「俺は俺の道を選ぶだけ…運命等知ったことか!」
「弱い奴が消え、強い奴だけが生き残る…当然のルールだ」
「俺の敵とは…強い奴を背中から撃つような奴だ!!」
演:小林豊
変身する仮面ライダー
概要
「チーム鎧武」のライバル「チームバロン」なるダンスチームのリーダー。
本編開始時点での年齢は20歳。
第3話でシドから戦極ドライバー・バナナロックシードを手に入れ、仮面ライダーバロンの変身者となる。
かつて両親は町工場を営んでいたが、ユグドラシル・コーポレーション進出に伴い、その工場が潰され、そのせいで幸せであった日常・家庭が崩壊してしまった過去を持つ。
その時に味わった絶望と屈辱から「弱者は淘汰されてしかるべき」という信条を持っており、強くあらねばならないという観念に囚われる様になった(一部視聴者からは弱肉強食ともいわれがちであるが、「弱者は強者の養分・玩具」という捉え方をされることが多いこちらと異なり、戒斗は「今は弱くても、強くあろうとする意志を持ち努力し続けるなら自分の同志である」という立場を取る)。
常にトランプを携帯しており、投げつければテレビの液晶に突き刺さり、BLACKとBLACKRXにもダメージを与えたが、戦極凌馬に投げつけた際には湊耀子のペン投げに妨害されている。
人物
何度敗北に追い込まれても頑なにそれを認めず、DJサガラからは「弱さと折り合うつもりが全くない(=妥協しない)分、ユグドラシルより人としては強い」「力を求める以外の生き方を全て放棄している」と評された(一方でその直後に「愚かな男」とも評されている)。
当初チームバロンへの加入は、「沢芽市で一番強いチームだから」という理由だけで決めたものだったが、のし上がろうとする熱意は本物。
やり方こそ強引であるが、チームを強くし、ランキング頂点に立つべく邁進している。
柔軟に物事を考えられるが故に相手や状況によって考えを変えやすい悪癖がある紘汰とは違い、どんな状況の変化があろうと自身の考えは一切曲げず、信念の強さと意志の固さは相当なものである。
その強硬な姿勢も、周囲の人間を引っ張るカリスマとして発揮される傾向があり、後半では耀子から「人を引き寄せる何かがある」と評された。
警戒心も人1倍強く、戦闘以外でもいつ敵に襲われても良い様にゲネシスドライバーを常に装備しているシーンも多い。
ただ、短所としてその「プライドの高さ」「強過ぎる信念」「融通が利かない性格」が仇となり、無用な不和や軋轢といった争いの種を無闇にバラまいてしまうこともある。
ストリートダンスに己の主義を持ち込んでしまったせいで現在の不毛なランキング抗争を巻き起こしてしまい、さらにそれをユグドラシルに利用されたことで抗争が泥沼化した結果、初瀬の破滅やビートライダーズに対する風評被害とそれに伴うチームレッドホットらの愚行、後のシュラといった、いくつもの災いを招く遠因となってしまったこともある。
力をもって身を守るというスタンスに対する迷いはなく、第13話でインベスに襲われた事で奇病を発症した患者の家族に糾弾された際は、バロンに変身してからインベスを召喚して威嚇するという悪役染みた行動も平然とやってのける程。
もっとも、純粋な悪党という訳ではなく、不正行為をしたペコには「俺に恥をかかせる気か」と叱責する等、真っ当なプライドも持ち併せている。
さらに上記の第13話の直後に起きたブラーボと戦いの最中において、ペコが負傷した際には自らのプライドよりも彼の保護を優先しており、さらに憎まれ口を叩きつつも紘汰と共闘、ロックシードも貸す、シャプールに命が狙われていることを忠告する等、何だかんだ情がある男である。
第18話で名誉を回復させようと合同イベントを行おうにも、(ユグドラシルの暗躍もあったとはいえ)元は自分が広めてしまった抗争による遺恨禍根が原因で互いに歩み寄れずにいたビートライダーズたちに対し、彼なりに責任を感じてザックにリーダーの座を託し、チームより脱退することでけじめを着け、ビートライダーズ間にあるの不和を解消に導く一翼を担う等、責任感も強い。
自分同様「強くなろうという意志」を持つ者に対しては優しく、彼らが不条理な災難に襲われれば己の身を省みず助ける。
しかし、他方で、卑怯なやり方で分不相応な結果を得ようとする者や大義名分を振りかざして粋がる弱者には異常に厳しく、チーム追放処分(シュラに対して)やステージ独占(他ビートライダーズに対して)、インベスをけしかける(上記の患者の家族に対して)等の容赦ない行動に出ることもしばしば。
この二面性が駆紋戒斗という男の持ち味といえるであろう。
ちなみに、ハイパーバトルビデオによるとスイーツ作りが得意らしい。
活躍
当初はチームバロンのリーダーとして活動しているのみであったが、紘汰がアーマードライダー鎧武として活躍する様になったのを「力の使い方がなっていない」と不満を覚え、第3話にて自身もシドから戦極ドライバーを入手する形でアーマードライダーバロンとしての力を得る。
当初はアマチュアの域を出ておらず、戦闘のプロである斬月やブラーボが相手では苦戦を強いられた。
序盤では2VS1で不意打ちであったとはいえ、黒影やグリドンにも黒星を付けられている(その後の黒影&グリドンは敗北を続け、黒影に至ってはこの勝利が唯一の白星となった)。
それでもブラーボ/凰蓮からは伸びしろを高く買われており、物語が進むうちに着実に実力を伸ばしている。
第18話では舞から持ちかけられた合同イベントの話に対し、「自分がダンスをやっていたのは力を見せつけたいだけだった」と嘯き、ザックにバロンのリーダーの座を託して脱退を表明。
その際彼に餞として量産型ドライバーを渡してアーマードライダーナックルに変身するきっかけを作り、イベントを邪魔しようと目論んだ凰蓮達に敢然と立ち向かったザックに彼なりの賞賛の言葉を贈った。
第19話では紘汰と共にユグドラシルに潜入。
続く第20話で戦極凌馬と対話。ユグドラシルの目的等を説明された上で、「世界の平和のために手を組もう」と持ち掛けられる。
しかし、パニックを防ぐために情報を伏せていたという彼等の傲慢さには上記の理由から納得出来ず、「嘘偽りで塗り固められた世界などいっそ壊れてしまえば良い」と悪役染みた台詞を吐く。
ところが、逆にこの思想が凌馬のみならず、シドや湊耀子からも歓迎され、改めて彼等と手を組むことになった。
第22話で紘汰と再会するも、彼とは対照的に「侵略に怯える連中を救うつもりはない」とユグドラシルのスカラー兵器使用に反対することはなく、せめて自分のチームメイトだけでも救おうと避難させた呉島光実とも考えが異なる。
第23話では凌馬よりその存在を教えられたオーバーロードインベス・デェムシュと対峙。圧倒的な力を前に苦戦を強いられることとなった。
その後に舞やザックと再会。舞に対してはプロジェクトアークについて断片的に話した際に「どれだけ圧倒的なものに踏みにじられ、絶望を味わったとしても、それでも踊り続けられるというのなら、俺はお前の強さを認めよう」といい、ザックには自分がユグドラシルと手を組んでいることを告げて舞にいったことと同じ話をした後、ザックから「ユグドラシルに利用されている」と警告されるも「そうだとしても逆に利用する」と前向きな姿勢を崩さず、「未来は己の力で勝ち取ってみせろ」と激励とも取れなくない発言をしている。
その後の第27話では、紘汰を後ろから撃った光実に激怒。彼を敵視し、追い払っている。
その際、紘汰を木の上に隠す事でインベスから匿っており、彼のことは「邪魔者だが敵ではない」と評しており、第28話においては紘汰に「味方に寝首をかかれるな」と暗に忠告をしていた。
この頃には何度倒れても立上がる紘汰の強さを認めつつあったらしく、第31話においては「お前ももっと強くなれ」と激励の言葉を送っていた。
戦いの中で成長を重ねたことで他者を率いる一種のカリスマ性を開花させており、第32話でのデェムシュとの戦いにおいては他ビートライダーズ達を率いて戦う姿を見せる。
その力は舞や耀子から評価されており、耀子はこの1件で自らが求める「王の器」が戒斗にこそあるという確信を得ている。
第36話で斬月・偽に襲われる紘汰の助太刀に向かうも、レデュエの妨害を受け、変身出来ずに逃走を許してしまう。
その際、レデュエの武器で受けた傷が元でヘルヘイムの奇病を発症してしまい、傷口を隠していた。
第37話ではどこからともなく現れたDJサガラにより、パラレルワールド(平行世界)から召喚された極アームズの鎧武と戦い、現状の力の差を見せ付けられる羽目となる。
「力の差があるなら戦うだけだ!」と奮起するも、戦いを観ていた謎の少年に気を取られた隙に火縄大橙DJ銃の一撃で平行世界の沢芽市に飛ばされた。
ちなみに、この回でサッカーが苦手であることが判明した。
第38話でもレデュエから受けた傷は癒えることなく徐々に悪化しており、第41話でロシュオと交戦した際も余りの痛みに悶絶している。
第42話でかつて凌馬達の前で語った本性を現し、「人類はヘルヘイムを取り込んで進化するべき」と人類存亡を度外視した考えを口にしたため、ヘルヘイムから救うことを目的とする紘汰を怒らせ、対立してしまう。
彼らの前から姿を消した後、追って来た耀子に傷口のことを知られてしまい、ゲネシスドライバーで植物侵食を抑えているとはいえ「このままでは死んでしまう」と警告される。
第43話では戦極凌馬が潜伏している病院で凌馬の手にかかり冷たくなった舞の姿を見て怒りを露わにし、ゲネシスドライバーで変身しようとするも凌馬が予め仕込んでいたキルプロセスによりゲネシスドライバーを喪失。
代わりに戦極ドライバーでの変身でデュークに対抗するが、スペック差とヘルヘイムの毒により、圧倒的に不利な戦いを強いられ、窮地に陥る。追詰められた戒斗は背後に生えていたヘルヘイムの果実に目をやると…
結末
「あんたも実験は大好きだろ!! ここまで毒に慣れた俺が……こいつを食ったら、一体どうなるか!!」
凌馬「正気か?貴様!」
「…初瀬と同じくらいにはなァ…!!」
「貴様の真理等、机上の空論!俺の真理は…この拳の中にある!!」
突如、自身の背後に実っていたヘルヘイムの果実を手に取る。そして、イチかバチか最後の賭けとして遂にヘルヘイムの果実を口にする。
長期間に渡ってヘルヘイムの毒に耐え続けたことが功を奏し、体内に抗体の様な成分が発生していた様であり、オーバーロードと同等の存在であるロード・バロンへと進化を遂げる。
そのまま圧倒的な力でデュークを翻弄。変身が解けた凌馬に鉄拳を叩き込んで致命傷を負わせた。
「貴様はいずれ破滅する」と捨て台詞を残して自ら転落死した凌馬に対し、変身を解除した戒斗は「俺は何者にも屈しない…俺を滅ぼす運命にさえも!」と力強く宣言した。
その後、第44話でサガラの言葉を受け、人類相手に全面戦争を仕掛けることを決意した戒斗は耀子・ザックを擁したインベス軍団を組織。
しかし、続く第45話で裏では彼を止めようと考えていたザックの罠に遭って耀子が自身を庇い、ビルから落下してしまう。
ザックの主張を「強くなったな」と受止めつつ自らの手で撃破した戒斗は自分を庇って高層ビルから落下し致命傷を負った耀子を看取った。
この時、「私が知恵の実となっていたら私を求めてくれた?」と問い掛けた耀子に対し、「耀子は耀子、知恵の実は知恵の実」と、耀子自身にも求めるに値するものがあったと取れる発言をしており、ある程度の感情を抱いていたことが窺える。
そして、遂に紘汰/鎧武率いるインベス軍団と対峙。今まで誰にも打明けなかった自分が求める理想の世界を語る。
それは強さと引換に優しさを捨て去り、弱者に己の都合を一方的に押し付け、力づくで踏みにじる冷酷な強者も強さを求めず他人を騙して食い物にする卑怯な行いを始めとした悪事を弱さを免罪符として正当化する弱者さえもいない「弱者が踏みにじられない世界」であった。
最終決戦では優勢に立ち、ロード・バロンの姿で止めを刺そうとしたが、自らの武器である大剣を圧し折られ、折れた剣先で腹部を貫かれ倒される。
最期は人間の姿に戻った所を紘汰に抱き止められ、泣きながらでも前に進む覚悟を決めた彼を「お前は…本当に『強い』」と言葉少なに讃え、その生涯を終えた。
最終回ではエピローグで存在の残滓として御神木の下に姿を現し、舞と再会。
舞「どう?戒斗。みんな過去を乗り越えて、前に進もうとしている。人類にはまだまだ未来があるよ」
戒斗「だが、いつかまた間違える・・・。再度争い、傷つけ合う…」
舞「そうだね…そしてその度にやり直す。間違いを正しながら、少しずつ歩いていく…」
戒斗「やはりお前は強いな…」
そう告げると穏やかな笑みを浮かべながら消滅した。
ロックシード
本編劇中で彼が入手した失ったロックシード・ドライバーについて以下に記す。
第2話 | チームレイドワイルドとのインベスゲームでヒマワリロックシード2つとクルミロックシードでインベスを召喚している(入手経過は不明)。チーム鎧武とのインベスゲームに負け、パインロックシードを鎧武に渡す。 |
---|---|
第3話 | シドから戦極ドライバー・バナナロックシード・ロックビークル(ローズアタッカー)を貰う。 |
第4話 | ヘルヘイムの森でマンゴーロックシード、ヒマワリロックシード、ドングリロックシード、マツボックリロックシード、イチゴロックシードを入手。マツボックリロックシードを初瀬亮二、イチゴロックシードを城乃内秀保にそれぞれ譲渡。 |
第5話 | 城乃内秀保にドングリロックシードを譲渡。 |
第7話 | ブラーボとの勝負に敗北するが、今後の伸び代を評価され、バナナロックシードを即座に返却される。 |
第8話 | ヘルヘイムの森で「ヒマワリロックシード」を入手するも即座に放棄 |
第12話 | チームレイドワイルドとのインベスゲームに勝利し、初瀬亮二からマツボックリロックシードを入手。葛葉紘汰にバナナロックシードを一時貸出。 |
第13話 | ドングリロックシード2つ・ヒマワリロックシードを使い、インベスを召喚していた(入手経過は不明)。 |
第18話 | ヘルヘイムの森でダンデライナーを手に入れる。 |
第19話 | 葛葉紘汰からスイカロックシードを貰う。 |
第26話 | 湊耀子(戦極凌馬)からゲネシスドライバー・レモンエナジーロックシードを与えられる。 |
第39話 | スイカロックシードをザックに譲渡。 |
第43話 | キルプロセスにより、ゲネシスドライバーを喪失。 |
他媒体作品での活躍
『天下分け目の戦国MOVIE大合戦』
戦国バトルロワイヤル途中に紘汰・光実と共に異世界の戦国時代に迷い込み、ノブナガからタカメダルを授かった後に武神バロン軍を立ち上げる。その後はイエヤス城に乗込む際に紘汰と「(紘汰が)勝利したら武神鎧武を倒して沢芽市に帰る」という条件で交戦。結果敗北し、約束通り武神鎧武と戦うこととなる。
『仮面ライダー大戦』
平成ライダー達の力を集めるべく、左翔太郎のペット探しに不本意ながらも協力。
トランプで亀の動きを封じるが、犬に翻弄されて池に落ちてしまい、「カメコ」呼ばわりされる。
その後、ジョーカーと共闘。BLACKRX&BLACKをマンゴーアームズで迎撃したが、スーパー1のスーパーライダー閃光キック、アマゾンライダーの大切断からジョーカーを庇って倒され、ヘルヘイムの森に転送されるが、ヤマアラシロイドとの戦いで復帰する。
この1件で、亀に興味を示した様で、ペットショップを訪れていた。
『MOVIE大戦フルスロットル』
本編の正統続編である本作にも登場。
本編では物語終盤で紘汰との戦いに敗れ、既に死亡しているが…
詳細はこちらを参照。
『鎧武外伝(Vシネマ)』
第1弾
2015年4月に発売されたVシネマの『鎧武外伝』第1弾では、「バロン」編にて主役を務めた。時系列は第20話以降で第23話のデェムシュとの対決の前。
そして作中では、駆紋戒斗が「ある男の話」として自分の過去をより詳しく語った。
ユグドラシルによる父親の工場の買収の際、強引な姿勢ながらもユグドラシルは対価として巨額のお金を支払い、父親もそれを承諾した事で、一応その場は穏便な決着を迎えた。
そして、それ以降は工場を失った喪失感を抱えつつ新しい生活を営んでいたようだが、大事な工場を捧げてまで得たせっかくの大金も騙し取られてしまったことでその新生活も破綻。
それを切っ掛けに自分が失った物の大きさに耐えかねた父親は酒に溺れ、妻やまだ幼い戒斗に暴力を振るう様になり、「最終的に母は薬物の大量摂取で自殺」・「父も首吊り自殺」をしてしまうという最悪の結末を迎えてしまう。
ちなみに、書籍『仮面ライダー鎧武ザ・ガイド』に掲載された本編開始前を舞台とした小説でもこの件について少し触れられており、父の遺産のお陰で戒斗も一応地元高校に行くことが出来たことが語られている。
「戦うべき相手がいるなら戦え!そうしなければ、一生後悔するはずだ…!」
第2弾
『鎧武外伝第2弾』のネタバレ注意!
2015年11月に発売された『鎧武外伝第2弾』においては、ザックが主役を務める「ナックル」編に登場。チームバロン結成経緯が語られた。
元々チームバロンはリーダー不在グループであったが、それに目をつけた戒斗がチーム全員を相手取り、強引に乗っ取る形でリーダーの座に就いている。
その後、新生チームの名前として「貴族の様に誇り高く生き、その最下層階級からのし上がり、天下を取る」という意味を込め、チームバロンを宣言。
この時、チームメンバーの中で唯一自分に不意打ちを仕掛けたシュラを卑怯者と見なして追放している。
「お前ならばもっと強くなれる……そう思っただけだ」
『仮面ライダーゴースト 伝説!ライダーの魂!』
鎧武編にロード・バロンの姿で登場。
フレイによってサジタリウス・ノヴァと共に復活するも、彼女に従う素振りは全く見せず、あくまで自らの意思で仮面ライダーゴースト/天空寺タケルの強さを確かめるべく勝負を挑む。
最終的には鎧武魂となったタケルに敗北するが、彼が見せた覚悟に紘汰を重ねたのか、満足した様子で彼を称えながら爆散した。
「それがお前の強さか……お前だけの強さを求めれば良い!」
『仮面戦隊ゴライダー』
戦いの中で死んだライダーとして縁が深い湊耀子/マリカと共に登場。
当初は永夢や他のライダーたちを信用せずに自身の名を明かさず「バロン」で通していたが、永夢の覚悟と耀子の言葉から不器用ながらも「駆紋戒斗だ」と名乗った(この時の自己紹介は気まずそうな小声でいっている。ファン必見である)。
アカライダーに変身した際にはかつての経験を活かしたアクションを見せる。
『仮面ライダージオウ』
EP11・12に紘汰と共に登場。
アナザー鎧武が誕生した影響でこちらの戒斗はアーマードライダーではなくなっており、2018年の時代まで生存している。
弱肉強食ルールに従っている面や、他者に対する容赦ない物言い等は歴史が変わった後でも相変わらずな様子。
ジオウでの活躍
- EP11『ジオウ・オン・パレード2018』
2013年の時代にアスラという青年をチームバロンから追放しており、後にアナザー鎧武となったアスラによってヘルヘイムの森に転送されていた。
その後は5年間もヘルヘイムの森を彷徨い続けていたらしく、後に同様に転送されてきた明光院ゲイツと対面する。
ジオウを倒すために元の世界に戻ろうとするゲイツに対し、「運命を覆す強さ等お前からは感じない」と冷たく言い放った。
- EP12『オレ×オレのステージ2013』
タイムジャッカーのスウォルツによってヘルヘイムの森に投げ込まれてきた鎧武ライドウォッチをゲイツが拾った後、彼が携帯しているバイク・ライドウォッチを見て唯一の出口である崖の先のクラックまで案内し、ライドストライカーを使えば現実世界に戻れるかもしれないと告げた上で、ゲイツに運命を変える覚悟があるかどうかを試した。
そしてアナザー鎧武がジオウ・鎧武アーマーによって倒された後、他チームバロンのメンバー達と共にヘルヘイムの森から帰還。
ジオウに敗れてアナザー鎧武の力を失い、それでも縋ろうとして来たアスラを後述の台詞の下に容赦なく切り捨て、その場を立ち去るのであった。
「失せろ。自分の力で頂点を掴み取る覚悟がない奴に居場所なんてない」
評価
「過去の悲劇によって天涯孤独の身となってしまった生い立ち」や「並外れた向上心」「自分の信念を頑として曲げない意志の強さ」等から、本編の主人公である紘汰以上の人気を誇り、『仮面ライダー鎧武』という作品自体が、駆紋戒斗の信念に殉じる物語であると見ている視聴者も非常に多い。
最終的に若くして死ぬ道を辿っていながらも、その後も外伝作品等様々な形で出演し、キャラクターの掘り下げが積極的に行われている点からも、シナリオライターや製作関係者、スタッフ等の間でも戒斗の人気がいかに高いかがわかる。
一方、終盤で起こした「結果的に仲間全員を裏切って全ての人類を滅ぼし、自分だけに都合の良い楽園を作ろうとした」という行動がやはり行き過ぎていた為か、戒斗が判官贔屓的に優遇されている事に異論を唱える視聴者も少なくない。
前述のように、彼が夢見た世界はかつてユグドラシルという強者の都合で人生を狂わされてしまった両親や自分のような『弱者が踏みにじられない世界』であり、紘汰も「やり方こそ間違えたが、あいつの理想は正しかった」と述べる等、彼もまた虐げられるだけの存在を救おうとした「仮面ライダー」だったと言える。
しかし、戒斗がこれまでライダーとして戦い続ける原動力だったものは、「自分や両親を虐げ救ってくれなかった人間社会そのものへの復讐心」という私怨を交えた感情で、最後までその根本的な本質自体が変われなかった結果、「現在の人類に自身の理想とする世界を作る事はできない」と断じて歪んだ選民思想に取り付かれ、「現在の人類を滅ぼした上で新しい世界を作る」つまりは「仲間を含む全ての人類を見捨てる」という結論を導き出してしまっていた。
紘汰が戒斗の理想について賛同はしていたのも、あくまで彼が「戒斗の理解者」だからこそ感情移入ができただけの話で、戒斗について殆ど知らない赤の他人から見れば、凰蓮が指摘した様に「力に溺れて傲慢に陥ってしまった者」でしかなかったのも事実である。
戒斗を最も慕っていたザックでさえも、苦悩の末に彼を裏切って倒してでも止めるという決断を促す事になり(その際戒斗に「結局アンタは何一つ変われてないんだな」と半ば失望したような発言をしている)、紘汰の方も戒斗の歪んだ理想の為だけに大切な人々をインベスの生贄にすることを許容できず、最後の最後でも彼と手を取り合うことは遂ぞなかった。
そして戒斗の死後、紘汰は舞と共に彼の理想を引き継ぐべく、犠牲を出さない方法で戒斗の理想を実現するために地球を離れ、別の惑星で新たな世界を構築し続ける結末となった。
詰まる所、自身の信念・正義・理想を最後まで貫き通した彼のこと、「罪なき人々の平和な生活を脅かした悪を滅ぼした末に平和な世界を作ろうとした仮面ライダー」と見なすか、「世界への復讐のらめに人間を捨て、人類を裏切り、戦争を目論んだ魔王」と見なすかは長きに渡る禁断の果実を巡る戦いを最後まで見届けた各々方に委ねるべきであろう(余談であるが、戒斗自身の自己評価は後者寄りであり、耀子に「良いのか?お前が生み出そうとしているのは世界を滅ぼす魔王だぞ」と自虐しながら忠告している)。
余談
小林豊氏本人はバロンのバナナというモチーフに反し、バナナが大の苦手である(ただし「バロン役を演じるうちに食べられる様になった」と、公式ブログ内の「ゆたCafe」動画で本人が発言している)。
他にも小林氏は、ゲームセンターのUFOキャッチャーで玩具のロックシードをゲットしようとしていた所を見知らぬ子供に発見され、気まずい空気になった所を「ロックシードの回収だ」と言い残し、立ち去ったという微笑ましい(?)エピソードがあるらしい。
ちなみに、鎧武放送終了後の作品、とりわけ春映画関連作品では毎年高確率で仮面ライダーバロン、ロード・バロンのどれかが登場している。
このうち、『MOVIE大戦フルスロットル』を含めた客演作品では『仮面ライダー4号』を除いて、戒斗の意識を保ったまま出演してたりする。
幾ら何でも起こされすぎじゃあ…(『仮面ライダー4号』)に登場したバロン以外のショッカーライダーも後年作品に登場する頻度が高めであったりする。
『仮面ライダービルド』放送時に春映画が廃止されたため、登場は絶望視されていたが、ビルドの夏映画『Be the one』でロード・バロンが、『仮面ライダージオウ』で戒斗、そしてディエンドにカメンライドされたバロンが登場した事で、連続出演記録は守られた。
オリジナルキャストかどうかはさておき、大体平成ライダーの後輩の作品に1回は変身前か後が出演しているという奇妙なジンクスを確立した。
メインライター・虚淵玄、戒斗を「紘汰の壁となる強者」として、紘汰がずっと戒斗に負け続ける構想とする予定であったらしいが、子供向け番組である以上、主人公が負け続けるのはまずいということで駄目出しが入り、初期設定からズラして行ったと語っている。
恐らく、当初の戒斗のこの初期構想を引継いだキャラが呉島貴虎/仮面ライダー斬月なのであろう。
ちなみに、後年の作品では、登場当初、主人公に連戦連勝してトラウマまで与えてしまった2号ライダーがいる。
因みにバロンのモチーフであるバナナの花言葉はズバリ「風格」。
どんな苦境に晒されようとも誇りを捨てない戒斗の生き様を端的に表していると言える。
また、一説には旧約聖書に記されている知恵の実とはバナナであるとも言われており、日本神話における不老不死の果実とされるオレンジをモチーフとした鎧武のライバルとしてバナナをモチーフとしたバロンに変身する戒斗が立ちふさがるのは、ある意味当然のことであったのかもしれない。
関連タグ
哀しき悪役 ラスボス 復讐者 弱肉強食 ダークヒーロー アンチヒーロー
関連・類似キャラ
- グラシャ:『舞台仮面ライダー斬月-鎧武外伝-』の登場人物。戒斗を意識したキャラ。
- シュラ:『鎧武外伝』の登場人物。ネオ・バロンのリーダーで漆黒のバロン。
2号ライダー変身者