テツノツツミ
てつのつつみ
「デデデデリデリデリ・バー」
ポケットモンスター 第9世代『スカーレット・バイオレット』から登場した、デリバードのような姿をしたパラドックスポケモン。
名前の由来はまんま「鉄の包」からで、ある意味では仮称に近い。
未来のパラドックスポケモン共通の、金属質のような光沢にモニターのようなドット表示の目、ダメージを受けたり特殊わざを発動すると、壊れかけのおもちゃよろしく頭がハズレて首がバネのようにぼよーんと飛び出るなど、初見ではポケモンはおろか生命体とも思えないだろう。
現代のデリバードにもある袋状の尻尾は、袋の形を保ったジェットブースターになり、そこから大量の氷水を噴射して、スキー板じみた形状の足で素早く滑り回る。
この尻尾はワイヤーで繋がっていて、移動させ砲台のように扱う事も可能。特に「れいとうビーム」を放つモーションは動き・表情ともにかなりダイナミック。
「月刊オーカルチャー」によると、その正体を考察する数ある説の中で、超古代文明が作った産物説が最有力とされ、テツノツツミらしき機械を設計・使役していた文献が残されていると言う。
他のみらいのすがた同様に『バイオレット』限定で、エリアゼロに全域にわたって出現する。エンディング前は出現場所が限定されているものの、それでもシナリオ上絶対に通る道に普通に出て来る。
『ザ・ホームウェイ』で発生するイベントでも登場し、普通のデリバードだと思って「かわいい」と近づこうとしたボタンに対して暴走したかのような叫び声を上げ襲いかかり、上記の特徴から主人公たちにも「エリアゼロのポケモンってどうなってるの?」と恐怖を与えた(なお、当イベントのスカーレット版ではサケブシッポが出現するのだが、「見た目も鳴き声も可愛すぎてそんなに危険が感じられない」という評判もあったあちらに対して、こちらは結構怖い)。
エンディング前にも捕まえられるパラドックスポケモンは数種類いるが、ヌシが縮んだ姿で復活する仕様を知らないと見逃してしまうテツノワダチ、寄り道をしないと出会いづらいテツノコウベと違い、テツノツツミは出会いやすい部類。パーティには入れなかったがゲットはしていたというプレイヤーも多いだろう。
水辺の近くではなくても出現するという性質上、みずタイプの中でもサンドウィッチを使った色違い厳選が行いやすい。
名前 | HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
テツノツツミ | 56 | 80 | 114 | 124 | 60 | 136 | 570 |
デリバード | 45 | 55 | 45 | 65 | 45 | 75 | 330 |
デリバードのひこうタイプがみずタイプに変化した。
珍しくない組み合わせだが、SVのみず・こおり複合は他にパルシェンのみなので意外と貴重。
種族値は一体時代を越えてなにがあったのかと言わんばかりに大幅変化。
全ての種族値がデリバードを大幅に上回り、素早さに至ってはみずタイプではカマスジョーと並んで一位タイ、こおりタイプでは単独一位という凄まじい物となっている他、防御・特攻もかなり高水準の高速特殊アタッカーとなっている。
パルデア地方でテツノツツミ以上の速さを持つのはマルマインとドラパルトのみ。
一方HPは低いままであり、物理耐久は高い防御とゆきによってそれなりに補えはするが、特殊耐久は相変わらず紙。耐性のない複合タイプであるため受けに回るのは難しいと言っていい。
みず・こおりタイプは主力特殊技が多いため、一致技には困らない。ただしみず技に関してはなみのりのような安定技を覚えず、ねっとうも貰えなかったのでハイドロポンプの技外しとうまく付き合っていく必要がある。
一方特殊のサブウェポンはエアカッターとはかいこうせんしかなく、使い勝手のいいサブウェポンはほぼ物理に偏ってしまっているのが困りもの。
攻撃種族値は80と最低限はあるものの、物理アタッカーとして運用するのは流石に難しい。対面操作ができるクイックターン以外の物理技を採用する場面はほぼないだろう。
とはいえフリーズドライが使えるので、それと水技だけでも攻撃面での一貫性は取りやすい。そもそも(特性を除く)全複合タイプの中でフリーズドライと水技の両方を半減以下に抑えられるタイプは無いため、アタッカーとしてはいかなる相手でも最低限の仕事が出来る。
逆に言えば、相性関係なく数値受けしてくる相手はとことん苦手。
なまじ壊滅的な特殊耐久に加えて耐性もないため、受けきられると本当にあっさり落っこちる。
デリバードのタマゴ技のみちづれやカウンター、おきみやげを自力習得できず、ひこうタイプが消えたからかおいかぜも習得できないと、サポート性能と奇襲性能はデリバードより劣る。
とはいえ、ちょうはつやシリーズ1から猛威を振るっているアンコールをその高い素早さから使えるのは明確な強み。うずしおも使えるため、カイリューと同じような戦法も取れる。
ブーストエナジーが場に出ると必ず消えてしまうという性質を利用して、高い素早さを活かしてどろぼうで相手の持ちものを奪ってしまうという戦法も使える。
なお、こんな姿になってもデリバードなのでプレゼントは自力習得できる。
対戦環境では「ハイドロポンプ」「フリーズドライ」を中心に「みがわり」「アンコール」を中心に採用した、自身より遅いポケモンを嵌める型が主となっている。
シリーズDまではほぼ10位以内の常連となっていたが、環境の変遷により「とつげきチョッキ」を活かした数値受けの浸透や碧の仮面における「ねばねばネット」所持者の大幅増加など向かい風が増えていき、ついにシリーズEでトップ10から追い出されてしまった。
やる事がワンパターンになりがちで動きが読みやすいのも裏目に出てると言える。
テラスタイプは一致が多めだが、「しんそく」対策のゴーストや数値で受けてくるはがね対策+でんき対策のじめんも少数存在する。
そんな中、シーズン16最終1桁に「あつぞこブーツ」型が残った。流行しているママンボウにとって厄介な「ステルスロック」展開型への対策になる上に、「みがわり」や積みも「アンコール」で対策できる。
シリーズ7では素早さ種族値的に抜ける相手にコライドンとミライドンが追加され、そのようなこともあってメジャー格の立ち位置をキープ。コライドンも素のタイプ上「フリーズドライ」は抜群で、悠長に積み技を使えば「アンコール」で起点にできるため、過剰に「ひひいろのこどう」に怯える必要はない。ただし、こくばじょうバドレックスやザシアンのようなテツノツツミの素早さ種族値を上回る禁止級伝説も存在するため油断ならない。
敵としても有利な対面であるミライドンは味方に付けると「ハドロンエンジン」で「クォークチャージ」を発動できるのが優秀。また、ミライドンの苦手な相手を処理できるのも利点。
ダブルバトルでは高速アタッカー兼「こごえるかぜ」サポーターが主。多くのポケモンがテツノツツミを基準に素早さ調整しており、よほどの鈍足でない限りテツノツツミに一致抜群を取られるアタッカーは「おいかぜ」込みで最速テツノツツミ+2ぐらいの素早さに調整されることが視野に入る。
まとめればテツノツツミの恐ろしいところは、カスタマイズ性は比較的低いが、それでもパワーとスピードを追求した王道のアタッカー型を使っているだけでも強いというところにある。
- ポケモンWCS2023の紹介映像
ヘイラッシャとコンビを組んで登場。マスカーニャとカイリューのコンビと戦闘していた。地味に伝説ポケモンを除けば初めて映像作品で動き付きで登場したパラドックスポケモンである。(動きの有無がなければ静止画のこのポケモン達が先)
この映像で登場しているポケモン達は皆、それぞれのジャンルにて特に活躍しているポケモンであり、ランクマッチで成果を出している日頃の行いによる出演だろう。
上述のオーカルチャーの説が事実である場合、本作の黒幕が未来から呼んできたポケモンの中に超古代文明の産物という異物が混じっていることになり、さらに「超古代文明が作ったのに今のデリバードと同じ姿なのはなぜ?」という疑問も生じる。
超古代文明が設計したポケモンが未来の技術で再生されたもの(再生する際にデリバードに近い姿に再設計された)が呼び出された、と考えれば一応の矛盾は無くなるとはいえ、未来のポケモンであるという情報はフトゥー博士が語っているのに対し、この超古代文明説自体がオカルト本に書かれた根拠のない胡乱な仮説でしかなく、真に受けても仕方ないかもしれない。
ただ、最近「過去にはまだ存在しないはずのポケモン達の過去の姿」という真逆の方向におかしな存在が現れている
そしてこれは彼らの誕生の経緯というある種の確実なソースとの齟齬による「古代の姿」という言に対するという矛盾である
これにより「こだいのすがた」と「みらいのすがた」が「未来の過酷な環境に対応したこだいのすがた」と「過去の超技術で作られたみらいのすがた」なのではないか?という説がにわかに囁かれ出している。
その圧倒的性能から、ポケスペの仮面の男のデリバードや、アニポケのロケット団のデリーの正体がコイツだったんじゃないかとネタにされることも。
突飛に見える「頭が外れて首が伸びる」設定だが、現実のペンギンも、本来長い首や足を普段S字に折り畳んで胴体に埋もれさせている体型で、伸ばせば思いのほか長く伸びるため、これを意識した可能性がある。
上述のポケモンWCS2023の紹介映像の他、パラドックスポケモンとしては初めての最強レイド個体も登場するという高待遇。時期的にクリスマスを意識したポケ選だと思われるが、他のパラドックスポケモンとは一線を越えた扱いとなっている。
図鑑番号順