木次駅
きすきえき
島根県仁多郡奥出雲町にあるJR西日本の駅で、1934(昭和9)年に木次線の駅として開業した。木次鉄道部管理の直営駅である。
雲南市及び木次線の代表駅である。
当駅の愛称は「八岐大蛇(やまたのおろち)」である。
以下は駅にイラストとともに設置されている説明文である。ただし、一部読みを補っている部分がある。
八岐大蛇
木次の町を流れる斐伊川(注:ひいかわ)流域には、大蛇伝説がたくさんあります。
「湯村の天ケ淵(注:あまがふち)は、大蛇が住んでいた淵」、「西日登の印瀬(注:いんぜ)にある壷神さんは、大蛇が飲みほした酒壷」、「里方の八本杉(注:はっぽんすぎ)は、大蛇の角を埋め、そこに杉の木を植えたもの」と伝えられています。
以下は駅に設置されている3つに分けられた神話の詳説である。文末口調の不統一等は原文ママである。
素戔嗚尊と奇稲田姫との出会い
素戔嗚尊(注:すさのおのみこと)は、高天原(注:たかまがはら)から出雲の国の鳥上の峰(船通山)に天降(注:あも)り、簸(注:ひ)の川のほとりまで来た時、悲しみ泣いている声を聞きました。
その声の方を訪ねていくと、翁(注:おきな)と媼(注:おうな)が一人の姫を真中において泣いていました。
素戔嗚尊が訪ねていわれるのに、「お前たちは誰か。どうしてこんなに泣いているのか」と。翁は「私はこの国に住んでいます。名は脚摩乳(注:あしなづち)といい、妻は手摩乳(注:てなづち)といいます。この姫は、私共の子で、名は奇稲田姫(注:くしいなだひめ)といいます。泣いているわけは、以前私共には八人の娘がありました。毎年八岐大蛇のために呑まれました。今この娘が呑まれようとしています。しかしのがれる方法もありません。それで悲しんでいるのです」と話したそうです。
素戔嗚尊の八岐大蛇退治
素戔嗚尊は、奇稲田姫を助けるため、八岐大蛇退治を決意し、脚摩乳・手摩乳に、「八塩折(注:やしおり)の酒を造り、その酒を盛りて待てよ」と言われ、八つの壷に八塩折の酒を入れて待っていました。
そのうちやはり大蛇がやってきた。頭と尾がそれぞれ八つあり、目は赤酸漿(注:あかほおずき)のようである。松や柏が背中に生え、八つの山・八つの谷の間に広がっていた。
酒を見つけると、頭をそれぞれの壷に入れて飲んだ。やがて酔って眠ったので、素戔嗚尊は、腰にさしていた十握(とつか)の剣をぬいて、ずたずたにその蛇を斬った。
尾を斬るときに剣の刃が少し欠けた。そこでその尾を裂いてごらんになると、その中に一つの剣があった。素戔嗚尊がいわれるに、「これは、不思議な剣である。私はどうして私物にできましょうか」といって、天照大神(注:あまてらすおおみかみ)に献上された。剣の名は天(あま)の叢雲剣(注:むらくものつるぎ)である。
相対式2面2線の地上駅。
元は単式1面・島式1面の複合2面3線の駅だったが、2006年(平成18年)に3番のりばの一部線路が撤去され、使用を停止している。
1番のりばと2番のりばは構内踏切で連絡している。
- 2017(平成29)年度の1日平均乗車人員は149人である(国土数値情報より)。