超獣
ちょうじゅう
それまでのウルトラシリーズでは「怪獣」が主な敵役だったが、『ウルトラマンA』では、怪獣とは異なる「超獣(Terrible-monster)」と呼ばれる生物たちが登場する。
それまでの怪獣に比べ、ゴテゴテしたサイケデリックな外見をしているのが特徴。
「怪獣よりも強い」と設定されており、第8話では蛾超獣ドラゴリーが二代目ムルチを三枚おろしに解体して惨殺したり、第42話で氷超獣アイスロンが伝説怪獣ウーを一方的にボコボコにしていた他、体からミサイルやマシンガン、ロケット弾を発射するなど、まさに兵器と呼ぶべき能力を持つものが多い。
当初は異次元人ヤプールが地球上の生物と宇宙怪獣を超獣製造機(Terrible-mixer)で融合させて作った合成生物という位置づけであった。『超闘士激伝』ではより詳しく言及されており、ヤプール次元の過酷な環境(劇中のヤプール次元は全ての太陽の暴走によって滅亡の危機にあった)で生きていくための生体強化技術が発達、それが軍事転用されたものだと語られている。
なお、超獣に改造されるのは地球の生物だけではなく、宇宙人が超獣に変化させられた例もあり、のちの巨大ヤプールの発言によれば暗黒四天王を超獣に改造するなど造作もない事らしい。…まあ牛の怨念すら超獣化できる訳だし。
しかし、食肉牛の怨念と宇宙怪獣を合成させた超獣だの想像上の妖怪っぽい材料不明の超獣だのが登場した挙句、シリーズ途中でヤプールが倒されてからは、自然発生したり、他の宇宙人の配下、超獣が創った超獣、ヤプールと関係なさそうな宇宙人が変化した超獣などヤプールとの関係が不明瞭な「超獣」が出始めたため、超獣という語の定義は次第に不明確になっていった(設定上は倒された巨大ヤプールの破片から生まれた事になっている)。
エースが本格的に地球防衛していた頃の超獣が特に超獣とされる事が多いようだが、上記の発生方法以外にもヤプールの怨念や残党の影響で地球の動物が超獣化するケースもあるため、ここら辺は定義が難しいところだろう。
また、『Z』で客演した際のエースの発言によれば、「どんな生き物も攻撃をされれば痛みと恐怖を覚えるが、超獣にそんなものは無い」との事で、痛覚や恐怖の感情が存在しない事が示唆されており、動きが完全に止まるまで攻撃を続ける必要があるという。
ただし(後付け故に多少は仕方ない部分もあるが)この設定がこれまでの作品に登場した全ての超獣に当てはまるとするとやや疑問符の浮かぶ部分もあるため、おそらくは現在のヤプールの怨念から発生している超獣にのみ当てはまるものと思われる。
一応、攻撃を受けて苦しんだり怯えているとしか思えない反応をする超獣も少なくないが、視聴者からは「怒涛の攻撃によって改造前の感覚が蘇る場合もある」「感情があるように見えるだけで、実際には機械のバグのようなもの」と解釈されている。
超獣人間
超獣人間はコオクスの別名だが、「ウルトラ怪獣大百科」などでは、超獣の中でも特に知能が高く人間に変身する能力を持つ者達のこととし、バキシムやブロッケン、カウラなどを超獣人間の一例としている。
初代バキシムがヤプール人を自称し、コオクスがヤプールの生き残り扱いされる場合があるので、ヤプール人の一種族なのかもしれない。
『タロウ』以降の登場
結局、超獣のメインとしての登場は『A』止まりとなり、次作『ウルトラマンタロウ』では超獣よりさらに強いとされる大怪獣が登場する。第1話でアストロモンスがオイルドリンカーを捕食し、その強さを示すという演出がなされた。
しかし『Z』では大怪獣であるベムスターが異次元空間から感じた超獣の気配に怯え逃げ去っているので、現在もこの設定が生きているどうかは不明(ただしこの設定がタロウに登場した怪獣が超獣より強いと言う意味であれば、ベムスターは帰マンに登場した怪獣であるため設定としては成立し得る)
なお、「怪獣よりも強い」という設定の名残なのか、現在でも超獣を「怪獣」と呼称する人がいた場合、別の誰かが「怪獣じゃない、超獣だ」と訂正するシーンが挿入される事がある。ただし、超獣も数ある怪獣の中の一カテゴリーでしかないため、怪獣と混同してしまう初心者の気持ちもわからないでもない。
『A』と世界観が繋がっている『メビウス』に登場した超獣は、全て復活したヤプールの配下である。『タイガ』のボイスドラマによると、それ以降も残されたヤプールの怨念からどこかで生まれ続けているらしい。
近年のウルトラシリーズでは、超獣という点は強調されるものの「怪獣より強い」という設定は霞んできており、かませ犬的な役割も少なくなく、ゼットンやベムスター、ブラックキングなどの強豪怪獣のようにウルトラ戦士を苦戦させる事はあまり多くない(その分、『Z』のバラバなどの例でのインパクトが高いといえる)。こうした点から、「怪獣より強い」という謳い文句はあくまで「兵器としての素のポテンシャルが怪獣より優れている」という見解が一般的になりつつある。
『大怪獣バトル』以降は、ヤプールが生み出したはずの超獣がギャラクシークライシスやダークスパークウォーズの影響で別次元へ飛ばされ、野良と化して普通の野生怪獣と同じように暴れていたり、レイオニクスなど他の勢力に操られてしまったりしている事がある。そのため、ウルトラマンコスモスがある勢力に操られた超獣と対峙した際は倒さずに救い出している。
ちなみに、『タロウ』以降2025年現在までに映像作品で再登場を果たしている超獣は、初登場が巨大ヤプール敗北前の純ヤプール製超獣かヤプールの残党が関与した超獣がほとんどで、巨大ヤプール敗北後が初登場で再登場を果たした超獣は、女ヤプールが操ったベロクロン二世と南夕子が地球に来る原因となったルナチクスのみである。
ヤプールと無関係の超獣
TDG三部作など、世界観の異なるウルトラシリーズにおいて超獣の別名を持つ怪獣が登場するが、これらは全てヤプールとは無関係の存在である。
『電光超人グリッドマン』に登場する超獣の別名を持つ怪獣、スタン・ハンセンとブルーザー・ブロディの超獣コンビや超獣戦隊ライブマンもヤプールとはもちろん無関係。あと銀河超獣バルガイヤーも関係ない。多分。
登場順に紹介する。()内は登場作品・話数。
ウルトラマンA
ミサイル超獣ベロクロン(第1話)
古代超獣カメレキング(第2話)
一角超獣バキシム(第3話)
怪魚超獣ガラン(第4話)
大蟻超獣アリブンタ(第5話)
変身超獣ブロッケン(第6話)
蛾超獣ドラゴリー(第7~8話)
二次元超獣ガマス(第9話)
犀超獣ザイゴン(第10話)
くの一超獣ユニタング(第11話)
さぼてん超獣サボテンダー(第12話)
殺し屋超獣バラバ第13~14話)
大蟹超獣キングクラブ(第15話)
牛神超獣カウラ(第16話)
大螢超獣ホタルンガ(第17話)
大鳩超獣ブラックピジョン(第18話)
河童超獣キングカッパー(第19話)
大蝉超獣ゼミストラー(第20話)
天女超獣アプラサール(第21話)
暗黒超獣ブラックサタン(第22話)
地獄超獣マザリュース(第24話)
古代超獣スフィンクス(第25話)
満月超獣ルナチクス(第28話)
地底超獣ギタギタンガ(第29話)
黒雲超獣レッドジャック(第30話)
バク超獣バクタリ(第31話)
超獣人間コオクス(第32話)
気球船超獣バッドバアロン(第33話)
虹超獣カイテイガガン(第34話)
夢幻超獣ドリームギラス(第35話)
騒音超獣サウンドギラー(第36話)
鈍足超獣マッハレス(第37話)
雪超獣スノーギラン(第38話)
火炎超獣ファイヤーモンス(第39話)
邪神超獣カイマンダ(第41話)
獅子超獣シシゴラン(第41話)
氷超獣アイスロン(第42話)
吹雪超獣フブギララ(第43話)
鬼超獣オニデビル(第44話)
ガス超獣ガスゲゴン(第45話)
タイム超獣ダイダラホーシ(第46話)
液汁超獣ハンザギラン(第47話)
ミサイル超獣ベロクロン二世(第48話)
水瓶超獣アクエリウス(第49話)
信号超獣シグナリオン(第50話)
バイオリン超獣ギーゴン(第51話)
最強超獣ジャンボキング(第52話(最終回))
残酷超獣チルドレス(漫画)
双竜超獣アドルフキング(漫画)
厳密には超獣ではないが誕生にヤプールが関わっているもの
異次元超人エースキラー(『A』第13~14話)
超人ロボットエースロボット(『A』第14話)
宇宙怪獣改造ベムスター(『タロウ』第29~30話)
宇宙同化獣ガディバ(『メビウス』第42話)
異次元超人メビウスキラー(『メビウス』第43話)
異次元超人カブト・ザ・キラー(アーケード版『大怪獣バトル』)
異次元超人ビクトリーキラー(『ウルトラファイトビクトリー』)
M78ワールド以外の平成・令和ウルトラシリーズに登場した超獣
骨翼超獣バジリス(『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』)
闇黒魔超獣デモンゾーア(『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』)
宇宙汚染超獣ブルードゲバルガ(『ウルトラマンブレーザー』第19話)
協力者の配下
電脳魔人テラフェイザー(『ウルトラマンデッカー』第18話)
「ウルトラ怪獣大百科」のレオゴン解説回において、合成怪獣であるレオゴンを超獣同様に『許されざる命』と解説している。
ウルトラマンAのOP主題歌に「海(空)から迫る大超獣」という歌詞があるが、後者が飛行能力を持つ個体のみならず「空を割って出現する」個体も該当するのに対し、前者に該当するのはキングクラブとカイテイガガンとオイルドリンカーの3体のみである。
KAIJU 合成恐獣(超星艦隊セイザーX) 怪獣(SSSS.GRIDMAN):似たもの同士。
モグージョン:ウルトラマンブレーザーに登場した地底怪獣なのだが、自然下の怪獣とは思えない兵器じみた身体構造や、不自然にまで高い知性から視聴者から超獣ではないかと疑われている。
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