長寿だが亀にあらず?
PT-76(ПТ-76)は、冷戦中のソ連で開発された3人乗りの水陸両用戦車。
旧ソ連圏やワルシャワ条約機構などの東側のみならず、中東をはじめとする第三世界の各国にも輸出され、実用化の1951年から2024年(執筆時点)に至るまで73年間もの間、主に中小国で現役を貫いている。
ただし、火力・装甲は水陸両用能力と引き換えに妥協されたためかなり貧弱。
特に装甲は最大でも20mm厚程度で、ブローニングM2やDShKといった12.7mm重機関銃の徹甲弾が防げるかギリギリの防御力となっている。
そしてもちろん、戦車砲・滑腔砲や対戦車ミサイルなどもってのほか。
とはいえ、小銃弾を寄せ付けずに人間の3倍の機動力で河川や泥濘だらけの不整地も容易に突破、戦車以外の目標を一撃で粉砕する76.2mm砲と制圧力抜群の7.62mm機銃を兼ね備える鋼鉄の亀は、間違いなく歩兵やゲリラにとって絶大な脅威となるのだ。