新小岩駅 単語

新小岩駅とは、東京都葛飾区新小岩にあるJR総武本線の駅であり、グモの聖地である。

概要

1928年（昭和3年）7月10日開業。1926年（大正15年）に開業した新小岩信号所を駅に昇格させたものである。当初は当時の地名から取って「下総小松駅」となる予定であったが、地元の要望により「新小岩駅」となった（後に地名が「新小岩」になる）。
当初は南口しか無かったが、1944年（昭和19年）に北口が開設された。

1956年（昭和31年）、北口駅前に米軍の戦闘機が墜落し、炎上。これにより、多数の日本人が重軽傷を負う事態となった（犠牲者がパイロットだけで済んだのが不幸中の幸いだが）。

1972年（昭和47年）に複々線化され、同時に快速停車駅となる。

人身事故

当駅は人身事故が非常に多い駅として有名である。
事の発端は2011年7月12日。新小岩駅3番線を通過中の特急「成田エクスプレス10号」に女性が飛び込む事故が発生。その女性はキオスクまで跳ね飛ばされてガラスを突き破り、買い物客ら数人が軽傷を負った。

その翌日、再び人身事故が発生。その後も立て続けに人身事故が発生する事態となっている。

なぜ、このようなことが起こるのかと言うと、原因は以下が挙げられる。

• 特急「成田エクスプレス」がホーム脇の線路を120km/hで通過すること。
  
  • 「成田エクスプレス」は当駅ではホーム脇を高速で通過している。これは隣の錦糸町駅も同様であるが、東京駅からのトンネルを出たばかりであり、あまりスピードを出していない。市川駅は通過線を通るため、成田エクスプレス関連の人身事故が起きることはまずない。ちなみに新小岩駅を高速で通過するのは成田空港行であり、4番線での人身事故が多い原因である。
•  事実と異なるイメージの定着
  • 実際には、120km/hという通過速度は在来線として特別速くも珍しくもなく、そのような駅は東京圏においても他にも幾らでもある。にも関わらず新小岩だけが突出して自殺が多いのは、イメージによって「そういうお約束」が定着してしまった事が原因であろう。最初に人身事故で2日連続発生した際に自殺の名所と称して扇動したメディアやSNSにも原因の一端がある。その結果、本来高速通過とは無関係であったはずの4番線以外のホームでまで自殺が発生するようになってしまった。
• 3・4番線はホームが緩やかに湾曲しており、列車からは落ちた人を視認しにくい。
  
  • 中間地点に立つと、先端部分を視認しづらい。結果、駅に差し掛かった時点では線路が見づらく、運転士が落ちた人を確認してから減速したのでは遅すぎる。
• ホームドアが無い。
  
  • ホームドアは最も効果的で、自殺・転落双方の死亡者を一気にほぼ0近くまで減少させるほど顕著に発揮される。背の低いタイプは乗り越えれば自殺できそうにも見えるが、躊躇させる効果もあるのか、実際はそれも0に近い。（完全に0ではないが） しかし、新小岩には設置されていない。
  • ホームドアは単なる動く柵ではなく、車両との連動等、運行システムの再構築が必要でかなり高価。また単に金額だけでなく、JRの古い路線は100年近く前に建設されており、現代の鉄道設備の拡張余地を見込んだ造りではないので、需要の多い総武線で営業を止めずに狭いホームで工事するのは困難を伴う。
  • JRはようやく山手線にホームドアを設置しはじめたばかりであり、新小岩駅にホームドアが設置されるのは相当先になりそうである。現状では駅員による巡回を強化している状態である。
  • その後、JR東日本は山手線以外の駅で初めて、当駅へのホームドア設置を検討していることを表明し、最終的に総武快速線ホームへのホームドア設置が正式決定する。2017年2月にホームドア工事を開始し、南北自由通路が供用開始する2018年度に使用開始予定となっている。
  • が、このホームドア設置の正式決定により、2017年は「駆け込みグモ」と思わしき案件が多発している状況である。

ちなみに新小岩駅がここまで注目・問題視されているのは、単独の駅単位で発生している人身事故としては明らかに突出して多いからである。
総武線は首都圏の大動脈の一つなのでダイヤへの影響も多大。特に航空機の出発時刻に関わる「成田エクスプレス」のダイヤ乱れは致命的で、自殺が頻発していた時期はライバルの京成スカイライナーに需要が流出するなど、経営面にも影響を与えている。

対策として警備員による巡回、ホームの屋根や照明の一部に青系の色の導入（青系は心を落ち着かせると言われている）やヒーリング音楽放送（現在は終了）、コンコースにイルカや風景などのヒーリング映像を流すモニターの設置、自殺防止広告や「いのちの電話」のポスターの貼付、非常停止ボタンのシミュレーターの設置、通過列車が通過中にロープの設置、などしているが、いずれも間接的な効果しかない苦肉の策でしかなく、人身事故は依然として発生しており、ホームドア設置など抜本的対策の早急な実現が求められている。

一覧

下線を引いている列車は新小岩駅を通過する列車である。なお、新小岩駅自体での人身事故は2011年7月12日より前にも発生してはいるのだが、その当時は他の駅と発生件数がほぼ同じであり、対策が要望されていた訳でもないため、当記事では省略とする。

• 2011年
  • 7月12日 「成田エクスプレス10号」　※3番線
  • 7月13日 「成田エクスプレス27号」　※4番線
  • 7月25日 「成田エクスプレス49号」　※4番線
  • 8月25日 「成田エクスプレス13号」　※4番線
  • 9月18日 「成田エクスプレス21号」　※4番線
  • 10月4日 千葉発久里浜行快速 ※新小岩駅から500m離れた線路内
  • 12月5日 久里浜発君津行快速 ※4番線
  • 12月22日 三鷹発千葉行各駅停車 ※2番線
• 2012年
  • 1月18日 三鷹発千葉行各駅停車 ※2番線
  • 3月22日 「あやめ1号」 ※4番線
  • 5月4日 「成田エクスプレス8号」 ※3番線
  • 5月12日 「成田エクスプレス53号」 ※4番線
• 2013年
  • 2月7日 「しおさい9号」 ※4番線
  • 6月27日 「成田エクスプレス33号」 ※4番線
  • 8月19日 「成田エクスプレス30号」 ※3番線
  • 10月8日 「成田エクスプレス29号」 ※4番線
  • 10月25日 「しおさい13号」 ※4番線^[1]
  • 11月2日 千葉発三鷹行各駅停車 ※1番線
• 2014年
  • 6月1日 「成田エクスプレス36号」 ※3番線
  • 7月30日 東京発成田行通勤快速 ※4番線
  • 8月30日 「しおさい15号」 ※4番線
  • 9月6日 新宿発幕張車両センター行回送 ※4番線
  • 10月21日 「あやめ1号」 ※4番線
• 2015年
  
  • 3月18日 千葉発御茶ノ水行各駅停車 ※1番線
  • 4月14日 「成田エクスプレス23号」 ※4番線
  • 4月19日 「成田エクスプレス21号」 ※4番線
  • 5月6日 「成田エクスプレス49号」 ※4番線
  • 8月26日 津田沼発中野行各駅停車 ※1番線
  • 12月25日 「成田エクスプレス21号」 ※4番線
• 2016年
  • 2月17日 「しおさい6号」 ※3番線
  • 3月27日 「成田エクスプレス53号」 ※4番線
  • 7月11日 「成田エクスプレス33号」 ※4番線^[2]
  • 7月29日 「成田エクスプレス35号」 ※4番線^[3]
  • 10月7日 千葉発中野行各駅停車 ※1番線^[4]
  • 12月17日 「成田エクスプレス2号」 ※3番線
• 2017年
  • 1月18日 「成田エクスプレス41号」 ※4番線
  • 1月21日 「しおさい11号」 ※4番線
  • 1月30日 「成田エクスプレス31号」 ※4番線
  • 3月20日 東京発千葉行快速 ※4番線
  • 3月21日 「成田エクスプレス45号」 ※4番線
  • 5月13日  東京発幕張車両センター行回送 ※4番線
  • 9月14日^[5] 御茶ノ水発千葉行各駅停車 ※2番線
• 2018年
  • 1月21日 「成田エクスプレス38号」 ※3番線
  • 1月31日 成田空港発久里浜行快速 ※3番線
  • 8月17日 「成田エクスプレス47号」 ※4番線
  • 10月4日 中野発千葉行各駅停車 ※2番線
• 2019年～2021年
  • 発生せず
• 2022年
  • 3月4日 津田沼発三鷹行各駅停車 ※1番線

ホームドア稼働開始とその後

当初の予定より遅れたが、2018年12月8日より快速ホームのホームドアが稼働を開始した。しかしながら、過去の悪評より「低いホームドアでは乗り越えて飛び込む人がいるに決まっている（＝地下鉄南北線のような全体を覆うホームドアでないと無意味）」「各駅停車ホーム側で人身事故が増えるだろう」などと、否定的な意見も少なくなかった。

その後、新小岩駅では快速線で人身事故は一件も発生しなくなった。これはホームドアが、ともすれば「自殺の名所」とまで言われた新小岩駅でもここまでの（物理的、心理的含めた）効果を発揮した例と言えるだろう。

もちろん、新小岩駅だけで事故が起こらなければよいというわけではない。総武線含め、JR、私鉄共に各地で人身事故は今も度々発生している。ただ、この効果をバネにその他の駅でのホームドア設置などの対策がより進むことが期待されるのは確かだろう。

隣の駅

• 快速
  
  • 錦糸町駅 - 新小岩駅 - 市川駅
• 各駅停車
  
  • 平井駅 - 新小岩駅 - 小岩駅

関連動画

関連項目

• JR東日本
• 総武本線
• 総武快速線
• 中央・総武線各駅停車
• 駅名一覧（関東地方）
• グモッチュイーン

外部リンク

• JR新小岩「死を誘う危険な駅」の秘密　2ヵ月あまりで5人が成田エクスプレスに飛び込み！ 　他社との時短競争に湾曲ホーム･･･　魔の空間の謎に迫る | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]

脚注

1. *東京都大田区で発生した殺人事件の犯人が飛び降り自殺した案件。
2. *なんJ民と思わしき人物が2ちゃんねるならびにTwitterで自殺予告。
3. *当該列車はその後運転再開し、成田空港駅で前後編成の行き先を逆にして折り返し「成田エクスプレス40号」となる（本来は大船行きが前、大宮行きが後ろだが、貫通扉の修復のため行き先を逆にした）。しかし、指令ミスで大宮行きの前編成が誤って目黒川信号所（大崎駅構内）で横浜方面に入ってしまうトラブルが発生した（乗客は武蔵小杉駅で湘南新宿ラインに乗り換え）。
4. *前日になんでも実況Jで自殺予告。
5. *実際は9月13日終電間際である。