剣竜
けんりゅう
日本語で剣竜と言った場合、ステゴサウルスの和名として使われる場合と、「剣竜類」の俗称として使われる場合がある。ここでは後者について解説する。
剣竜は、中生代ジュラ紀の中頃に出現し、白亜紀前期で絶滅した植物食恐竜の分類群である。鎧竜とは近縁で両者を合わせて装盾類というグループを成す。ある程度の成功、繁栄をしながら、同レベル(下目)の恐竜各分類群の中では白亜紀末期をまたずに絶滅してしまった数少ないものの一つ。
最大の特徴は、背中にそって並んだ大きな「皮骨板」である。ステゴサウルスやウエルホサウルスではプレート状に発達するが、ケントロサウルスやトゥオジャンゴサウルスでは文字通り剣のような形態になる。性的ディスプレイや種の識別、そしてプレート状に発達する種では体温調節にも用いられた。
また、尾の先端に2対以上のスパイク状の皮骨板「サゴマイザー」をもつ。これは捕食者から身を守るための武器として使われたことが確実視されている。
4足歩行する恐竜であるが、前肢と比べて後肢が著しく長い。頑丈な尾と合わせ、「三脚立ち」して木の葉を食べることができた可能性もある。また、脳のサイズが小さく、かつ腰部の骨に謎の空間(神経束が入ると共にグリコーゲンなどの糖類を貯蔵していた部位と解釈されている)があることから、「第二の脳」があると言われたこともある(上述のようにこれに関しては完全な間違いだったが、未だにこの話を見かけることがあって恐ろしい)。脚の短さ、身体の大きさから二本脚走行もできないことから、早く走ることが出来なかったと思われる。そのため皮骨板で防御力を高める方向に進化した。
嘴状になっている口先は細く、歯や顎はあまり頑強ではない、という特徴は彼等が特定の植物(ソテツ類など)を選り好みして摂食する性質をもっていたことを示す。他の恐竜よりも比較的早くに姿を消してしまったのも、環境変化等による植物の変遷の影響を受けやすかった事が一因として推測される。