒条件で、それだけで考えれば、強者のうちの一人である黒ひげもすぐに覚醒能力を扱えることになるのだが、それではあまりにも不自然。そこで、もう一つ求められる条件として考えられるのは、「能力者が持っている能力の特性について正しく熟知した上で、その能力を自身の力で頻繁に扱い、限界まで使いこなす」ということである。実際に上記に示した覚醒者は、何れも能力を頻繁に扱って使いこなしている強者で、能力を正しく使いこなしていない強者が自然に覚醒に至ったという事例はない。すなわち、頂上戦争時の黒ひげは完全には使いこなせていないので、島や海を傾かせた技については覚醒能力ではなく、通常能力で行える非常に強大な能力の効果に過ぎない可能性の方が高いということだ。
さらに従来の悪魔の実の覚醒者を見ると、各悪魔の実の能力が持つ特性によって、覚醒に至る基準となる心身の強さが異なっている可能性も考えられる。グラグラの実においては、超人系最強クラスの能力であることから、その能力自体が持つポテンシャル(エネルギー量)は、他の一般的な能力と比較して桁違いに高く、四皇クラスの強者ですらも中々覚醒には至りにくい能力である可能性もあるということだ。
グラグラの能力を使用して発揮できる「地震」で例えると、この自然現象は対数という数値でその規模を表し、マグニチュードが0.2上げるとエネルギー量はおよそ2倍、1上がればおよそ32倍に膨れ上がる性質がある。分かりやすく、この数値表現を悪魔の実自体が持つ力に当てはめて、以下のように3つに段階分けをする。
- M6.0のエネルギーに相当するポテンシャルを持つ悪魔の実の能力を「Aの能力」(ポテンシャルの低い能力)
- M7.0のエネルギーに相当するポテンシャルを持つ悪魔の実の能力を「Bの能力」(ポテンシャルが中程度の能力)
- M8.0のエネルギーに相当する、或いはそれを超えるポテンシャルを持つ悪魔の実の能力を「Cの能力」(ポテンシャルの高い能力)
そうすると、「Aの能力」を覚醒させるには、M6.0に相当するエネルギー量を持っているので、能力者も必然的にその力を完全に使いこなせるだけの強大な力と精神力が必要となるのだが、この段階でもハードルは非常に高い。「Bの能力」は、能力自体が持っているエネルギー量はM7.0相当、すなわち大地震を引き起こすレベルに相当するエネルギー量となる。なので、仮に能力者がM6.0程度までの実力しかなかった場合は、現状のおよそ32倍分心身共にパワーアップさせないと「Bの能力」は覚醒には至らないということになる。そして「Cの能力」については、M8.0に相当するほどのポテンシャルを持っているので、巨大地震を引き起こしてしまうほどの莫大なエネルギー量。すなわちこの場合、能力者がM7.0程度までの実力しかなかった場合は現状のおよそ32倍分・M6.5程度までの実力しかなかった場合は現状のおよそ178倍分・M6.0程度までの実力しかなかった場合は現状のおよそ1000倍分心身共にパワーアップさせないと「Cの能力」に追いついたとは言えないので、覚醒には至らない。また、この理論では、強さがM9.0に相当するなどのポテンシャルが桁違いに高い能力であれば、能力者の力の現状が仮にM6.0相当までの能力の力しか操れない場合、さらにそのおよそ3万2000倍分心身共に限界まで追い込んで強くならないと覚醒は起きないので、いくら実力者の多い作中世界でも、このような能力に限っては、「覚醒者が現れるのは平均数百年~数千年に1人」ということになり、それは「極めて稀な現象」ということなる。
つまりグラグラの実においては、この場合における「Cの能力」に該当しているので、余程な強者でない限りは覚醒の実現は非常に厳しいということになる。
このように能力自体のポテンシャルが高すぎてしまうと、もしかしたら「覚醒」には至りにくいのかもしれない。
ただ、全盛期はロジャーと互角に戦えた(ロジャーの死後は名実ともに世界最強の大海賊だった)白ひげが、『悪魔の実の覚醒というステージに到っていない』とは考えにくいため、作中で描写されたいずれかの描写が『覚醒』によるものか、あるいは『老齢や病気のために全力で戦えていないため、悪魔の実の覚醒能力を引き出せなくなっている』かのどちらかが最も有力だろう。
余談
東北地方太平洋沖地震によって発生した「東日本大震災」の影響
アニメ版でこの実の能力が初登場した当時、近畿広域圏を放送域としていた関西テレビは、フジテレビ系主要局同時ネットから丁度1週遅れで同番組をネットしていた。
ところが、2011年3月11日に東日本大震災が発生。フジなど最速局ではこの放送が行われた後だったのに対し、関西テレビではちょうど3日後に放送を控えた状態で震災を迎えた……。
当然翌日曜日は全局で放送が延期となったものの、この実の能力があまりにダイレクトに直近の災害とリンクしてしまうことになってしまったため、関西テレビでは翌々週以降も放送期間を出来るだけ先延ばしすべく特別編を一定期間放送。
その結果最速局から6週にも及ぶ遅れが発生してしまい、長らくこの遅れが解消されなかった。
翌2012年8月に夕刻以降の時間を利用して当初遅れ分の5話を一挙放送し震災以前の1週遅れに戻したあと、2016年春の番組改編時期を利用して1時間放送を実施し、最速系列局との同時ネットに復帰。
この時の遅れを挟み、2006年10月の朝ローカルセールス枠以降以来9年半ぶりに最速系列局への復帰となった。
歴史に残る巨大地震の大きさ
歴史に残る巨大地震の規模はM8クラス以上のことを指すことが多く、震源域(岩石の破壊範囲)は数百km以上に及び、スーパーサイクルのようなM9クラスになると地震波が地球を数周以上する(数十万km駆け巡る)程巨大。
実際に東北地方太平洋沖地震の震源域は南北約500km・東西約200kmに及んでおり、およそ10万㎢にわたって破壊が及んだ。
また、地震の力はM7とM9は一見すると差がそこまでないように思えるが、実はM2違うだけで1000倍近くもエネルギーに差がある。
ここでも大津波を引き起こすほどの巨大地震の凄まじさが窺える。