発展途上国・開発途上国とは、先進国の対義語で、開発・発展が遅れている国の事である。
かつては「後進国」と言われていたが、差別的な響きがあるとして1980年代以降に言い換えられた。「後進国」の言葉は比ゆ的に、何かの政策や制度が遅れていることのたとえとしても使われる。ex.英語教育後進国
発展途上国という分類に、なにか厳密な定義があるわけではない。また、発展途上国の中でもすでに先進国に近い状態にまで経済発展が進んでいる国もあれば、何十年も変わらず貧困から抜け出せない国もあるなど、同じ発展途上国というカテゴリの中でも大きな違いが存在している。
国連では発展途上国の中でもさらに開発が遅れている国の事を後発開発途上国と呼んでいる。世界銀行では発展途上国をさらに「低所得国」「下位中所得国」「上位中所得国」の3つに分類している。
経済協力開発機構(OECD)は独自の基準で政府開発援助(ODA)を受け取れる国のリストを発表しており、このリストがそのまま発展途上国とされることが多い。このリストに入る条件は「世界銀行によって「高所得国」以外に分類される国々」または「国連によって後発開発途上国に分類される国々」のいずれかを満たすことである。
20世紀では第3世界とも呼ばれ、日本や韓国や台湾を含めた冷戦構造上の西側諸国を第1世界、ソ連や中国をはじめとする社会主義体制をとる東側諸国を第2世界、そして冷戦構造に影響力を持たず西側、東側の超大国の支援も受けられないまま発展出来ないでいる中央アジア、南アジア、東南アジア、アフリカ、中南米の国々を第3世界と呼び、発展途上国という総称が付けられた。これ以外にもアフリカの最貧国を第4世界などと呼んだりしたこともあったが、これも差別表現として現在は使われていない。
冷戦が終結してソ連が崩壊、東側諸国が次々に独立すると、ソ連やアメリカの超大国によって押さえつけられていた発展途上国は21世紀に入ると新たな経済成長の伸びしろとして注目され、先進国の支援を受けて急速に経済が発展し、発展途上国の中でも高度経済成長を通じて先進国に及ぶほどに発展してきた国が現れた。
これを新たな表現として新興国と呼び、1950年代~1960年代の日本で戦後復興から経済大国にまで発展させた高度経済成長と似た現象が発生していて、大きく経済が成長して国民の生活水準が向上した国を呼んでいる。ただしこれらの新興国は経済基盤は輸出に頼る脆弱なものであったり、先進国から大きな債務を抱えていたりと、決して経済は盤石なものではない国が多い。
発展途上国が先進国のようになれない理由は数多くあり国ごとによって事情が違うが総じて言えるのは貧困が最大の原因で、貧困を根元に様々な問題が発生しては貧困を原因に発展が妨げられて貧困に行きつく貧困の無限ループに陥っている場合がほとんどである。
発展途上国は20世紀半ばまでは欧米列強国の植民地だった国がほとんどである。第二次世界大戦が終結してからはアメリカとイギリスは大西洋憲章に基づき権益としていた植民地を次々に独立を認め、1960年代に入るとヨーロッパはアフリカの国々を独立させた。これは大西洋憲章の約束もあるが、イギリスをはじめヨーロッパは第二次世界大戦での疲弊と冷戦で軍事費が財政を圧迫して国力や政治に余裕が無くなり始めていた時期で何ら利益が無いアフリカの植民地に目を向けている余裕が無くなったという側面もある。
そんな状況で準備も無いまま独立したために、国力や政治体制が充実しないまま大国の圧力が無くなったことによって様々な問題が発生し、政権基盤が出来ていない状況では問題を解決しきれず、反乱が起きて政権が倒されたり、反乱鎮圧のために軍事費が財政を圧迫して本当に必要なことに財政を使えず、更なる貧困を生む悪循環に陥ってしまっている。
特に近代国家が成立していなかったアフリカは顕著であると言えよう。
国家に資源が無く、エネルギーも資材も確保できず輸入に頼らざるを得ない国は発展が難しい。資源が無い国は工業化への道が絶たれており、総じて貧しい農業国から抜け出すことが出来ないジレンマに陥っている。自国で採掘する力は無いが資源が埋蔵しているという国はマシな方で、先進国の資本家が金融支援することと資源の採掘権を取引して外貨を獲得することで発展することが出来ている。主に中近東の産油国や北アフリカ、赤道以南の東南アジアでは資源開発が発展のキッカケになった。
資源が無く貧しい農業国から抜け出せない国は外貨を得るために先進国の需要に基づいた農産品を作る農業にシフトせざるを得ず、ガーナのカカオ、キューバの砂糖、ナイジェリアの椰子と落花生、メキシコのテキーラなど、輸出品の原料になる農産品をプランテーションで効率的に作るモノカルチャー経済で何とか賄っている。しかしこれはプランテーションを運営できる経済力のある者に利益も集中する構造で、発展途上国の中でも地主と小作人という歪な経済構造も生んでいて貧困の根本的解決にならない。
人民が貧困から抜け出そうとして頑張っても、その頑張りが貧困を生んでしまう連鎖が起きている。
貧乏人の子沢山という言葉があるが、なぜ貧乏人が子どもをたくさん持つかというと、貧困によって働く以外は娯楽らしい娯楽が無く、文化的水準も低いことから、要は姓接触に走って望まない妊娠で子供が増えて、子沢山が養育費の増大で貧困を生んでしまうのである。こうして生まれた子供は貧困から学校にも通えずに幼い間から家の労働力として農業を手伝わされたり街に出稼ぎに出されたりと教育水準が低く、そういう労働者は賃金の低いルーチンワークしか務まらないことから収入も低い。収入の低さは貧困に直結し、貧困の世代間連鎖から抜け出すことが出来ない。
この貧困の連鎖から抜け出すには先進国の支援が欠かせず、援助によって建てられた学校で学んで進学して高度な教育を受けて立派な仕事に就いて成功する人もいて、こういった人たちが故郷に帰って教育を支援するなど貧困の再生産の構造から脱しようと様々な努力が行われている。
国土が海に面していない内陸国は地理的に大きなハンディキャップである。
内陸国の場合は海が無いというだけで海上輸送という手段が絶たれていて低コストで大量輸送できる船便が使えず、高コストで大量輸送できない航空機か国家をまたいだ道路整備を必要とする自動車輸送しかなく、この2つは大きなコストに隣国の政情に影響されるリスクもある。
何より海という資源がない。ピンと来ないかもしれないが、国家にとって海は資源である。海によって海産物の収穫や海底資源はもちろん、海があるということで漁場が少なからず存在し、その漁場をりようして外貨を稼ぐ手段として使うことが出来る。意外と知られていないが北朝鮮は中国に漁業権を売ることで貴重な外貨を獲得している。
内陸国と矛盾するかもしれないが、大陸から離れた小さな島国も大きなハンディキャップである。
主に中米のカリブ海、北太平洋、中部太平洋、南太平洋、にある火山島やサンゴ礁の島々のような小さな陸の孤島ともいえる島は発展が極めて難しい。発展することが出来たのはグアム島をはじめとするマリアナ諸島やハワイ諸島、ケイマン諸島、セントヘレナ島など、アメリカやイギリスなど元は欧米列強の植民地となった島々で、これらは現在も海外領土と言う呼び名で欧米列強国の一部となって発展を得ている。
逆に言うとこれらの島々は大海原によって外国との接触を一切絶たれて孤立している状況で、島に何らかの資源でもない限りは大国から相手にされることもなく、島の中で孤立しながら生きていくしかないのである。現に現在のような汽船や航空機が無かったころは太平洋やカリブ海の島々は独自の原始的な文化しかなかった。特に珍しいのがグアム島で、この島では中世までは『盗むのは悪いことではない』という独特の文化を持っており、初めて上陸したヨーロッパ人のマゼラン艦隊は上陸早々に船にある物から来ているものまで片っ端から盗まれてしまい、スペイン人はこの島をラドロネス(ドロボウ)島と名付けたほどである(;´Д`)
掲示板
68 ななしのよっしん
2024/10/09(水) 21:14:51 ID: NS1Esv8c9+
1995年まで冷戦が続いていたと思っているニコニコユーザーに国際政治を語る資格はない
69 ななしのよっしん
2024/10/09(水) 21:23:19 ID: eo3Yx7TA5j
70 ななしのよっしん
2024/11/26(火) 13:20:18 ID: wtdRPKU5Wv
地理的に国家としてまとまれたり発展できるかが先天的に決まってるようなので先進国は先進国のまま、途上国は基本的に途上国のままというのがわかってきたので温暖化で今の地理的条件が変化でもしないとずっと変わらないだろうなと思います
人類発祥の地でありどこの地域よりも歴史があるはずのアフリカがあのザマで出ていった後発の地域のほうが発展してたり
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最終更新:2024/12/23(月) 15:00
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