ノスフェル
のすふぇる
ビースト・ザ・ワンの要素を受け継ぐ上級スペースビーストであり、ガルベロスと同じくフィンディッシュタイプビーストに分類される(Fiendish = 悪魔のような)。
やたらと付き出した上下の前歯が目を引くが、人間を捕食する際は長い舌を使う。
両腕の鋭い鉤爪はウルティノイドにすら致命傷を与え得る威力を持つ上、殺害した人々をビーストヒューマンとして蘇生させ、自らの傀儡とする。
更に額から光線(或いは目から触手)を発して人間を体内へ生け捕りにする事も可能。
ゲーム版のみ、赤黒い球体「爪波動」を飛び道具として放つ能力も有する。
最大の特徴は強力な自己再生能力であり、ウルトラマンの必殺技を受けて絶命しても、口腔内の再生器官を破壊されない限りは何度でも復活することが可能。しかもピンポイントで再生器官を破壊してから、細胞を分子レベルで消滅させる必殺技でトドメを刺さなければ短時間で再生してしまう。
ノスフェルの外道ぶりは、ただでさえ話が暗い『ネクサス』の中でもずば抜けている。
よりによって普通の特撮番組なら玩具を売るためのストーリーや演出を押し出す12月~1月の7週間に亘って連続登場しており、本来ならクリスマス、正月というめでたい時期であるにもかかわらず陰惨な鬱展開を延々見せ付けてお茶の間の空気を淀ませる惨状を展開したことは語り草になっている。
結果、主人公の孤門のみならず、数多くの視聴者にトラウマを植えつけた。
またノスフェル絡みのエピソードでは何故か、販促対象となる防衛チームの兵器が無辜の民間人を殺傷する事が多かった為、BANDAIや卸売業者などに対しても多大な被害を与えた存在……と言えるかもしれない。
Episode.11
溝呂木の言葉で真実に気づいた斎田リコの回想シーンで初登場。
半年前、リコが孤門一輝と出会ったその夜に、彼女とその家族を襲撃したことが明かされた。
ノスフェルは斎田一家が乗った車の前に立ちはだかり、逃げ遅れたリコの母親と弟を車ごと爆破、更に二人を助けに向かった父親を鉤爪で引き裂いて殺害するという暴挙を見せた。直後にナイトレイダー隊員が現れ、ノスフェルからリコを守る様な仕草を見せたが、その隊員の正体は溝呂木だった為、ディバイトランチャーの銃口をリコへ向けて発砲。
リコは物語が始まる半年前に殺害されていたという衝撃の事実が明らかになる。
一方、行方不明になったリコの安否を知るため彼女の家へ向かった孤門だが、斎田家が住む筈のアパートは無人だったうえ、リコの部屋には惨殺された死体や胎児、ウルティノイドやペドレオン、ガルベロスらしきものが描かれた絵がバラ撒かれており、リコが卒業検定の課題「家族の肖像」を描いていたはずの真っ黒なキャンバスには、鬼気迫るタッチで悪鬼のごとく描かれたノスフェルの肖像が残されていた。
なお、これらの絵を描いた美術スタッフには、放送後に家族から精神状態を心配する電話がかかってきたという。それだけ本気度がズバ抜けていたのだろうか……
Episode.12
異常な光景を前に呆然としていた孤門は、不定形のビースト細胞に寄生される。
そして、幻覚の中で斎田一家がノスフェルに襲撃された光景を見せられ、錯乱してしまう。
その後、正体を現したリコ=ダークファウストと姫矢准=ウルトラマンネクサスが戦闘を開始。
ファウストはダークフィールドに巻き込まれた孤門を盾にしてネクサスの攻撃を封じ、更にネクサスからエネルギーを奪って優位に立つ。
残酷な真実を知ってなおリコを愛する孤門は、戦いを止めるよう懇願しつつファウストを銃撃。その悲痛な声が届いたのか、微かに記憶が蘇ったファウストは戦闘を停止した。
しかし、その様子を見ていた溝呂木がフィールド内にノスフェルを召喚。用済みかつ邪魔者になった孤門を抹殺させようとする。
ノスフェルは瀕死のネクサスが放ったパーティクル・フェザーにも怯むことなく進撃、孤門を殺害しようと襲い掛かったが、リコの意識を取り戻したファウストが孤門を庇い、その背でノスフェルの鉤爪を受け止めてしまう。
思わぬ妨害を受けたノスフェルは、ファウストを蹴倒しつつ彼女の身体から爪を引き抜き、もう一度孤門を殺害しようと試みるが、今度はネクサスに阻まれて鉤爪を破壊されてしまう。
更にクロスレイ・シュトロームの直撃を受けたノスフェルは、あえなく爆死した……かに見えた。
一方、致命傷を負ったファウストはリコの姿に戻ったものの、程なくして光の粒子となって消滅。
最愛の女性を喪った孤門には失意の絶叫を上げることしか出来なかった……
Episode.13
(※放送日:12月25日)
リコの死に傷心し、更に溝呂木の精神攻撃に晒された孤門は発狂寸前に陥るが、姫矢の激励と、西条凪の「憎しみを力に変えてビーストと戦え」というアドバイス、そして動物園で知り合った山邑一家との交流で、かろうじて立ち直りつつあった。
しかし、家路に着いた山邑一家の前に蘇生したノスフェルが立ちはだかり、半年前の悲劇を再現するかのごとく、一家が乗る車へ鉤爪を振り下ろしてしまう……
Episode.14
(※放送日:1月8日)
ノスフェルは山邑夫妻を殺害。
更に気絶した薫・理子の兄妹を拉致し、山中の別荘へ監禁した。
ビーストヒューマンと化した山邑夫妻は狂気的な言動で兄妹を恐怖させ、駆けつけたナイトレイダーと交戦後、地底に隠れていたノスフェルの下へ理子を連れて行った。山邑一家が狙われたのは長女の名前が理子=リコだったからという理不尽な理由である。
額からの光線で理子を体内に取り込み、メフィストと交戦中のネクサスへ接近するノスフェル。
理子が囚われている事を知らず、ノスフェルへの復讐心によって士気を高めていた孤門は、新兵器メガキャノンバニッシャーを発射し、理子もろともノスフェルを撃破してしまう。
爆風に巻き込まれた理子は辛うじて一命を取り留めるも重傷を負い、メフィストのテレパシーで攻撃時の様子を見せられていた薫は孤門を激しく憎悪し、非難した。
無論、罪の無い理子を傷つけてしまった孤門も自責の念に苦しめられることになった。
Episode.15
再び蘇生を遂げたノスフェルは濃霧に紛れて工場を襲撃し、作業員を全員捕食する。
しかし、前回受けたダメージの影響で弱体化しており、体高も5m程度に縮小していた。
現地に駆けつけたナイトレイダーに攻撃されるが、素早いジャンプ移動で和倉隊長らを翻弄する。
更に不意討ちで石堀を負傷させ、トドメの鉤爪を振り下ろそうとするが、和倉、凪、詩織の三人からディバイトシューターによる集中砲火を浴び、霧の中へ姿を消した。
なお、孤門は「今度こそ憎しみの力でノスフェルを倒す」という決意をしていたものの、リコ及び山邑一家を巻き込んだ件がフラッシュバックして金縛り状態に陥ってしまった。
おまけに石堀を窮地に晒した為に凪から叱責されて戦意を喪失、TLTを脱走してしまう。
Episode.16
根来が隠れ住む山荘へ向かっていた佐久田恵の前に出現。
彼女を捕食しようとするが、駆けつけた姫矢からブラストショットで攻撃され撤退する。
一方、再生器官の存在を把握したナイトレイダーはノスフェルを殲滅すべく出撃するが、孤門を欠く彼らに対し、ノスフェルは事前に登山客を捕食していたためか再び巨大化しており、今回はナイトレイダーを圧倒。舌攻撃で隊員達を行動不能にし、別の場所にいた和倉をも負傷させてしまう。
しかし、その場孤門が駆けつけ、更にネクサスが合流すると形勢が逆転。
ノスフェルはネクサスを投げ飛ばしたり、首を絞めるなどして善戦するも、一瞬の隙を突かれて取り押さえられ、顎をこじ開けられてしまう。
更に戦意を取り戻した孤門が和倉隊長の助言により口腔内へディバイトランチャーのナパーム弾を撃ち込んだ為に再生器官を喪失。
トドメにジュネッス化したネクサスにオーバーレイ・シュトロームを照射され、分子レベルにまで分解、今度こそ完全に滅ぼされた。
実はオーバーレイ・シュトロームでビーストが倒されたのは、ペドレオン以来でもある。
何とか一命を取り留め、ビーストに纏わる記憶を抹消されることになった山邑理子だが、ノスフェルの細胞の影響で記憶操作に不具合が生じ、本来の意図とは逆に『ノスフェルに纏わる記憶だけが残り、他の記憶が全て消滅する』という憂き目に遭い、バンピーラの事件に巻き込まれるまで廃人のような状態になってしまった。
また、ファウストを死に追いやったノスフェルの鉤爪は上顎と一緒にイズマエルの右腕にも移植されており、ジュネッスブルーを幾度も斬りつけ、戦闘不能に追いやる程の威力を発揮するなど、死後も様々な形でネクサスや人間達を苦しめ続けた。
ただし、決して悪影響ばかり残したわけではなく、ノスフェルとの決着を経て憎しみと悲しみを乗り越えた孤門は大きく成長。以前のような頼りなさや、戦いへの迷いを見せる事は無くなっていった。
その後、彼は過酷な戦いを続けるデュナミスト達を支える存在となっていき、最終的には培った絆を繋いで世界を救い、英雄となった。
『ウルトラマンギンガS』の外伝小説『マウンテンピーナッツ』にて、ノスフェル(SD)が登場。
牧歌的な世界観であるはずの『ギンガ』世界だが、ノスフェルは空気を読まずに人々を虐殺、ビーストヒューマンへと変異させていった。更に現地では過激な環境保護NPO団体『マウンテンピーナッツ』が怪獣保護活動を行っている為に新設間近のUPGは当然出動できず、自衛隊も「ビーストヒューマンを操るノスフェルは知性のある存在」と扱い、迂闊に武力行使が実行出来ないという状況に陥る。
その結果、ビーストヒューマンにされた犠牲者とマウンテンピーナッツの構成員を盾にしたノスフェルは悪逆の限りを尽くし、家族や恋人を殺されて半狂乱となった人々がマウンテンピーナッツの戦闘員を攻撃しようとして戦闘員に蜂の巣にされたり、自暴自棄となった人々が自らビーストヒューマンになる道運命を選んだりするなど、「悲劇が悲劇をうみ、人々の苦しみは天を覆い尽した」と評されるほどの大惨事となる。
見るに見兼ねた久野千草がギンガライトスパークで初代ウルトラマンにウルトライブして立ち向かうが、ノスフェルは再生能力で30秒以上に渡るスペシウム光線の照射に耐え、数十発の八つ裂き光輪で四肢と尾をバラバラにされ、首を切断されてもまだ生き延びていた。
更に、「可哀相に、可哀相に」と哀れみの言葉をかけながら近づいてきたマウンテンピーナッツ日本支部・総司令官の原動隆一郎を目からの触手で額に取り込み(この際、額へ捕らえられた原動は脳に絶えられないほどの苦痛を送り込まれている)、人質としてウルトラマンの攻撃を封じる。マウンテンピーナッツ戦闘員をも捕食し、彼らのビートル戦闘機を舌で叩き落しながら暴れまわるが、人間の姿をしたものを撃つことには抵抗のない戦闘員たちはノスフェルの額を集中攻撃してスペシウム弾頭弾を命中させ、原動を爆死させてしまう。
このため図らずとも千草が攻撃を躊躇する理由が無くなり形勢逆転。渾身のウルトラアタック光線で動きを止められ、ウルトラ念力で全身くまなく爆砕した。
戦いが終わった後、千草は瓦礫の中で、モンスライブを解除されて損傷したアンドロイド・ワンゼロと遭遇し、「これで勝ったと思うな!」という負け惜しみの言葉を受ける。彼女の言葉通り、この戦いは一年後に始まる本当の戦いの序章に過ぎなかった。
元々スペースビーストは『ウルトラマンコスモス』の共存が可能な怪獣とは真逆の方向性を目指して生み出された存在であり、そんな存在を保護しようとするとどうなるかを教えてくれたサンプルケースであると言える。
奇しくも、『ギンガS』の次に展開された『ウルトラマンX』第20話では、怪獣との共存を目指す組織がスペースビーストを共存不可能と見なして駆除判断を下すという真逆の展開が取られた。
長谷川圭一氏が執筆した本作では、怪獣バイヤーのチャリジャが「防衛組織が怪獣に関する人々の記憶を消し、ウルトラマンも怪獣と見做して攻撃している世界」でナイトレイダーと交戦中の個体を捕獲し、「超時空の大決戦」の世界で赤い球を手に入れるための戦力として使役した。
同時に呼び出された4大怪獣との一斉攻撃でウルトラマンガイアを苦戦させるも、新星勉の願いによってGUTSとスーパーGUTSが召喚されたことで形勢が逆転。ガッツウイング2号が放ったデギサスビームによって粉砕されてしまう。
しかし再生能力によってすぐに復活。ガッツイーグルを襲撃したが、3機に分離したガッツイーグルのフォーメーション攻撃を受け、アスカ・シンが操るα号の攻撃で口腔内を攻撃され爆死した。
当然ながらアスカはノスフェルに関する知識を何も持っていなかった為、天性の勘で弱点を見抜いて撃破した模様。まさに超ファインプレーである。
死後、その細胞はデーモンギラレス14世の強化に使用された。
なお、チャリジャが『ネクサス』の世界を訪れた際には、「このウルトラマンがTV番組として放送されている世界もあるのだろう」「きっと子供には人気が出ないな。怪獣以外にも苦戦を強いられなきゃいいが」などと、同作のシリーズ構成を手掛けた作者の自虐とも受け取れる感想を抱いている。
アーマードダークネス復活を目論む宇宙人軍団が使役する怪獣の一体。
ステージ上にはかなりの時間登場している上にこのデザインなのだから、かなり目立っている。
[コズミューム光線]]と[ビクトリューム光線]]を浴びて倒された。
こうしたノスフェルの長期にわたる活躍はDVD4巻の映像特典でも、「これほどの憎まれ役を演じた怪獣は珍しい」と大きく評価(?)されている(実際には1話でこれ以上の事をやってのけた先輩もいるが、こちらは6話連続の鬱展開という長期戦で視聴者を苦しめたとも言える)。
また、DVD10巻の映像特典では出演者に「好きなウルトラ怪獣」のアンケートを取っているが、
佐久田を演じた川嶋朋子女史は「ノスフェルでしたっけ今回の」と回答している(ただし、冗談めいた口調なので真意は不明)。
コミカライズ版にも登場しているが、本作ではリコ=ダークファウストの死因がラフレイアの粉塵爆発だったため原作ほど重要な存在として扱われておらず、ネクサスではなく孤門隊員による狙撃で倒されている。
スーツは『コスモス』に登場したバデータの改造。さらに遡れば、カオスパラスタンおよびカオスパラスタンSからの改造である。
後にスーツは、『ウルトラマンマックス』に登場したエラーガに改造されている。ガボラやスフィアネオメガスといい、とんでもないリサイクル率。
アニメ『SSSS.GRIDMAN』では大量のウルトラ怪獣フィギュアを所有する悪役が登場したが、そのコレクションの中に、あろうことか5体以上のノスフェルのフィギュアが確認できる。しかも、その内一体は劇中カラーに塗装した改造品である。お気に入り怪獣なのだろうか……?
なお、同作は『ネクサス』と同様、長谷川圭一氏が脚本を担当している。
名前の由来は映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』から。
またデザインのモチーフはネズミであり、これも元ネタに準拠したものである。
イズマエル、デーモンギラレス14世:ノスフェルが素材に使われた合体怪獣。
アンドロイド・ワンゼロ:モンスライブした張本人。
ライブキング、再生怪獣サラマンドラ:高度な再生能力を持つ怪獣たち。サラマンドラの再生器官は喉元にあるが、再生器官が無事な限り何度でも復活するという点はノスフェルもまんま引き継いでいる。
ギマイラ:長い舌を持ち、霧に潜み、虐殺した偉大なる先輩。
ギャビッシュ:幼女を殺害し、別の幼女を体内に取り込み人質にしたネズミ型の先輩。
ギャラクトロン:ヒロインを体内に取り込み、諸共爆破された後輩。
ロボネズ、大群獣ネズラ:ネズミがモチーフの怪獣繋がり。後者は見た目がノスフェルに酷似している。
オルロック伯爵:映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』に登場するネズミ顔の吸血鬼。
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