”巨大”とは感動である
この絶景を一体誰が正しく言葉にできようか
ここはエルバフ島
「ウォーランド王国」
通俗的にはその総称で「エルバフ」と呼ばれる巨人たちの王国
草や木 蔓や花 虫・魚・鳥 動物たちに至るまで
すべてが巨大でただ息をのむ
冒険者達よ 返却されぬ去りし時を悔いる事なかれ
※この記事は単行本未収録の重大なネタバレ情報を含みます。 |
---|
概要
「偉大なる航路(グランドライン)」後半の海「新世界」にある島。
作中では「村」という規模の地域名として扱われることもあり、この島に住む巨人族の戦士たちが「ウォーランド」という国を興している。国の王子ロキ曰く、かつて戦争に明けくれていたとのこと。
有望な巨人族の戦士を数多く輩出してきたことで有名であり、100年以上前の『巨兵海賊団』の伝説も相まって、世間では『世界一の強国』『巨人族の総本山』とも称される。
世界政府に加盟しているかは現時点では明らかになっておらず、新世界編の世界会議には未出席である。
作中では麦わらの一味がリトルガーデンに上陸した時点でその存在が明かされ、新世界編突入後にはビッグ・マムの過去編やシャンクスとユースタス・キッドの戦いの舞台として何度か描かれてきた。そして、エッグヘッドでの戦いを終えた麦わらの一味が上陸したことで、その全容が明かされ始めている。
詳細
島の構成
島の中央にあるユグドラシルや要塞を彷彿とさせる「宝樹アダム」が最大の特徴で、北欧を感じさせる気候・植生・文化を持つ。
島に生息する動植物すべてが規格外のサイズであり、虫一匹が170cm程の人間の数倍の体躯を誇る。また、巨人族の島であるため建築物もすべて巨大で、他の種族が吊り橋を渡るのにも苦労する程である。
島周辺の海域には、船を丸飲みしかねない程巨大な魚たちが泳いでいる。また、エッグヘッドとエルバフの間の航路には「眠霧地帯」という海域があるらしく、そこを通った者は眠ってしまう模様。
住人たちは太陽石(ペインター)で虹を描くことで道を自在に作り出し、エルバフの3つの階層を往来して生活している。同じ階層内の移動には霧舟(スヴァル)という島雲を用いた舟を利用している。
リリス曰く、エルバフの気候は完璧であり、島雲と海雲といった空島の環境に加え、シャボンディ諸島や魚人島のシャボンや、エッグヘッドのホバーといったあらゆる技術が共存できるとのこと。
- 下層「冥界」
エルバフの神話においては「第一世界」と呼ばれる、太陽の光が差さない階層。大地そのものが監獄及び処刑場の役割を担っており、険しい雪山と樹齢が千年を超える大木たち、そして各山に住む屈強な猛獣たちが罪人認定された者たちを囲い込み、死に至らせている。
- 中層「陽界」
エルバフの戦士たちの村がある、陽の差す階層。巨人族にとっても広すぎるため、階層の全景は見渡せない。
この階層の時点で標高がかなり高いからか、島雲と海雲が点在している。また、海に向けられた大砲や冥界に届くまで突き刺さった大剣などが確認されている。
- 上層「天界」
アダムの上層部。現状は詳細不明。
巨人族
世間一般では「巨人族」と言えば誇り高いエルバフの戦士が有名であり、ビッグ・マムによれば「エルバフの巨人族を味方にできれば、他の四皇たちを倒して海賊王になれていた」とのこと。海軍が人間の巨大化実験に躍起になるのもうなずける。
100年以上に『巨兵海賊団』がとあるきっかけで解散してからはマザー・カルメルの進言を得て人間との平和的な交流へと移行していき、その有り余る力と豊かな自然を生かし、材木の輸出を手掛けていることが窺える(ただし50年以上前の描写)。
ハラルド王もカルメルの進言をリスペクトしてか、この「改革」を進めていたが、伝統を重んじる村々の長老たちとの交渉や意見の衝突をする内に、エルバフに伝わる伝説の悪魔の実を狙ったロキに殺害されてしまった。
また、この「改革」の意向によって戦士世代もリプリーの代で打ち止めとなっており、その結果、100年経った現在ではエルバフに住む巨人族の子供達の価値観も大きく変化しており、戦いや海に出る事に関しては消極的な考えを持っている。
更に、国内もロキの父王殺害を含めた狼藉を知っている故に即位を許さない状況から、現時点では国王は不在となっている。
しかし、戦士としての誇りを完全に忘れ去った訳ではなく、現在も若い戦士たちが新巨兵海賊団を結成したり、赤髪海賊団が上陸すると快く受け入れて宴会を開くなどしている。
全巨人族がエルバフの出身というわけではなく、エルバフの影響で巨人族全般が闘争心が高いと誤解も受けているらしい。他の巨人族の国出身のハグワール・D・サウロは同じ枠に入れられるのを嫌がっていた。
しかし、巨人族の国同士の繋がりは強固な様で、エルバフで起きたビッグ・マムと英雄ヨルルの一件は瞬く間に全世界の巨人族の国に伝わっている。
信仰
巨人族の戦士たちは皆、戦いの神「エルバフ」を信仰している。その神は常に正しき者に加護を与えて生き残らせると伝えられており、もし巨人族同士が互いに引けぬ争いを始めた場合、どちらかが死ぬまでの決闘が始まり、勝利するまで基本的にエルバフへの帰還はできない。ルフィたちがリトルガーデンで出会ったドリーとブロギーはその決闘の最中だった。
- ただし、武器が修復不可能なほど壊れてしまった事で、素手での肉弾戦に変更しての決闘を続行することを余儀なくされた場合など、第三者からの視点で決着がつかないと判断されれば特例として帰還が許される模様。
同時に太陽の神「ニカ」に関する伝承もあり、その影響か巨人族の戦士たちは世界政府の上層部である五老星に「因縁深き者たち」と称されている。また、中には「太陽神」を自称する巨人族も数人登場している。
他にも「冬至祭」という太陽への感謝を示す行事があり、その際にはセムラを食してから12日間断食し、期間を終えると盛大な祭りを開くという。
謎
リトルガーデンの命名者である探検家、ルイ・アーノートはエルバフにも上陸したことがあるようで、「長居してはならない」という忠告を手記に書き留めている。その詳細は現時点では不明。
主な施設
かつてマザー・カルメルと彼女が受け入れた孤児たちが住んでいた施設。63年前の冬至祭準備期間中に起きた悲劇により他の島に移設され、その後更なる惨劇に見舞われたことにより完全崩壊した。
- 港の酒場
冥界の海岸にある、巨人族にとっては小さな酒場。
本編では赤髪海賊団と巨兵海賊団が宴会をしていた。
- 留置所
冥界の断崖絶壁の地に建てられた、巨人族を拘束するための施設。城のような外観をしている。
通常の人間にとって、部屋の1つが広大な土地に感じられる程の広さとなっており、部屋の持ち主次第では下記のような国が出来上がる。
- ブロックの国
"太陽神"を名乗るある悪趣味な巨人が留置所内の一室に作り上げた世界。麦わらの一味のエルバフでの冒険はここから始まった。
「ビッグステイン城」といった建築物や地面、植物がすべて巨人族サイズのレゴブロックで作られており、天井から綿を吊り下げることで雲がある空を再現している。また、四方をマジックミラーで囲むことで風景が永遠に続くように見せると共に、世界観を崩さないようにしている。あくまで正体は巨人族サイズの部屋であるため、風は一切吹かず天候にも変化は無い。
街には世界の製作者が意図的にエルバフの侵入者に仕立て上げた人間たち「生人形(リヴドール)」が滞在している。また、エルバフの動物も何匹か投入されており、それぞれが神様と呼ばれている(ウサギ=耳神様など)。
鏡の一辺の外側は製作者の部屋となっており、そこは神殿と呼ばれている。ここにも巨大な蛇やカラス、ネズミといった生物たちがいる。生人形になる者たちはここでエルバフの戦士風の装束に着替えさせられる。
- 西の村
巨兵海賊団や新巨兵海賊団の戦士たちが拠点としている村。
- 戦士の泉
陽界にあるビーチのような泉。
宝樹アダムの一部が化石化・風化することで砂浜ができている。
- フクロウの図書館
戦士の泉の畔にある施設。名前の通り部屋の中央に巨大な梟がおり、原理は不明だが、この空間に持ち込んだ本はすべて巨人族サイズに変化する。
現在はハグワール・D・サウロが管理しており、かつてオハラの学者たちが命を懸けて世界に残した文献も現在はここに貯蔵されている。
- セイウチの学校
フクロウの図書館のすぐ隣に位置している、サウロが開校した学校。
サウロの気質や亡きハラルド王の意向もあり、この学校で学んでいる子供達の価値観は、従来の「戦士」達とは大きく変化している。
主要人物
ウォーランド王国出身者
王族
巨兵海賊団
新巨兵海賊団
その他
エルバフ関係者
原作での関わり
- 63年前
シャーロット・リンリンがマザー・カルメルに拾われ、羊の家で他の孤児たちと共に生活していたが、冬至祭準備期間中に食い煩いを発症し、村を半壊させて滝ひげのヨルルを殺害してしまう。世界政府とのパイプがあったカルメルは自身のビジネスを守るために羊の家を他の島に移すことになり、リンリンはヨルルの一件と後に自身の誕生日に起こしたある事件によって巨人族から忌み嫌われる存在となった。
「エッグヘッド事件」前日、ユースタス・キッド率いるキッド海賊団がエルバフの海域に到達。だが、島を目前にして先に上陸していたシャンクス率いる赤髪海賊団とその傘下たち、及びリトルガーデンから帰還していたドリーとブロギーに道を阻まれ、キッドは傘下壊滅の未来を阻止すべく動いたシャンクスによって一撃で意識を沈められる。また、手に入れていたロード歴史の本文の写しをすべて奪われ、ヴィクトリアパンク号も両断されて沈没するといった壊滅的被害を受けた。
- エルバフ編
巨兵海賊団を助けを得てエッグヘッドを出航したモンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味が上陸した。
余談
- 島の元ネタについて
このエルバフについて、元ネタだと思われているものについてだが、何かと北欧に伝わるものが多い。例えばバイキングはおそらく国、もといそこの出身の人々の雰囲気共々元ネタになっているとおもわれる。その他にも…
- エルバフの非常食「ハカール」:名前、素材(サメ、実際のものはニシオンデンザメ)、独特な臭いを放つところまでアイスランドで作られる「ハカール」と全く同じ。
など。なお、実はブロックの国(仮称)の全体的なモデルになっていると思われる、LEGOブロックも元はデンマークで生まれたものであり、ここでも北欧とのつながりを匂わせるものとなっている。
- ついに明かされるその強さ
偉大なる航路突入時期から登場し、しばらく出番のなかったドリーとブロギー。
当時はMr.3の狡猾な罠によって本来の力を出し切れず絶体絶命の危機に追いやられたがルフィ達の船出を邪魔する島喰いを一撃で撃破し、その力を見せつけた。
エッグヘッド編にて再登場した彼らは自分達が崇めていたという神ニカの力を解放したルフィを援護する為に参戦。
ニカの力を解放したルフィでも一筋縄では行かない実力を誇る五老星と渡り合い、古の海賊団としての力を存分に振るい大暴れ。
巨兵海賊団、引いてはエルバフの伝説的な強さを示す結果となった。
- 宝樹アダムとの関係
フランキーが戦争に明け暮れた国で残っていた樹としてアダムの名を挙げている。そして、本編に登場したロキが磔にされている大樹が宝樹アダムではあることが判明したが、フランキーが語っていたその国がエルバフかどうかについては不明。
- 冥界の猛獣たち
ロキが友と称した山の主たちや、ハイルディンが仕留めたヘラジカといった猛獣たちは、「ONEPIECE FILM STRONGWORLD」の冒険の舞台「メルヴィユ」に解き放たれていた動物たちと同じである。
関連タグ
ネフィリム:旧約聖書に登場する巨人種。「エルバハ」なる異称が存在し、おそらくこれが島名の元ネタ。
本編の流れ
エッグヘッド編→エルバフ編→???編