地球防衛軍(映画)
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ちきゅうぼうえいぐんえいが
東宝が1957年に公開した特撮映画。日本初の宇宙人が登場する地球侵略SF。
富士山麓ののどかな農村。村祭りの夜に地中から炎が噴出する山火事騒ぎが起き、青年科学者白石亮一博士が失踪する。
さらに放射能の反応が見られる大規模な山崩れが発生し村そのものが壊滅。調査に向かった白石の同僚にして友人の渥美譲治の前にロボット怪獣「モゲラ」が出現するなど奇妙な事件が続発する。
さらに白石が残した「ミステロイドの研究」によると、月から人工衛星へ何者かが往復しており、村近くの湖に円盤が離着陸しているという。
富士山麓に調査に訪れた安達賢治郎ら科学者グループの前に巨大なドーム型の要塞が出現、一連の事件はすべて怪遊星人ミステリアンの仕業であった。
対話による平和的解決を試みたものの、すでに村ひとつを壊滅させ村に住んでいた数名の女性を拉致、さらには地球側の出方次第では武力攻撃も辞さないというミステリアンの対応に疑念を抱き、防衛隊による総攻撃が実施される。
しかしドーム型の要塞は戦車や榴弾砲、戦闘機のロケット弾はまるで効果がなく、さらにドームからの熱線によって戦車や榴弾砲は飴細工のように溶け、戦闘機も立て続けに撃墜された。
通常兵器ではまるで歯が立たないミステリアンに対し、人類は一丸となって「地球防衛軍」を設立。
ここにミステリアンとの壮絶な宇宙戦争が幕を開ける。
- 本多猪四郎監督は「地球外からの侵略があれば地球全体が結束できるのではないか」という逆説的な発想だったと語っている。
- 川北紘一監督は映画館でこの映画を見て感銘を受け、東宝に入社した。
- この年、ソ連が人類初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げた。
- ラストシーンで登場する国連の地球外監視衛星がスプートニクに似た造形になっているのはこれにちなんだものである。
- 陸上自衛隊富士学校の全面協力を受け、実際の演習風景を撮影している。本多によると最大3個中隊が参加し自身の監督作では最高動員数だったという。
- 東宝特撮映画では珍しくF-104戦闘機が登場する。ワンカットのみだがミステリアンの熱線を回避する場面があり、観客から歓声が上がったといわれている。
- このほか本作のみのレア装備としては避難誘導する自衛官が担いでいる九九式短小銃が挙げられる。
- 原作者の丘美丈二郎は当時航空自衛隊に所属しており、「防衛」というテーマが自衛隊に合致していることから引き受けたとしている。
- 原作小説には白石が人類を裏切る、ミステリアンが地球人女性との結婚を求めるなどの要素がなく、モゲラも登場しなかったという。
- ただし丘美の手掛けた原作はあまりにも長かったためとうとう出版されることは無かった。
- 代わりに1958年に本作の続編にあたる小説『ミステリアンまた来襲す!!』を発表している。
- 「ワレワレハウチュウジンダ」というこの声は、ミステリアン役の俳優、土屋嘉男氏が考案した。
- 劇中に登場する科学者インメルマン博士(演:ハロルド・コンウェイ)は、脇役ながらその独特の話し方で 大きなインパクトを残した。
- 「グッドニュース、グッドニュース、ミナサン、ヨリコンデクダサイ。アタラシイキカイデス。」
- 「カンタンニユット、チョッケイ、ニハクメットルノレンズデス。」
- 戦闘シーンで用いられた通称「地球防衛軍マーチ」は作曲を担当した伊福部昭氏の「SF交響ファンタジー」にも収録されている。第3楽章のトリ、つまり最後の最後に流れる楽曲という非常に優遇された扱いを受けている。(参考:)
- 1959年には『The Mysterians』のタイトルにて米国で公開され、好評を博した。
- アメリカでは本作のタイトルに由来するバンド「?(クエスチョン・マーク) アンド・ザ・ミステリアンズ」が1962年から1969年まで活動していた。
- アニメ作品『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』第5話では本作の楽曲が使用されたことも。
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