無重力

地球を遠く離れた小惑星開発の現場。女性のみが居住するコロニーまで来て、スバルはなぜか「サッポロ一番 対 ひっぱりうどん」の対決に巻き込まれる。ラーメンの良さをぜんぜん語れないまま、彼女はうどんに大敗。リベンジマッチは三か月後。それまでにスバルは、苦手なプレゼンテーションの技術を自分のものにできるのか。小惑星開発の仕事も上手くいかず生き詰まっていたスバルのところに、謎の先輩が現れる。頼りになる実力者マヤのアドバイスで、解決に向かうように思われたが、その先輩は何度更新があっても地球に帰ろうとしない、ある大変な爆弾を抱えていた。小惑星開発、料理プレゼン、それぞれの心に抱えた事情の肯定。女しかいない人工重力下の密閉空間で、それでも互いを救おうとする心が、温かく広がる。宇宙開発ものなのに読むと腹が減る、食べられないからこそのグルメ小説。