ミノトン
みのとん
「我はずっと待ち望んでいたのだ、貴様等の様な強者(つわもの)と戦うのを!」
CV:酒井敬幸
この記事は多大なネタバレを含みます。未試聴の方は注意。 |
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バッタモンダーに続くアンダーグ帝国3番目の刺客にして、帝国に仕える最強の武人。
バッタモンダーの後任として第25話から登場した(OPの映像も変更された)。
猪とミノタウロスを合わせたように、筋骨隆々な武闘家の如き威厳のある風貌。
卑怯な手段で無関係な一般人を戦いに巻き込む事も不必要な破壊活動もせず、自らプリキュアを呼び出して正々堂々勝負を挑む武人肌な性格。
その為、プリンセス・エルを捕まえてくるよう命令は受けている、あくまで「プリキュアを真っ向から打ち倒してから」と決めており、初陣では「まだ赤ん坊であるエルを傷つけるような真似はしない」と自らが召喚したランボーグを投げ飛ばした。
第28話では自ら殴り込みをかける時、周囲の一般人へ「巻き込まれたくなければ逃げろ」と事前通告する徹底ぶりを見せる。
それもあってか帝国の刺客2人を退けたプリキュア達のことを「自らの相手に相応しい強者」と認め、彼女らとの真剣勝負を何より楽しみにしている。
戦いに全てを捧げる為常に己を限界まで鍛え上げているだけあって、「アンダーグ帝国一の武人」の二つ名は伊達ではない。
その姿勢は「相手が誰であろうと頑として曲げない」という見事な物。
だが、愚直なまでに『自ら強者と認めた存在との戦い』を求める思考は、(対戦相手含む)他人の都合を一切考えず自己中心的で視野が狭い典型的な「脳筋」と評せる。
また「『より強くなること』を皮切りに他を無視して鍛錬を重要視する」というストイックさの余り、他者にも同じ価値観を求め遊びや怠惰を極端に嫌う。
ただ、この「戦い」に関して拘りが過ぎる性分を自分でも「欠点」だとある程度自覚しているらしく「愚かな武人」と自己評価している。
尚、名前の語呂が似ていたり豚鼻があるなどの獣要素が強い亜人の姿をしていたりとカバトンに似た点があるが、カバトンを「下品で下劣な愚か者」と忌み嫌っている模様(実際処刑される恐怖から「ソラとの決闘に負けたらエルにはもう手を出さない」という約束を反故にしたカバトンに対して彼は信念を曲げていないので当然とも言える)。
プリキュア達も「(あげは曰く)カバトンは禁句みたい」とそれ以上追及しなかった為、両者の関係性は不明。
ただ、性格的には合わないながらも純粋な腕っぷしに限っては認めている節もあり、物語終盤のスカイランド防衛戦においては互いの背中を預け合って共闘するという一幕もあった。
ランボーグ召喚時の呪文は前任者2名と違い「来たれ!アンダーグ・エナジー!」(動作は拳を握り締めるもの)、転移能力行使時の呪文は「ミノトントン」。
その体格通り怪力の持ち主で、巨大な大木を抱えて1万回も振り下ろすトレーニングをしており(しかもそれすら本人からすれば『準備運動』)、「ランボーグの強さは召喚者の強さに直結する」という性質から前任だった二人よりも実力は上であると思われる。(第25話より)
- しかしプリキュア側の新たなパワーアップ要素が無くても今の所撃退できているし、カバトンの電車ランボーグやUFOランボーグ、スカイランドを襲ったバッタモンダーの超大型ランボーグ程の苦戦は無い為、彼が本当にアンダーグ帝国最強の幹部か疑問を呈する向きもある。この点に関しては、上記のランボーグが両者の秘策によって生み出されたものであり、一方ミノトンは現状では単純な力押し戦法しか行っていないので単純な比較は難しい。
- また、第19話以降からプリキュア達がミックスパレットのバフ・デバフ機能を活用しているという利点が大きい。「ミノトンが召喚するランボーグに苦戦するもミックスパレットでステータスを強化して逆転」というパターンになりつつある。
- プリキュア達に鍛錬を怠っていると発言していたが、実際に本作のプリキュアはランボーグ相手に同じ技ばかり多用せず分断されても合体技を使用する為の復帰を期待せずに単独技を使用し工夫して対処している為、この時点でミノトンが思った以上に戦闘経験を積んでいたりもする。
- 第25話
「いざ刃を交えようぞ、プリキュア!」
とある森の奥深くで1人鍛錬に励んでいたが、満を持して出陣。
動物園のシンボルである『ソラシドサウルス』のランボーグを差し向けてプリキュア達と開戦し、武人の誇りと共にプリキュアにとって意外性のある行動を見せた。
- 第26話
プリキュア達を追ってももぞら空港で館内放送を利用しておびき寄せ、空港ビル屋上・展望デッキでハンディファン(手持ちタイプの小型扇風機)を依り代としてランボーグを召喚。
この際ランボーグが巻き起こした暴風で上空に乱気流が発生。
空港は旅客機全便運航停止のパニック状態をもたらしプリキュア達に苦戦を強いるも、ウィングのひらめきの前に敗れる。
この段階で実際アンダーグ帝国の目的は『エルの身柄確保』だけ。
エルを連れて高飛びする手も妥当なので行動自体あながち間違いではないが、空港にプリキュアがいると知り「我との戦いから逃げて高飛びするつもり」という斜め上の結論から(手段が破壊行為ではないとはいえ)「プリキュアを逃さない」名目で飛行機トラブルを起こすなど悪役らしさが目立っている。
とはいえ、真夏日にも拘らず「ソフト帽&トレンチコート」の厚着で変装して館内放送でプリキュアをおびき寄せる、待っている間もハンディファンで涼を取ろうとする(実際には暑い所で使っても熱い空気をかき回すだけで意味がない)など妙に抜けた面も見られた。
- 第27話
今回は本人は登場せず、ピンクットンの名を聞いたツバサのイメージのみの出番となった。
- 第28話
「軟弱者共が……日々の鍛練を怠り、チャラチャラした恰好で笑っているからだ!!」
ファッションショーの特設ステージに乱入し舞台照明を素体にランボーグを召喚。
ランボーグが発する高出力ビーム乱射に四苦八苦するプリキュアを嘲笑するが、姉達の努力を知るキュアバタフライから猛然と反論される。
「ミックスパレットによる複数名守備力アップ」という前代未聞の戦い方に惜敗するも、どこか満足げに撤退した。
- 第29話
不思議なぬいぐるみを探しに町外れの洋館へとやって来たソラ達の前に立ち塞がり、洋館ランボーグを生み出してプリキュア一行を閉じ込める。
目的が「エルの身柄確保」なのでこのまま撤退すれば達成できたはずだったが、プリキュアが脱出した際に悔しがるどころか喜ぶという硬派な武人肌故にプリキュアと戦う事しか頭にない&私事にしか眼中にない節がある。
- 第30話
浜辺にて赤フン一丁で地獄のハードトレーニング中、海水浴に来ていたプリキュア達を目撃。
「ここで会ったが百年目」と浮き輪ランボーグを差し向け一度は勝ちを確信するが、ふとしたきっかけカナヅチを克服したスカイの活躍により逆転負け。
夏休みにプリキュア達が海水浴に来ている光景等は酷暑だろうが過酷な特訓に勤しむ彼からして見れば、舐めプにも等しい侮辱行為に映る模様。
- 第31話
「我は陛下の忠実な駒、ですが同時に強さを追い求めずにはいられぬ愚かな武人故」
打倒プリキュアの為スポーツジムに連日通い詰めて己の鍛錬に励んでいた所(人々から「ミノさん」と呼ばれていた)、とうとう業を煮やした君主から督促される。
しかし、命令無視どころかあくまで「武人」としてプリキュアと抗う事に拘っている現状を馬鹿正直に告げた為、主の逆鱗に触れて帝国へと強制送還(?)されてしまう。
彼の受け持っていた使命は、主が最も信頼を置く側近へと託された。
- 第32話
「ハカイ……ハカイ……モットハカイシテヤル……!!!」
いかなる経緯か、前話の粛清によってアンダーグ・エナジーを注入され正気を失った巨大な怪物と化して街を蹂躙する。
エナジーの奔流から4人一丸となってエルを守りきったプリキュア達の姿に一度は正気を取り戻しかけるが、すぐに意識を塗り潰されてしまう。
満身創痍のプリキュアにトドメの攻撃を繰り出そうとしたその時、エルが決死の覚悟でキュアマジェスティに変身。
鬼神の如き武勇に圧倒された途端、プリキュア・アップドラフト・シャイニングに敗北。
直後スキアヘッドに回収された。ただしキュアマジェスティも力を使いすぎたようで戦闘後は強制的に変身解除され、エルの姿に戻ってしまっている。
- 第33話
スカイランドの遺跡にて、「究極の力」たる新たなアイテムを探しに来たソラ達に襲い掛かる。
ソラにたしなめられ一瞬正気を取り戻しかけるが、大量のドリンク剤でアンダーグ・エナジーをドーピングし前回にもましてさらに凶悪な変貌を遂げる。
キュアマジェスティの攻撃でも倒れず逆に反撃を受け、絶体絶命の危機に陥る中、プリズムがマジェスティの説得によって解放した究極の力『マジェスティクルニクルン』による「プリキュア・マジェスティックハレーション」によって浄化された。
「我の負けだ……我に武人の心を取り戻してくれたこの恩、いつか返す。
また会おう、好敵手達!」
その後は自らの敗北を潔く認め改心、プリキュア達と友情の握手を交わして姿を消した。
帝国に関する事情は何も話さないまま去ってしまったが…。
- 第48話
長らく出番がなかったが、第48話にてカバトン&バッタモンダーと共にまさかの再登場。
カバトンと共にウィングとバタフライの助っ人として参戦。鍛錬を重ねたことで、キラキラエナジーを習得したかのように拳が光っていた。
- 第50話
「武人は二君に仕えず!!」
スカイランドとアンダーグ帝国の間に和平が結ばれた後も、主君・カイゼリンへの揺るぎなき忠誠心を誇示。
カバトンと共に憎まれ口を叩くバッタモンダーに反感していた。
演者について
演じる酒井氏は映画フレッシュプリキュア!おもちゃの国は秘密がいっぱい!?の大鏡を演じており、それ以来のプリキュアシリーズ出演でTV本編は初出演となる。
同時にこれまで囁かれていた『幹部を演じた声優が、過去作のプリキュアの親族を演じていた法則性』が崩れる格好となった。
武人肌な敵幹部として
これまでプリキュアシリーズに登場した武人肌な敵幹部は『強者』に対して敬意を評する一方『弱者』と判断した相手を下に見たり、口先は立派だが自身の戦闘衝動を満たせれば他を省みないなどの傾向が多かったが、ミノトンはたとえ赤子であり自分達の組織が狙う相手であってもその心意気を認め敬意を評しており「味方に攻撃してまで戦いを中断する」などこれまでの存在とはまた違った潔い一面が強い。
これまでの幹部2人があまりに非道だった故に、初登場時では一部視聴者から「所属する組織を間違えたのでは?」「敵同士でなければソラと気が合ったのでは?」という意見もあったが、実際ソラは敵同士であってもミノトンの武人気質を尊重している様が随所に見られていた。
しかし、逆説的に言えば心意気を感じない相手には冷酷である。
武人の心意気を感じさせる言動をプリキュア達に対して勝手に期待し、それを感じられなければ勝手に失望して非情な態度を取る。
さらに思い込みの激しさから(本人に悪気はないとは思うが)周囲に迷惑になる行為を行っている為、別の意味で面倒な性格の武人肌幹部とも評せよう。
ミノトンが最終的にソラシド市でプリキュアをおびき出す為に破壊活動をしなかったのは「余計な事は避ける」という悪役として異質な意味で理にかなっているのだが、見方を変えればプライドを拗らせて「エルの誘拐」よりも「プリキュアを倒して屈辱を晴らす」のを優先して行動していたバッタモンダーや、エルを捕まえてくるよう命令は受けているものの、武人気質である為「『最強』とうたわれる自分の相手に相応しい」とプリキュアとの戦いに備えて己の鍛錬ばかりかまけていた結果粛清されてしまったミノトンより、先鋒であるはずのカバトンが「『運命の子』プリンセス・エルを手に入れる」組織の目的に一番忠実に働いていた感はある(尤も、カバトンも 『命令達成後の報酬』が目当てだった為、結局は全員が自分の本願達成に注力しているのに変わりない)。
名前について
恐らく『ミノタウロス+豚(トン)』と思われる。
尚、ミノタウロスの名称自体は『ミノス王の牡牛』を意味する為、現義に則るならば『ミノス王の豚』になる。
- ギリシャ神話のミノタウロスはクレタ島の王・ミノスが海神ポセイドンを怒らせてしまったが為に生まれた「呪いの子」であり、迷宮に閉じ込められた魔物である。ミノトンとプリキュア達の決戦の地がスカイランドの遺跡だったのはこの神話がモチーフだろうか?
英字表記するとMinotonとなるが、これは『シンドバッド虎の目大冒険(1977年/アメリカ)』に登場する牛頭人身の巨像・ミナトンと、奇しくも綴りが同一である。
……余談の余談だが、「ミノ」には牛の第一の胃袋にあたる部位という意味もある(語源は切り開いた時の形が藁で作られた蓑笠に似ている為)。
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