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戦車

せんしゃ

戦車や戦車を中心に描いた戦場のイラスト等に付けられるタグ。
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戦車とは

  1. 第一次世界大戦中に開発された「自動車たる戦車」。装甲戦闘車両の一種。
  2. 古代国家で使用された戦闘用の「馬車たる戦車」。⇒チャリオット
  3. タロットカード大アルカナの1枚。上記のチャリオットに由来。

概要編集

黎明期から第二次世界大戦前には、武装が機銃だったり、多砲塔だったり、車体に固定砲を備えたり、タイヤ履帯の併用式が試されたりしたが、いまでは戦車砲を単一の回転砲塔に搭載し、強固な装甲を備えた、装軌式の戦闘車両を指している。操作運用には多数のマンパワーを要し、戦車兵と呼ばれるチームを組んで運用する。


バルクマン・コーナー


戦車は通常単独で用いることは稀で、一定数の戦車を揃えた戦車部隊として用いる。また、戦車だけでは市街地や山岳など遮蔽の多い戦場には対応しきれない事も多いので、一般に歩兵戦闘車兵員輸送車といった戦車に随伴可能な機動力ある歩兵戦力と組み合わせて戦車部隊は構成される。これを歩戦協同運用という。

戦車部隊は火力装甲防護力および機動力によって衝撃的効果を発揮し、近接戦闘により敵を圧倒撃破することができる。高い機動力と火力を有するので敵を奇襲するのに最適であり、仮に察知されて反撃を受ける正面戦闘になっても、高い防御力で反撃を食い止めて自軍を守りながら高火力で敵軍を追い込んでいける。

戦車部隊はあらゆる戦況に対して適応力を有するが、地形障害の影響を受けるとともに敵、特に航空攻撃の目標となりやすく、兵站支援上の所要も大きい。また、一般に単独では地域の確保能力に乏しい。故に、砲兵部隊、対空部隊、偵察部隊、工兵部隊、補給部隊、占領も行える大規模な歩兵部隊などと連携しながら戦闘団、諸兵科連合部隊として活躍することになる。


巨大な戦車砲や分厚い装甲が目を引くため誤解されやすいが、旧時代の砲兵重装歩兵ではなく騎兵の特性を一番よく受け継いでいる兵種である(黎明期においてはそういう向きもあったが)。

戦車砲は現代の水準からすれば近距離での戦闘を主眼とした兵器であり、また装甲が分厚いとは言え現代の砲火力を無視できるほどの水準には達していない。

快速を活かして敵の防御焦点を迂回し、側背面を奇襲する、また機動力を活かして敵の予想外の挙動に対応するのが戦車の本懐である。

強さと引き換えに前述の通り重い兵站負荷を要求し、機動力を失って敵中に孤立すれば装甲の薄い背面や上面を狙われて撃破されやすいなど、利点も弱点もかつての騎兵とほぼ同じである。つまりは、戦場における騎兵の役割を拡大したものといえば大体あっている。

なお、かつての砲兵が進化したものは牽引式および自走式の榴弾砲である。特に自走榴弾砲は砲・回転式砲塔・履帯を備える場合が多く、パッと見戦車にそっくりなので紛らわしい。


発祥は、第一次世界大戦において塹壕戦により停滞した戦線を打破すべく、トラクター等に鋼板を貼り付けただけのもので、いわば戦時の急造兵器だった。これが敵陣突破に大活躍し、当時の互いに塹壕に籠って兵力を消耗しあう戦場の在り方を急転換させた。こうして戦場の花形として開発・改良が加えられ続けた結果、我々が今日見る「戦車」が出来上がった。


名称の由来編集

英語の「タンク」の由来はそのまま、水槽の「タンク」である。これは英国ヴィッカース社で本格的に開発された際、その開発意図を秘匿するため、諸外国に対し「これは水を運ぶ水槽車です」と誤魔化したことが由来になっている。

なお、初期の秘匿名称は「水運搬車(Water Carrier)」だったが、これでは書類などでの略称が「WC」になってしまうため、仕方なく「水槽(Tank)」に変更されたという逸話がある。

以降、「馬車たる戦車」(Chariott)と区別するために「Battle Tank」の名称が使われるようになった。ちなみに、単に「Tank」と言わないのは、貯水槽等の「Tank」と区別するため。戦闘用の斧を「バトル・アックス(Battle Ax)」と言うのと同じ。

一方のフランス語では、同じ兵器に「馬車たる戦車」を指していた単語をそのまま流用して「シャール(Char)」または区別のため英語同様に「戦闘」を付して「シャール・ド・コンバ(Char de Combat)」と呼称する。

また、ドイツ語では「装甲戦闘車両」をそのまま一単語にして「パンツァーカンプフヴァーゲン(Panzerkampfwagen)」、または省略して「パンツァー(Panzer)」と呼称する。


その他の言語の呼称は概ねこの三者のどれかに相応するものであり、ロシア語では英語を直輸入して「タンク(Танк)」、イタリア語ではドイツ語同様に「装甲車両」を意味する「カルロ・アルマート(Carro Armato)」と呼称する。日本語の「戦車」は本来チャリオットを指した語を転用したものであり、フランスに近い発想と言えるだろう。

また、中国大陸ではTankを音訳した「担克」が使用されているが、台湾では日本同様に「戰車」で「自動車たる戦車」を指す。



主な各国の戦車編集


主な武装・装備編集

主砲編集

戦車のメイン武装。敵陣を吹き飛ばし、敵戦車を撃破するのに欠かせない。

現代の戦車は安定装置を備えた事で移動中も正確に砲撃可能な上、高度なFCSによりあらゆる条件下での精密射撃が可能である。


機関銃編集

大抵は主砲と同軸上に一丁、砲塔上に一丁据えられている。歩兵に用いる他、砲塔上のものは対空兵装としても用いられる。

かつては操縦席の隣にある無線手席にも設置されていた。


スモークディスチャージャー編集

煙幕弾を放つ。随伴歩兵の進撃を支援したり、ミサイル防御に用いる。一部の戦車は、エンジン排気に燃料を噴霧して不完全燃焼させ煙幕を発生させる機構を装備しているものがある。


RWS(リモートウェポンステーション)編集

機関銃を取り付ける無人砲塔。車内から安全に射撃を行う事が可能。

装甲車にはそれなりに普及している装備だが、戦車の場合、対歩兵用としては主砲同軸機関銃がある事から、あまり採用されない傾向にある。


アクティブ防御システム編集

飛んでくるミサイルに対抗するための装備。

ミサイルの誘導を狂わせるソフトキルタイプと、迎撃し物理的に破壊してしまうハードキルタイプがある。


世代区分編集

第二次大戦期の枢軸と連合、第二次大戦後の西側と東側で若干基準が異なるものの、大まかな目安は以下の通り。


黎明期(第一次大戦)編集

水タンクだといって誤魔化したり軍艦を地上で走らせるような構造だったりと、不恰好なものが多い。そんな中でフランスのルノーFT-17は360度旋回する砲塔を備えており、現代へと続く戦車のはしりといえる。

例:Mk.I(英)、A7V(独)、サン・シャモンルノーFT-17(仏)など。


開発の目的が何よりも「敵の塹壕を超える」ことにあったため、各国とも性能はまず超壕能力が求められ、次いで機関銃や榴弾から乗員と歩兵を守る装甲が重視され、歩兵支援のための機関銃と砲が備えられた。前進可能な移動トーチカと言えばわかりやすいだろう。

そのためこの頃の戦車は超壕用の長い全長、さらに長さを稼いで塹壕にはまる事を防止する"そり"などを備える場合が多かった。

当初は長い全長に対して不釣り合いに短い履帯(実は長い履帯は技術的には意外と難しく、開発に時間を要した)など、コンセプトを固めきれてない車両も多かったが、実戦を経て車体長全体を覆う履帯や機関部と区切られた戦闘室、回転砲塔など、現代の戦車につながる機構が徐々に組み込まれていった。



戦間期(スペイン内戦)編集

WW1終結後、列強各国がルノーFT-17の先進性を認め、その発展型を模索した。

このうち、「単一砲塔、大火力」を設計思想に持つ血族がスペイン内戦ノモンハン事件などでその威力を示し、現代戦車へとその命脈をつなぐことになった。

例:I号戦車II号戦車(独)、クリスティー戦車(米)、BT-5T-26(ソ)、八九式中戦車(日)など。


また、以下のような「戦車」についても検討された。

軽戦車編集

その名の通り小型軽量の戦車。小回りが利くので普通の戦車では入れないような所でも運用できたり安価なのが特徴。

主に偵察や火力支援用として運用され、軽量さを活かし輸送機に積んで空中から投下できる空挺戦車も登場。WW2終盤からは火力だけなら通常の戦車に匹敵するものも現れたが、いかんせん装甲が薄いため朝鮮戦争ベトナム戦争で能力不足が露呈し、現在は歩兵戦闘車機動砲などに代替されつつある。


軽戦車は第一次性大戦中に開発されたルノーFT-17が先駆者となり、第一次世界大戦直後の時代にフランス以外の各国にも導入された。

FT-17は主兵装として37mm榴弾砲と機関銃を装備する2つのバージョンがあったが、これらの武装は対戦車戦闘に使えるようなものではなかった

1920年代後半になるとイギリスのビッカーズ社が開発した6トン戦車がFT-17に代わる新世代の軽戦車としてベストセラーになり、各国で6トン戦車を参考にした軽戦車が作られた。6トン戦車の単砲塔型は47mm砲を投資しており、一定の対戦車能力を有しいた。この頃から軽戦車であっても最低限の対戦車能力が付与されるようになった。1930年代になると37-50mmクラスの小口径対戦車砲が飛躍的に高性能化し、これを元にした戦車砲が普及したことから軽戦車の対戦車能力も侮りがたいものになり、それに応じて戦車の装甲も増加し、戦車の巨大化の流れが始まりつつあった。

例:九五式軽戦車(日)、M3スチュアートM24軽戦車M41(アメリカ)、AMX-13(フランス)など。

豆戦車編集

軽戦車よりもさらに小さく、6.5mm~8mm程度の機関銃を搭載した乗員1~2名の小型の戦車で、あまりコストがかからないため、このカテゴリーではイギリスのビッカーズ社が1928年以降に製造したカーデンロイド豆戦車Mk.VIが始祖となり、ビッカーズ社による積極的な売り込みもあってWW1で経済疲弊した列強各国で採用、大量生産された。戦車というよりは今で言う警備用の軽装甲車に近い性格を持つ。発祥の地であるイギリスでも戦車扱いされず、「機銃運搬車」というなんとも煮え切らない名前で運用された。

豆戦車は最初はオープントップ・無砲塔式の簡易なっ車両だったが、これでは戦闘に使うには不足していたので密閉式・砲塔式の大型の豆戦車が本家イギリスや日本で開発されたが、それでも実戦では使い物にならなかった。WW2中期以降はより経済的な装輪装甲車に取って代わられた。

例:カーデン・ロイドMk.VI(英)、L3(伊)、T-27(ソ)、九四式軽装甲車九七式軽装甲車(日)、TKS(ポーランド)

多砲塔戦車編集

戦車は敵陣に突入する兵器であり、複数方向の敵を相手取れることが当然期待された。


多砲塔戦車は早いものでは第一j世界大戦末期にフランスで開発され戦後少数生産されたFCM 2C重戦車が存在したが、これは非常に巨大で実用性の低い戦車だったためあまり注目されていなかった。1925年にイギリスで登場したインディペンデント重戦車は2C重戦車の半分の重量で5つもの砲塔を持つ画期的な多砲塔重戦車として注目を集め、塹壕戦のトラウマを持つ列強各国は旋回砲塔を複数持つ多砲塔戦車に挑戦したが、装甲は薄く、指揮系統が複雑化し、鈍くて図体ばかり大きい欠陥兵器を生み出すことになり、「砲塔を2つ持つ戦車1両よりも砲塔を1つ持つ戦車2両の方がはるかに安価で強力である」という結論が各国で出され、短い期間で廃れていった。

この流行はだいたいインデペンデント重戦車のせいにされるが、当時の戦車砲は技術的限界から対戦車能力と榴弾の威力を両立することが難しかったため、状況への対応力を持たせるために主砲に大口径榴弾砲・副砲に小口径対戦車砲という組み合わせが好まれたことも多砲塔戦車が流行した理由だった。この傾向は特にソ連で顕著だった。1930年代末には一つの主砲で榴弾威力と対戦車能力の両立が可能となり、多砲塔重戦車から単砲塔重戦車への技術的転換の下地が整った。

例:インディペンデント(英)、T-35(ソ)、NbFz(独)、九五式重戦車(日)、B1bis(仏)など。


電撃戦(戦間期後半~WW2初期)編集

戦車生産が軌道に乗り、この時点で各国の戦車運用思想が色濃く戦車設計に反映され始めた。

イギリス・フランスでは高速戦車と重装甲戦車の二本柱、ソ連は大量の軽戦車と多砲塔戦車を、日本では軽量な歩兵補助車両を保有した。

WW2が開戦すると、ドイツ軍はII号、III号戦車とチェコより鹵獲した38(t)戦車など、高速・高機能(全車無線装備等)な軽戦車を主体に航空兵力と連携を重視した電撃戦を仕掛け、戦車の性能ではなく運用思想によってイギリス・フランス軍を圧倒した。しかしながらイギリス・フランスの歩兵戦車の重装甲に苦戦し、対戦車戦闘に課題を残した。

この時点で、のちにWW2戦車の代名詞となる傾斜装甲は、主に軽戦車の小銃弾対策としての導入が主流で、重装甲戦車への導入はフランスとソ連のみが挑戦していた。主砲は45mmや37mm戦車砲または榴弾砲。

例:九七式中戦車九五式軽戦車(日)、III号戦車IV号戦車短砲身(独)、38(t)戦車(チェコ)、マチルダ歩兵戦車クルセイダー巡航戦車(英)、ルノーR35ソミュアS35(仏)、M2中戦車(米)、M13/40(伊)など。


T-34ショック(WW2中期)編集

ドイツ軍の電撃作戦がほころびバルバロッサ作戦が長期化すると、火力・装甲・機動力・生産性全てに優れたソ連のT-34が威力を発揮し始める。

傾斜した装甲によってドイツ軍は中戦車相手に苦戦を強いられ、対戦車自走砲を配備して急場をしのぎ、その後III号突撃砲IV号戦車を長砲身化したり、T-34を模倣したパンターを装備したりするなど対戦車火力と戦車運用で大幅な見直しを迫られる。一方のソ連もドイツ軍が英仏の歩兵戦車に影響されて開発していたティーガーIに大きな衝撃を受けており、独ソ戦を通じて戦車は恐竜的な発展を見せることとなる。

またイギリス、アメリカは北アフリカの長大な砂漠地帯でのドイツ軍との機動戦を通じて戦車運用を確立した。戦車開発に消極的だったアメリカはこの時点でようやく本格的に戦車開発をはじめ、その工業力を背景にM4シャーマンを繰り出し始める。

この時代、戦車の主武装は75mmの戦車砲が主流となった。また、ドイツ・ソ連においては傾斜装甲が採用されるようになった。

なお、日本での戦車開発は港や道路・橋梁などのインフラの不足から積極的になされず、また対戦車砲の開発についても難航した。大戦末期の1945年になってようやく長砲身75mm砲装備のチヌが量産されたが、本土決戦前に終戦した。

例:IV号戦車長砲身(独)、ティーガーIパンター(独)、M4シャーマン(米)、T-34(ソ)、クロムウェルチャーチル(英)など。


世界最大級の戦車戦を繰り広げるドイツとソ連は、国力の限りを尽くしてさまざまな兵器を展開した。

駆逐戦車編集

既存の(主に旧式の)戦車の車体から砲塔を廃し、拡張した車体により強力な主砲を搭載するドイツ軍のお手軽兵器。ソ連においてもSU-152などが駆逐戦車の影響を大きく受けている。

旋回砲塔を生かして攻撃的に運用する戦車に対し、装甲防御、主砲火力において同規模の戦車よりも優位にある駆逐戦車は一般的に防衛戦でその威力を発揮した。


WW2型重戦車編集

重戦車の開発は1930年代までは陣地突破能力を重視した多砲塔戦車を中心に行われていた。これは当時の戦車砲の技術では、陣地突破能力を重視するために大口径榴弾砲を搭載するとろくに対戦車戦闘をできない戦車になってしまうというジレンマが存在したためであった。このため主砲に榴弾砲を、副砲に対戦車砲を装備した多砲塔戦車としてソ連ではT-35T-100SMKが開発されていた。しかし1930年代末には予報をベースとし榴弾威力と対戦車能力を両立した戦車砲が実用化され、わざわざ多砲塔戦車にこだわる理由は消滅していた。このような背景で、主砲に76mm野砲を装備する単砲塔型のWW2型重戦車であるKV-1が登場した。

KV-1は非常に故障がちという問題はあったもののドイツ軍に衝撃を与え、KV-1と同様のコンセプトを持つ単砲塔重戦車としてティーガーIを開発した。ティーガーIは連合国に衝撃を与え、ソ連では対抗馬としてIS-1が、アメリカではM26重戦車が開発されることになる。これらの応酬によって多砲塔重戦車は完全に過去の物となり、単砲塔重戦車の巨大化が進んだ。

ティーガーII(独)、IS-2(ソ)など、大戦初期の戦車とは比べ物にならない大火力・重装甲を誇るが、エンジンやサスペンションへの負荷が重く、実用性に難ありという重戦車の根本的な問題は解決しきれていなかった。

戦後の主力戦車たる中戦車がこれらの戦車に対して装甲面で単純に上回るのは1960年代後半以降のことである。

ちなみに、70t級のティーガーIIは88mm砲、40t級のIS-2は122mm砲装備で一見逆転しているように見えるが、88mm砲の方が大規模、高威力である。砲とは口径だけではないのだ。


超重戦車編集

超重戦車は、WW2における重戦車の開発競争の到達点であった。これらは強力だが、故障したり悪路にはまったりししやすい上に、そうなればまず回収が不可能なので、移動不能になれば即自爆処分、つまり戦場にたどり着く前に自動的に部隊が壊滅しかねない実用性の低い兵器だった。また航空機の発達により、いくら地上の敵に無敵を誇っても爆弾を落とされれば即死という状況になっていたことも超重戦車の実用性を阻害した。これらの問題は戦車が重く大きくなればなるほど悪化したので重戦車の発展には限界があった


ソ連やアメリカは装甲面積を狭くして限られた重量枠内で可能な限りの火力と重装甲を実現するという現実的な方向性に舵を切り、この方向性は戦後の戦車に繋がっていった。しかしドイツは敗戦までの間に際限のない巨大化に突き進み続けた。


188tのマウス、75tのヤークトティーガー(独)、73tのT28重戦車(米)、150tのオイ車(日)など。これら以外にも各国で構想されたが、戦場に頭の悪い鉄の塊を実際に配備してしまったのはドイツ軍だけである。

ヒトラーは本気で戦況をひっくり返せると信じていたようだが、油がないので戦場に放棄された。


WW2後期、戦後第1世代編集

1944年頃になるとM26パーシング(米)、T-44(ソ)など、中戦車に重戦車の火力や防御力を持たせる試みが始まり、これらやその改良型は戦後の軍縮の中で「主力戦車」となる。その運用で先駆けたのがイギリスのセンチュリオンである。

歩兵戦車と巡航戦車の両輪で戦車を運用していたイギリス軍は早くからその限界に直面した軍隊であった。センチュリオンが第一世代MBTとして特筆されるのは上記の同世代戦車とは異なり、最初から重戦車と中戦車を統合し、長期間運用可能な拡張性がある主力として計画された戦車であるためである。

戦車の設計自体はWW2からの発展型が多く、主砲は主に90mm(西側)・100mm(東側)である。

例:センチュリオン(英)、パットンシリーズ(M46・M47・M48)(米)、T-54/55(ソ)、AMX-13(仏)、61式戦車(日)など。


戦後第2世代編集

戦車の装甲防御力に対して対戦車兵器の発展が著しい時代であり、この時期に新規開発された西側戦車は機動力の強化に主眼が置かれている。

第二世代MBT自体は車体設計や装甲技術において発展がみられないものの、東西それぞれの部品共通化やアクティブ式の暗視装備の装備によって特徴づけられ、主砲は主に105mm(西側)115mm(東側)である。

西側諸国の新規戦車開発はここで一度停滞し、既存の戦車の改良に注力することになる。

例:M60パットン(米)、チーフテン(英)、レオパルト1(独)、AMX-30(仏)、74式戦車(日)、T-62,T-72(ソ)など。

戦後第3世代編集

西側は主砲は主に120mmであり複合装甲やパッシブ式の暗視装置が導入されている。

東側は主砲は主に125mmであり爆発反応式装甲を装備している例が多く見られる。

例:M1A1エイブラムス(米)、チャレンジャー1(英)、レオパルト2(独)、90式戦車(日)、T-80(ソ)、アリエテ(伊)、メルカバ(イスラエル)など。


戦後第3.5世代編集

主に第3世代の改良型。情報指揮統制システムであるC4Iを搭載したものが主にこう呼ばれるが、C4Iは後付けの装着が可能であり、既存の車両の改良で済ませる国が多いが、内部容積や電力供給能力に難があり内蔵出来ずに剥き出しだったり、電力不足で機能制限がついたり、バッテリーで稼働させられずエンジンを常時稼働させなければならず被発見率が高まるなど十全の対応が出来無い。


近年は非対称戦に対して重点が置かれるようになり、上面や側面の装甲が強化されている。

例:M1A2エイブラムス(米)、チャレンジャー2(英)、レオパルト2A5/A6(独)、ルクレール(仏)など。


戦後第4世代編集

今現在、戦後第4世代戦車の方向性が決まっているわけではない。

が、近年の新規戦車は前世代機と比較して車体構造は素材と共に大きく変化しておりIT技術の活用、モジュール装甲、新世代複合装甲、車体の電子制御の導入、補助動力装置の搭載、口径維持のままでの攻撃力・射撃精度の向上などの特徴が見られる。


これは、第3.5世代の装甲・装備強化により戦車の重量が大きくなりすぎ(60tは優に超え、かつてのティーガーIIと同じ70t級に達しようとしているほど)、サイズを拡大することで主砲の大口径化と防御力向上を達成する、ということが困難になったからである。また、重くなればなるほど通れる場所が限られたり運ぶ方法が制限されたりで機動力に支障をきたすのはWW2で証明された通り。


ひとつの方向性として、情報通信技術の進歩を背景に、全周カメラやセンサーを多数搭載して「死角を狙われやすい」という戦車の弱点の克服を目指し、データリンクの本格採用により複数視点の戦術統合運用により集団戦闘力の向上が行われる。

運用面での柔軟性を増すために、第3.5世代までとは逆に大胆な小型軽量化やモジュール装甲による多用途化、拡張性の強化も模索されている。

また、各部の機械式制御は大ばばに減り、自動車や戦闘機の必須技術となった電子制御は各所に採用されている。



日本の10式戦車は、攻撃・防御力は3.5世代よりやや上としながら大幅な小型軽量化を実現し、全周監視システムを搭載し不意打ちに備えた全周防御機能を持つ。さらにC4I機能を発展させ、小隊長が他の戦車の射撃統制装置をオーバーライドして照準するといった、集団戦闘を前提とした機能を搭載する。

一方でロシアが制式化したT-14アルマータでは、いままでの戦車が諸外国の第3.5世代主力戦車より小さく兵士には窮屈であったため、車体が大型化された。一方で車重は増えておらずエンジンの出力が増強され運動性が向上している。また、砲塔を遠隔操作できるように無人化し、将来的に2人で運用できるようにするという。2024年現在の時点では先行量産車数両が登場しているだけで、完全な量産車では仕様が変更される可能性が高い…最もウクライナ侵攻でまともに量産できるか怪しいが…。

また、2015年にはドイツとフランスがレオパルト3を共同で開発すると宣言しており、これの開発も第4世代の方向性に影響を与えるだろう。ラインメタル社の自主開発(KF51パンター)や米国(M1A3計画)、中国(99式改良0910工程)のような、既存戦車の軽量化・情報化を主眼に置いた改良計画も注目に値する。


いずれにせよ、どういった戦車が後世に「第4世代主力戦車」と呼ばれるようになるのかは、まさにこれから決定されると言っても過言ではないだろう。



対戦車戦闘のすゝめ編集

陸の王者とも呼ばれるが弱点も多く、正面からの攻撃には強くても、空からや背後からの攻撃には脆弱で、撃破も不可能ではない。

とはいえ、現代の戦車は器用万能を地で行っており、戦車以外の兵器が戦車と対峙するのは非常に危険である。

第二次世界大戦以前の戦車「のみ」であれば意外と簡単に戦えた時代もあった。戦車長が砲手を兼ねていた時代は戦闘中は周りを見る余裕があまり無く、戦車同士の通信も弱かったため、地形は選ぶものの案外簡単に死角から接近でき、様々な攻撃手段を講じることができた。

戦車の装甲は決して無限ではなく、当時はリベット留めが主流だったこともあり、たとえ小口径の弾だとしても膨大な数を被弾すると場所によっては装甲が剥離してしまうこともあった。

このため各国の軍では戦車を守るために歩兵が側面を防衛したり、砲兵や対空部隊や工兵の援護を受けたり、海や空からの支援攻撃や偵察情報をもらうなど、各兵科の連携が重要視されている。それらを潜り抜けて初めて「対戦車戦闘」が成り立つことに留意しなければならない。

逆に言うとこれだけ条件を設定しなければ敵の戦車を戦車以外の陸戦ユニットで撃破するのは難しく、たとえ敵が旧式の戦車であろうと歩兵にとっては死神以外の何者でもないのだ

下記の対戦車ミサイルやドローン等により、戦車不要論も各所で唱えられているが、各国の対応はそれとは相反しており、上記の通り新型戦車の開発や既存戦車の改修が活発に行われており、一度は戦車を全廃した国がウクライナ侵攻を受け、戦車の再取得へと方針転換した例もある。


対歩兵編集

かつての戦車は視界が致命的に狭く、ジャングル市街地塹壕戦などでは接近した歩兵に爆薬を貼り付けられて撃破されるようなことすらあり、随伴歩兵が警戒に当たらなければならなかった。

しかし現代の戦車は大量のセンサーで全周囲を警戒しており、更に射撃精度が格段に向上しているため、歩兵が接近を試みることは自殺行為。高価な赤外線暗視装置や各種警戒装置、望遠照準器を備える現代の戦車は視界は狭くとも「眼」自体は抜群に良く、建物ひしめく市街地や、砲塔も回せないほどの木々深い森ならともかく、通常の山林などでは複数台で全周警戒しながら行動する戦車を歩兵で奇襲する事は非常に難しい。むしろ夜間に迂闊に行動した歩兵部隊を戦車が先に発見して奇襲する状況すら多発する。

ゲーム等では戦車1台を1人で操縦するイメージが強いため見過ごされがちだが、センサー類が充実するより以前も、戦車は3~5人が搭乗している目が複数ある乗り物であるという点を忘れてはならない。第二次世界大戦期の戦車の時点で、平時は常に車長が車上で全周警戒、戦闘中であろうとも操縦主または通信主が車体前方、砲手が砲塔正面、そして車長はペリスコープや潜望鏡等で全周警戒しており、視界は狭いとは言え後方からなら簡単に接近できるとは限らない。また1対1ならともかく、普通は戦車部隊も何両もいて互いに警戒しているため、歩兵部隊で戦車部隊に勝つ、なんてことは夢物語もいいところである。万一成功したとしても、歩兵側に多大な犠牲を強いること必定である。(映画「プライベート・ライアン」を観た事ある方なら思い出して頂きたいが、結局戦車を擁する相手に待ち伏せを上手く決めたとしても多大な犠牲を出して撤退するしかないのである)

戦車を題材にした創作物を作ろうと思っている方はこのあたり注意した方がよい。


火力も恐ろしく車載機関銃や同軸機銃ならかすっただけで確実に重傷以上または致命傷、12.7mmの大口径機関銃を浴びれば一撃で即死、榴弾やビーハイブ弾を込めた主砲を食らった日にはミンチ確定だ。無理するな。

しかもTUSK(戦車市街地生存キット)等により機銃の増設や強化が行わているものもある。

もっと言うと弾がなくても体当たりされるだけでミンチされる。2016年のトルコクーデター未遂事件では民間人が戦車に突撃して文字通り一撃で粉砕される衝撃的な動画が公開された。人間とはかくも脆弱なのである。


ちなみに、2019年5月17日放送の『チコちゃんに叱られる!』では「丸腰で戦車と戦う事になったら戦車の下に潜れ」という内容の放送があったのだが、当然のごとく戦車に詳しい視聴者達から「その前に撃たれる」などのツッコミが続出した。

イメージ映像では路地裏なので停車中の戦車に突発的な遭遇で撃たれずに済んだとしても車高を下げられて潰されかねないし、履帯に鉄パイプを差し込んだところで無意味で逆に腕を持っていかれる事になりかねないので自殺行為である。何もされず何もできずに生き残っても随伴歩兵や降車した戦車兵に引きずりだされるのがオチである。


対対戦車兵器編集

RSI空挺兵士

成型炸薬弾を用いた無反動砲対戦車ロケット対戦車ミサイルなど。

バズーカパンツァーファウストといった馴染みの名前も多い。

かつては対戦車ライフルなどの運動エネルギー弾も用いられていたが、現代戦車にダメージを与えるのは困難であるとされた。近年では装甲化されていないハイテク部品が増えたこともあって、駐車している戦車の重要部品を対物ライフルで狙う運用も見直されている。有名なバレットM82などはこのような用途に便利だろう。

ライフルグレネードにも対戦車用の弾がある。250ミリほどの装甲版を貫通する能力があると言われており部品を壊す程度の能力はある。

当てるためには苦労が必要で、撃ちっぱなしの対戦車ミサイルをぶっ放して即座に隠れることができるならともかく、対戦車ロケットで必中を狙うなら随伴歩兵の目や戦車や同行する車両に積まれたセンサー類を潜り抜けて至近距離まで近づく必要がある。

無事命中させたとしても、随伴歩兵や別の戦車に狙われるだけでなく、戦車が生き残っていればそれにも狙われてしまい、撃たれてミンチとなる可能性がある。というか通常はまずそうなる。


撃ちっぱなし可能な対戦車ミサイルを用意し、高度があり遮蔽も豊富な山岳地形やビル街のような地の利まで確保されると、俄然戦車が不利になる。装甲の薄い上面にミサイルが降れば撃破されやすいし、反撃しようにも機銃では遮蔽を抜けず主砲は角度的に攻撃すらできない。多数の戦車でこのような地形を通ろうとするだけで、次々と撃破されてしまう事になる。こういった戦況は随伴歩兵の出番である。敵対戦車ミサイル兵が潜んでいそうな奇襲に適した地形を見つけ次第、随伴歩兵が先手を打って襲撃・制圧する。重い対戦車ミサイルを抱えた敵兵では、まず歩兵部隊に抗しようがない。


戦車側の防御策としては、反応装甲によりHEATのメタルジェットを阻害、複合装甲によってメタルジェットの侵徹を阻害する、空間装甲や金網等(スラットアーマー)によって最適距離を外して起爆させるといった対策が行われている。

様々な対策を講じているにもかかわらず対戦車兵器の被弾が一向に減らないため、スラットアーマーの需要は極めて高く、M1エイブラムズなどを現地判断で勝手に改造したと思しき金網だらけの画像がよく出回る。

WW2頃に至っては現地改修で土嚢を車体に積み上げたり括り付けたり、スプリングベッドを溶接したりといった事も行われていた。

現代の複合装甲は旧式の弾頭ならば単発の被弾では余程運が悪くない限り耐えられるが、多数を被弾すると危険である。戦いは数だよアニキ

装甲に頼らない防御手段も登場しており、レーザー照射を検知して自動的に煙幕を展開したり、強力な赤外線ライトやレーザーで赤外線シーカーを目潰ししたりする妨害システムに加え、近年は飛んできたミサイルを物理的に破壊してしまうアクティブ防御システムも登場している。


ウクライナ軍の運用する携帯対戦車兵器のジャベリンが2022年のウクライナ侵攻でロシア軍戦車に対し目覚ましい戦果をあげたことで戦車の存在意義が改めて問われ、戦車を廃して携帯対戦車ミサイル/ロケットを増やすべきと言う声も聞かれたが、歩兵の護衛が不十分だったことなど、ロシア軍の戦車運用が下手だったというのが識者の見解である。また、対戦車兵器は基本的に接近してくる戦車に対する待ち伏せ用であり、戦車が守る陣地に対戦車ロケットを担いだ歩兵が攻めていくことは困難である。主力戦車に有効なダメージを与える能力のある物は軒並み20~数十kgの重量があるため、歩兵としての機動力を大幅に削がれて敵からは良い的になってしまうのだ。


対爆発物編集

対戦車地雷といった装甲の薄い下面やキャタピラを狙う兵器は先行した歩兵や、専用の車両による除去を期待するしかない。

地雷程度なら地雷処理装置を付けて自前で処理する事もできるが、厄介なのがIED(即席爆発装置)。爆薬量に制限が無く、下手をすると航空機用爆弾を転用される事もあり、戦車の防御力をもってしても対処し難い。(ただしそこまで大規模なIEDはポンと接地することも難しいが)

手榴弾や迫撃砲など対戦車を意図したものではない武器が使われることもある。これらは装甲に大きなダメージを与えないが、装甲の薄い外部のハイテク部品やセンサー類、スモークディスチャージャー、履帯などを壊されるので、戦車の自衛能力が失われ、大問題である。

近年の戦車では下部装甲を厚くしたり、追加装甲を装着して対戦車地雷等に対応したものもある他、「そもそも爆発させなければいい」とばかりに遠隔操作での起爆を妨害するジャミング装置を取り付ける事も。


対ローテク兵器編集

悪路走破性を向上するための精密キャタピラが意外と脆く、第二次世界大戦やベトナム戦争は竹槍や木槍、ピアノ線などのトラップで行動不能に追い込まれた戦車が少なくない。

近年の戦車では足回りが改善されており、センサーの監視を逃れて近づくことは非常に難しいため、この手法では簡単には撃破できなくなっている。

しかし大きく垂直な落とし穴を仕掛けられ落とされると行動不能は確実である。橋などをあえて脆くされて川や海に落ちると水没する。こうなると戦車回収車を使わなければならなくなったり、放棄するしかなくなる。

イラクでは重油を壕に入れて燃やすという防御手段が取られる(2016年にもモスル市外戦で行われた)ことがある。戦車が火だるまになっては戦えないので近づけないという単純な目的に加えて、平地に黒煙を焚いて障害物代わりにする意図もあった。


小銃編集

小銃で戦車を倒すなんて無理だろうって思われるかもしれないが、乗員が油断や索敵のために顔を出したり車外で休憩をしている時は別で、狙撃の格好の的である。乗員がなければ戦車は動かないのである。

補給や修理をしている兵士は生身というところも問題である。適切な警備をしなければあっさり襲撃を受けてしまうだろう。

もっとも、そう易々と休息中の敵戦車に死角から小銃の射程までホイホイ近づけるなどとは思わない方が良いが。

戦車側の対策はTUSK(戦車市街地生存キット)コンポーネントなどのように搭乗員保護のための装甲や耐弾ガラスを追加して多少であれば車外に体を出していても小銃弾による被害を受けなくする、リモート機銃や監視用センサーの追加により外に体を出さなくとも見渡せるようにするなどがある。


攻撃ヘリコプター編集

戦闘ヘリのボールペン画練習…

随伴する歩兵や友軍に期待するしかない、対空戦車の場合は撃ち落とせ!

……とされているが、西側第3世代戦車のシミュレーターには必ずと言っていいほど対対戦車ヘリミッションが入っている(近年では東側第3世代であるT-80/T-90Sやその派生型、あるいはそれに準ずるモデルでもシミュレーターないし戦闘教本に対対戦車ヘリミッションの記載がある)。

これらは対戦車ヘリから逃げることのみを目的としてはおらず、機会あらば撃墜することも視野に入れている。現代MBTを撃破するに足る高初速と、高速移動目標へこちらも移動しながら(即ち車体や砲を大きく振動させながら)最適発射角度へ瞬時に砲を合わせる機械的反応速度(=行進間射撃能力)の向上が、それを可能にした。

このため、一時は開けた平野では16:1と言われていた対戦車ヘリの交戦比(こちらが1機/1両で敵をいくら撃破できるかの比)も、高低差や森林・市街地などでは4:1ほどになっているのではないかと言われている。

一部の戦車には対戦車ミサイル砲弾というものがあり、これは低高度のヘリコプターを攻撃できるようになっている。また、12.7mm機銃のような大口径の搭載銃は装甲の薄いヘリコプターから身を守るのに役立つので必ず搭載されている。T-14アルマータには30mm砲を二門搭載する計画もある。

ちなみに戦車でも自前で対空戦闘をする方法がある。斜めに切り立った丘に駐車して砲を空に向ければ良い。なので対戦車専用のヘリコプターは近年では評価を落とし気味である。


攻撃機シュトゥルモヴィク編集

ーThunderbolt IIー

対地航空戦力の中で機銃を武器とする兵種。帝国海軍では魚雷を装備できる航空機を攻撃機と称していたが、それとは別物である。大戦期には九九式襲撃機Hs129Il-2あたりが仕事をしていたが、現在ではほぼ対戦車ヘリに取って代わられている。

しかしA-10Su-25は別格で、銃身が2m以上ある馬鹿みたいなガトリング砲で戦車を地面ごと耕してくれる憎い奴。

戦闘機の相手は出来ないのと、ヘリと違って滑走路が必要なので、航空戦力が充実している状況でないと出てこられないのが唯一の弱点。戦車から見ると、たとえ対空戦車であっても「攻撃ヘリなら何とかなってもこれは無理」という相手。祈れ

…と思われていたが近年になって謎の解決策が登場した。

北朝鮮の「暴風号」である。なんとMANPADSのイグラが車長用キューポラの隣に置かれている。

対空車両が足りないなら自前で防衛してしまえっていう無茶な発想である。ある意味では有効な解決策にも見えるが索敵用のレーダー等は備えていないので目視のみ。自衛くらいならできそうだが。

※ちなみにこの手の仕事は本来歩兵のやることなので本来はAPCやIFVに積まれており、戦車の上にあったとしてもデサント兵の装備品であることも。


UAV編集

近年登場した新たな相手。

自爆突入型UAV(ミサイルとしても使えるドローンやいわゆる徘徊型兵器)は、小さいので対戦闘機を想定した既存の防空システムを簡単に潜り抜けられる上、機関銃でも撃ち落とす事が難しいため、戦車の頭上から突入して損害を与える事例が増えている。

特に重大な脅威となっているのが、片手サイズのホビー用FPV(一人称視点)ドローンを流用、ないしはその部品で組み上げられた廉価品である。

このような小型ドローンでは装着できる弾頭のサイズもたかが知れているが、人間に直接遠隔操作されているこれらのドローンはエンジングリルや足回りなどの「急所」を精密に攻撃することができるため弾頭威力は問題とならない。

強力な電波妨害によりこうしたドローンが目標にたどり着ける可能性は非常に低いものとなっているが、それならばと行動に制限がかかるのを承知の上で電波妨害の影響を受けない有線誘導式のドローンが投入されるというイタチごっこ状態になり、しかも価格が価格であるためどれほどバタバタ落とされようがコストパフォーマンスとしてはお釣りが出るという状態である。

赤字覚悟で対空ミサイルを打ちまくってもまるで足らず、自爆突入型UAVが猛威を振るったウクライナやイスラエルでは砲塔の上に屋根状の装甲(通称「コープケージ(鳥かご)」)の追加が見られるようになった。遂には砲塔もろとも戦車の上半分に追加装甲をすっぽり被せるという、通称「亀戦車」まで現れたが…こんなの戦車じゃないわ!突撃砲よ!

更には元々は対ミサイル用だったアクティブ防御システムをUAVにも対応できるよう改良したり、果ては鷹匠の導入まで試みられているが、未だ根本的な解決策は見いだせていない状態である。


爆撃機ヤーボ編集

ユンカース Ju87D-3「シュトゥーカ」

急降下爆撃といって、爆弾を抱えて一緒に落下する事で、普通に爆弾を落とすよりも高い精度で目標に命中させる事ができる手法が用いられる。基本的に曲芸飛行レベルの業なので次項の人を除いては成功率はそう高くない。しかしWWII頃にはJu87などの小型爆撃機や、P-47Fw190辺りの戦闘爆撃機が爆弾を積んで対地支援をする姿が見られた。ジェット機時代の現代では、急降下爆撃が可能な機体自体がほぼ存在しない。というか精密爆撃の技術が発達してそもそもやる必要がなくなっているのだが。


ハンス・ウルリッヒ・ルーデル編集

とある独逸の戦車殺し

諦めろ。


戦車は入り組んだ場所に弱い?編集

かつては、戦車は市街地や山岳地帯のような入り組んだ場所での戦闘には向かないとされていた。

というのも、狭い場所を通る事を余儀なくされるため、砲を思うように向けられない上に死角が増えて上述したように上から狙われたり歩兵の接近を許してしまうためである。

ましてや山岳地帯やジャングルでは道路が整備されていないところも多く、そもそも入る事さえ困難な事もある。

このため、対ゲリラ戦には向いていないと思われていた時期もあった。


しかし現代ではそうでもなくなり始めている。

確かに思うように力を発揮できないのは間違いない。実際チェチェンでは市街戦に投入された戦車がかなりの損害を出した。

しかし使い方さえ心得れば、戦車はそこにいるだけでも、味方の歩兵にとってはとても心強い存在なのである


その強力な装甲は歩兵の盾となる事もあるし、体当たりをかますだけでちょっとした建物や陣地を壊す事もできる。これは軽くて装甲が薄い普通の装甲車にはできない芸当だ。

その火力はたとえ市街戦であっても非常に有効に使える。

歩兵戦闘車が持つ機関砲では、貫通力がありすぎて建物を何棟も貫通してしまうが、戦車が主砲でHEAT弾を使えば、部屋1つだけを吹き飛ばすことができるのだ。


大量のセンサーで死角をカバーしているのは先述の通り。

何より戦車がいると見せつけるだけで、相手にプレッシャーを与えられるという点も見逃せない。先述したように、充分な対策なしに戦車を撃破するのは困難だからだ。

実際、イラク戦争ではある陣地に戦車を持ち込んだ所、相手のゲリラが途端に攻撃してこなくなったという例もあるし、「ファルージャの戦い」では、戦車が不足して装甲車が歩兵支援を補った海兵隊よりも、十分な数の戦車が歩兵を支援した陸軍の方が死傷者が少なかった。


重要なのは、先述したように戦車と歩兵が密に連携し、対戦車兵を近づけるスキを作らない事

戦車は横や上が弱点だが、そこは歩兵がカバーすればいい。

残った正面は装甲が厚く、文字通り正面切って戦うのは非常に不利である。


いつだって戦車は歩兵と協調してこそ、真の力を発揮できるのである


類似兵器編集

軍用車両の象徴とも言い得る戦車だが、それゆえ、軍事に詳しくない人からは戦車でない兵器までもが戦車と呼ばれてしまう事が多々ある。対空戦車や駆逐戦車や空挺戦車は歴史的には戦車から派生した車両ではあるが、通常の戦車と同様の運用は出来ない。


自走砲編集

見た目から最も戦車に間違われやすい兵器。

戦車を「自動車化した騎兵」とすれば、自走砲は「自動車化した砲兵」であり、役割が根本的に異なる。射撃指揮所 (FDC)の指示に基づく間接照準射撃(目視できない敵に対する射撃)が前提で、戦場での走破能力はあまり求められず、装甲も無い場合がある。戦車と相違する点として、同時期の戦車より大口径の主砲を持ち射程距離が長い、車高が高い、装甲が(申し訳程度しか)ない、車体がしばしばオープントップになっている(上が吹き曝し)、等が挙げられる。近年(1970年代後半以降)は、完全密閉型の装甲を備えた「装甲自走砲(例:ドイツのPzH2000やイギリスのAS-90など)」と呼ばれるものも登場している。基本的に自走砲を戦車の代用として使うことはできないが、迫撃砲の一種であるNEMO等の場合は後装式で回転式砲塔であり、直接射撃も可能となっているため、搭載車両によっては小型の戦車的な運用ができなくもない。


歩兵戦闘車編集

兵員輸送車の一種。

兵員を輸送するための装甲車を、より戦闘向きに強化した兵器。戦車と共に行動する事も多く、対戦車ミサイルを装備して敵戦車の撃破も可能なものもある。戦車と相違する点として、同時期の戦車よりも装甲が薄い、車体の体積が大きい、主砲が大砲ではなく機関砲、車体の後ろに乗降用の扉がある、等が挙げられる。


空挺戦車編集

航空機での輸送、空中投下を可能にするべく、軽量・小型化された戦車。早い話が現代版の軽戦車である。航空機という運搬可能な貨物の重量に制限のあるものに載せる為に装甲に制限があり、アルミ合金等の軽合金が使われたために、歩兵戦闘車に近い程度の防御力しかない。追加パッケージによって装甲の強化が行われる事もあったが、強化後は航空機への搭載が不可能になることが多く、前線での脱着はほぼ不可能なために行われたのは少なかった。


駆逐戦車突撃砲砲戦車戦車駆逐車編集

これらと戦車との線引きは曖昧であり、戦車に分類される事もある。ドイツやソ連は旋回砲塔を備え、かつ密閉型の戦闘室を持つ車両こそが戦車であり、無砲塔は自走砲であると定義したため、(日本ではそれに従い)便宜上は自走砲に分類している。現在は廃れている。戦車と相違する点として、旋回砲塔を持たない、自軍内の戦車と比較して強力な主砲を持つ、等が挙げられるが、例外もあるため当てにならない。


対空戦車編集

戦車の脅威である航空兵器に対応するために作られた戦車。前線の戦車部隊に追随し、前線部隊を航空機などの脅威から防御することを目的としている。「戦車」と名がつくものの、敵戦車と主砲を撃ちあう想定ではないため通常の戦車と比べ多くの場合装甲は遥かに薄くなっており、また武装も対空火器中心であるため、敵の戦車との直接戦闘は不得手である。しかし動きの素早い航空兵器に命中弾を叩き込む為の高い速射性能と砲塔の旋回速度は水平射でも脅威の上、大口径機関砲と優れた照準装置を持つため、実は地上の直接戦闘でも戦車、歩兵戦闘車に続く強力なユニットでもある。対空射撃を任務とすることから仰角も大きく取れるため市街戦にも強く、歩兵から見れば戦車並みかそれ以上に怖い相手かもしれない。


エンターテイメントでは…編集

最強の陸戦兵器であることから主役を張ることが多い一方、ロボットアニメ怪獣映画では意図的にかませ犬的にされてしまうことが多い。(作り手の知識不足などから、吹飯物の奇妙な描写が頻繁にみられる。「ロボットの有利な条件下だけで戦う」、「事実上の移動要塞である怪獣に近距離で立ち向かう」など。)それらの突っ込みどころ含めて「創作物における戦車の様式美」として愛されてるとも言えるが。


戦車がメインとなる作品編集


戦車がモチーフのキャラクター編集


関連イラスト編集

センシティブな作品M1A1エイブラムス

Mark.Ⅰ メイルT-72神


関連タグ編集

 軍事 ミリタリー 戦車兵 兵器  自動車 装甲戦闘車両

タンク パンツァー

主力戦車 豆戦車 軽戦車 中戦車 重戦車 巡航戦車 歩兵戦車 水陸両用戦車 騎兵戦車

地底戦車


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Tank


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