概要
漫画「巨人の星」「新巨人の星」で主人公・星飛雄馬が開発した架空の変化球。
1号・2号・3号・右1号の4種類がある。
その習得のため奇天烈な特訓が敢行されている。
大リーグボール1号
球がバットに当たりに行く「予測」の魔球。
豪速球と精密なコントロールで鳴らしていた飛雄馬の投球だが、「小柄な体格ゆえに球質が軽い」という速球投手としては致命的な弱点を抱えていた。その弱点を克服すべく編み出した、記念すべき魔球第一号。
一軍昇格の年、大洋ホエールズにいた左門によって完全敗北を喫して失踪した折に、鎌倉で知り合った禅僧の講話からヒントを得て編み出した。
自分の球質の軽さを逆手に取り、相手のバットに自分から当たりに行くことで凡打にして打ち取ってしまうという「打たせて取る」スタイルの魔球。
ただし、相手の動きを見極めるために並々ならぬ集中力を要するためスタミナを消費しやすく、飛雄馬が精神的に不安定な時は精度が鈍ってしまうのが欠点。
しばらくはこの1号で大活躍するも、命懸けの特訓を敢行した阪神タイガースに入団した花形の「バットに当たった球を強引に振り抜いて打つ」という凄まじい対策打法によって敗れた。
改良型
その後飛雄馬は更なる特訓によって打者の構えているバットのグリップエンドに当てて打ち取るという改良型を編み出す。
しかし旧型より更に精密な予測により集中力・精神力を要するという欠点もある。
最終的には飛雄馬の「越えるべき壁」へと回った父・一徹の考案した「一旦バットをストライクゾーンへ持っていってボールを誘導する」という打法をアームストロング・オズマに使われ敗れた。
大リーグボール2号
御存じ消える魔球。
自宅マンションの屋上で毬突きをして遊ぶ女の子の姿をヒントに編み出した。
諸々の原理を要約すると、まずボールが本塁の手前で急激に落ち込み、さらにこのときボールに着いた土埃が煙幕と保護色になってボールの姿をかき消し、最後はまた急激に浮き上がってくるというものらしい。その性質上、強風や雨天の試合では使えない。
弾道を真横から見るとフォークならぬ、スプーンの形状のように見える。
これにより復活した飛雄馬だったが、今度は心理戦に屈して2号の真価を100%発揮させることができず、またしても花形に打たれることとなる。これを機に、他の打者たちも様々な創意工夫で2号を封殺していくようになる。
なお、全力状態での2号を打ち取った選手はおらず、この魔球が完全敗北を喫したことはない。
大リーグボール3号
最終兵器バットを避ける魔球。
スケバンの京子(後の左門の妻)がリンゴを投げる姿から、天啓的な発想で編み出されることとなった。
下手投げから投じられる超スローボールは打者がバットを振る際に生じる風に乗り、バットを避けてミットに収まるという空前絶後の魔球ゆえに、ほとんどの打者がボールを捉えられずに終わっている。
しかし、この魔球はスイングスピードの遅い選手には通用せず、何より肉体への負担が大きすぎて飛雄馬本人の選手生命を削るという最大の欠点を持つ。
(飛雄馬はこの事を左門豊作だけには手紙で打ち明けている。)
大リーグボール右1号
侍ジャイアンツに次ぐ分身魔球。飛雄馬が草案し、一徹と伴宙太が協力しての特訓で編み出した。
今回は歴代と違い、目立った弱点も体力消耗以外にリスクも無かったが、分身のボールには影がない(当然のこと)事を見ぬかれ、例によって花形満に攻略される。
現在のところ、この右1号がこの魔球が飛雄馬にとっての最後の大リーグボールである。
実は右二号も即座に考案に入っていたが、原作においては、残った右腕の破壊を恐れる長嶋茂雄が先手を打つ形で、選手としての飛雄馬に引導を渡している。1979年のことである。