Ryzen (ライゼン)とは、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)が販売しているCPUである。
概要
新たに開発された「Zen」(ゼン)マイクロアーキテクチャを採用したCPUで、2017年から市場に投入されている。
CPUソケットは「Socket AM4」となり、FX(SocketAM3+)やAPU(SocketFM2+)と全く互換性が無いものの、アーキテクチャの大幅刷新だけでなく、プロセスルールの大幅な微細化(28nm→14nm)によるIPCの向上、省電力化に成功した。※Ryzen 7000よりSocket AM5に変更。
また、これまでのシリーズにはなかった「サイマルテイニアス・マルチスレッディング」(Simultaneous Multi-Threading、通称SMT)を搭載・サポートしたことにより、理論スレッド処理が可能になったとされる。Intelでいうところの「ハイパースレッディング・テクノロジー」(Hyper Threadding Technology 通称HTT)と同様の技術である。
製品バリエーション
製品名 コードネーム |
グレード | 競合製品 |
---|---|---|
Ryzen 3 | エントリー | Core i3 |
Ryzen 5 | ミドルレンジ | Core i5 |
Ryzen 7 Ryzen 9 |
ハイエンド | Core i7 |
Ryzen ThreadRipper | ハイエンドデスクトップ (HEDT) |
Core X (Core i9) |
Ryzen PRO | ビジネス / OEM |
歴史
AMDは2011年に、Bulldozerアーキテクチャーに基づいた「AMD FX」プロセッサーを市場に投入したが、AMD FXは製品投入前から色々とあやぶまれており、投入後は予想された通りAMDのシェアを激減させてしまったこともあって、翌年の2012年に、AMDは次世代コア(=Zenコア)の開発を開始した。一般論として新アーキテクチャーのプロセッサーの設計・製造は4~5年かかるので、AMDはBulldozerの派生型を出してしのぎつつ、並行してZenコアの開発を進めることになった。[1]
AMD FXは「Bulldozer」マイクロアーキテクチャの致命的弱点である消費電力の増大と発熱の問題により、競合他社のIntelに大差で負け、また、APUにおいてもCPU性能はIntelに大敗しているという踏んだり蹴ったりな状況であったが、2017年3月に、AMDはZenコアを使う「Ryzen 7」(8コア16スレッド)を市場に投入した。
4月中旬にはミドルレンジ向けであるRyzen 5(4コア8スレッドもしくは6コア12スレッド)、日本時間の7月27日にはエントリー向けであるRyzen 3(4コア4スレッド)も登場。翌年2月には内蔵グラフィック付きであるRaven Ridge(Ryzen 3 2200GとRyzen 5 2400G)、プロセスルールが少し微細化された(14nm→12nm)第二世代Ryzen(こちらには内蔵グラフィックは付いていない)、おそらく一般向けでは世界初であろう20万円台での32コア64スレッド、第二世代Threadripperが2018年8月13日に発売。
さらにAMDは、2018年9月28日にCeleron・Pentiumと競合するAthlonシリーズ名を冠した「Athlon 200GE」を投入した。もうこれ確実にIntel殺しに来てますわ。
Athlon 200GEは2コア4スレッドで内蔵グラフィックも有しているが画面出力は2モニターまでなのでマザーボードに3つ画面出力ポートがあっても使えない出力先があるので注意が必要。
2018/11/7(日本時間)に開催されたイベントNext HorizonにてAMDは「ZEN2」マイクロアーキテクチャを採用する第二世代EPYC(開発コードネーム:Rome)を発表。64コア128スレッド対応ともう狂ったとしか思えない(誉め言葉)スペックとなっている。
そして2019年7月に第三世代となる3000番台と最上位モデルのRyzen 9を発売。12コアCPU(3900X)を5万円台という破格の価格で販売し、2019年9月発売の最上位CPUであるRyzen 9 3950Xは16C32Tというスペックを7万円台で販売するという、競合他社も真っ青な価格破壊をやってのけ、日本国内のCPU市場(単体販売)でAMDは6割にまで躍進した。
- Ryzen 4000シリーズ - 2020年8月より発売。
- Ryzen 5000シリーズ - ZEN 3アーキテクチャ採用。2020年11月より発売。
- Ryzen 6000シリーズ - ノートPC向けAPUで、Zen 3+アーキテクチャを採用。これを採用したノートPCは2022年4月に登場している。
- Ryzen 7000シリーズ - 2022年9月に販売が開始された。マイクロアーキテクチャは最新の「Zen 4」を採用、CPUソケットもこれまでのSocket AM4から新型の「Socket AM5」に変更されている。
- Ryzen Z1 - ポータブルゲーム機向け。Zen 4アーキテクチャのCPUと、RDNA 3アーキテクチャのGPUを組み合わせている。
関連動画
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関連リンク
関連項目
脚注
- *Ryzen5周年記念企画 Ryzen誕生から5年の歩みを振り返る 2021.11.15
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- なし