Brotherhood of Steelとは、ゲーム「Fallout」シリーズに登場する組織の名前である。
「Fallout: BOS」においては「鋼鉄の同志」とも訳されている。
概要
ベセスダ・ソフトワークスのRPGゲーム「Fallout」シリーズに登場する軍事組織。ベセスダ以前にこのゲームの権利を保有していたInterplayの旧シリーズ作品にも登場しており、何気にシリーズを通して皆勤賞の組織である。複数の作品にまたがって様々な形でプレイヤーと関わりを持っている。
合衆国陸軍に所属していたロジャー・マクソンによって、核戦争(Great War)の直前に創設された組織で、ウェイストランドと化したアメリカ各地で戦前に存在していた技術の情報や現物の収集・管理・保管を行っている。「技術や知識が悪用されないよう管理する」という思想のもとに行っており、ジェダイのような半宗教的な面もある。
なお、アメリカ合衆国からの脱退を表明して創設された組織ではあるが、文明が崩壊した後の世界においても組織体制は維持され、依然として統率された軍事力は保有しており、実質的に軍隊そのものである。
大きく分けると、サンフランシスコ、ロサンゼルスのあるカリフォルニア州を本拠とする「西海岸BOS」、ワシントンDCを本拠とする「東海岸BOS」の二つがあるが、外伝などでは中西部あたりで活動しているBOSの存在もある。東海岸BOSは西海岸BOSから遠征で派遣されてきた組織であるため、西海岸のほうが総本部という扱いになっている。
組織の歴史
組織の創設はアメリカ合衆国軍の部隊を源流としており、2076年に当時大尉(Captain)だったロジャー・マクソンが、カリフォルニアの政府系研究施設ウェストテックにおける進展の把握と監督指揮を行う旨の命令を、上司のロバート・スピンデル大佐(Colonel)から拝命したことに始まる。ロジャー・マクソンは、大佐からの命令に基づき、ウェストテックに対して新しい施設があるマリポーサ軍事基地への移動を命じ、ウェストテックの人員や研究を移動させてそこで研究を続けさせた。
しかし2077年10月、ウェストテックの科学者らが、彼らの研究の産物である強制進化ウイルス(通称FEV)を実験するために、軍で収監していた人間を実験台に使用していたという非人道的な事実が露見する。これが発覚するやマリポーサ基地内では急速に士気が下がり出し、精神的にもろくなったスピンデル大佐は自殺した。大佐の自殺によってリーダーがいなくなったため混乱に陥った基地内において、自身の部隊の部下たちに求められる形で、ロジャー・マクソンが上官に代わり基地に残された兵士たちを率いることとなる。
基地を掌握したマクソンはウェストテック研究チームの科学者に尋問を行い、実験やその内容、どのような事を引き起こしたかを聞き出したのちにチームを処刑した。その後ラジオを通して合衆国からの脱退を宣言した。しかし合衆国は中国との戦争にともなう混乱に追われていたため、脱退宣言に対する反応は全くなかった。
10月23日に核戦争(Great War)が起きる。マクソンは、マリポーサ基地が核戦争を生き延びると、偵察を出して外の放射線やFEVのレベルを調べさせて害が少ないことを確認し、マリポーサ基地を閉鎖したうえで全員で外に出て行軍をおこなう(この出来事は後に「脱出」と呼ばれている)。外で生存していた者たちからの襲撃などをふりきり、数週間の放浪後にロスト・ヒルズにあるバンカーにたどり着くと、そこを新たな本拠地とした。
現在でもロスト・ヒルズのバンカーは各地にあるBOSすべての総本部となっている。
組織・階級
訓練生 | |
専門職 | |
管理職 |
西海岸BOSと東海岸BOSとでは、どちらも武官(Army)と文官(Civillian)はいるが、役職や階級に違いがある。東海岸では西海岸よりも役職数や幅が広く、カテゴリ分けも異なっており、のちに航空機器を司る部門「ランサー」という職も誕生した。
基本的にすべての者はイニシエイト(訓練生)から階級が始まっており、ある程度の業績や実力が認められた時点でアプレンティス(見習い)に昇格できる。なお、東海岸ではイニシエイトに登用する程度ならエルダーでなくともパラディンの権限でも可能なようだ。
組織の大部分はBOSメンバー同士による家族とその子孫から構成されているため、Falloutシリーズの主人公のような部外者をメンバーとして入れるのは稀なケースである[1]。そのため、両親がBOSメンバーという子供も多く、彼らはイニシエイトの前の段階であるスクワイア(従者)のころからBOSの思想信条を叩きこまれている。しかし、メンバーで在り続けることは自由意志の範囲であるため、BOSを抜けて商人になるのもいればレイダーに身を落とすのもいる。
スクワイア、イニシエイト、アプレンティスなど訓練生クラスの扱いも作品によって違う。全ての者が一度どこにも属さないイニシエイトから始まって後に専門分野を選んで入るという「総合型イニシエイト体制」になっているところと、最初から各役職にイニシエイトがあってそれぞれの専門分野で学び続けるという「各部門イニシエイト体制」になっているようである。
西海岸BOS | ||
スクワイア | ||
イニシエイト | ||
ソルジャー |
スクライブ |
パラディン |
東海岸BOS | ||
ソルジャー |
スクライブ |
ランサー |
- ■スクライブ
- BOSの研究員・文官にあたる役職。地図・書類・計画の策定や作成、持ち帰られたテクノロジーの解析・保管、装備や道具の整備・補給、現地調査など戦闘以外のものごと全般を司る。簡単にいえば裏方仕事だが、ナイトたちのパワーアーマーのメンテナンスや装備の補充・整備などソルジャーが戦うための支度を行ってくれているため、縁の下の力持ちでもある。
- なおスクライブにも拠点に残って研究を行う「サイエンススクライブ」と、ナイトら調査隊に混じって調査やテクノロジーの回収を行う「フィールド・スクライブ」がおり、後者は外を歩くため普通に戦闘を行う。
- ■ナイト
- BOSの戦闘員・武官にあたる役職。パラディンの扱いがシリーズ作品で微妙に変わるのに対してこちらは戦闘系の役職としてぶれていない。BOSの敵となるものを倒すための戦闘訓練を受けており、パワーアーマーを装備している。武器は軽いものではレーザーライフル、重いものではガトリングやミニガンなど担いでくる。
- ■パラディン
- ソルジャー系の役職。西海岸では、セキュリティ全般および外部活動を担当する扱いとなっており、東海岸ではソルジャー系の役職の延長上でナイトの上級職となっている。なお、スターパラディン、パラディンコマンダーなどの職もある。
- ■ランサー
- ソルジャーやスクライブたちを派遣するベルチバードの操縦や、大型飛行船プリドゥエンの操縦・管理を行う。「Fallout3」でのエンクレイヴ壊滅によりエンクレイヴが保有していたベルチバードを接収・管理したことで誕生した。
- ■エルダー
- 各支部の支部長となる指揮官の役職であり、パラディン、もしくはセンチネルより昇格する。ただし掟を破ったことで降格処分になったエルダーなどもいる。また、西部ロスト・ヒルズにあるBOS総本部では、複数のエルダーが集まる評議会があり、ハイエルダーの指揮のもとで議論を行うことになっている。
- ■ハイエルダー
- エルダーの上級職であり、B.O.S.の総司令官の役職である。伝統的に創立者であるマクソン一族から就任することになっている。
各作品において
Fallout
2161年の西海岸カリフォルニア南部を舞台とする第一作では、後に総本部として扱われるロスト・ヒルズ・バンカーが登場する。当時のハイエルダーは、創設者ロジャー・マクソンの孫にあたるジョン・マクソン。
この頃から既に秘密主義的な思想の下に活動しており、バンカー内部への立ち入りを許されていたのは交易関係にあるザ・ハブのキャラバン隊のみであった。組織への参入を志す者に対しては「バンカーから南東にあるウェストテック研究所から戦前の高度な技術を回収する」という任務(通称グロー・クエスト)を課しているが、その危険度の高さから、もっぱら厄介払いという意味合いが強い。
本編開始以前に、北西の荒野[2]においてスーパーミュータントの死体を回収しており、その生態的特徴の解析に成功している。しかし、スーパーミュータントの不妊性という欠陥と硬直的なエルダーたちが理由で、積極的な排除活動には至っていない。
Fallout2
前作から80年後にあたる2241年のカリフォルニア中部以北が舞台。後述の理由により、ナンバリングタイトルの中では露出度が最も小さい。
ウェイストランドへと進出したエンクレイヴを危険視しており、その正体と目的を探るべく、ザ・デン、新カリフォルニア共和国首都、サンフランシスコにバンカーを建て、情報収集を行っている。とはいえ、エンクレイヴに技術力で劣っていることを自覚しているため、彼らに発見されることを恐れ、各地のバンカーはかなり小さく、エージェントもごく少数しかいない。
こうした背景もあってメインクエストに大きく絡むことはなく、サブクエストとしてサンフランシスコのエージェントが主人公に北東のナヴァロ前哨基地への潜入任務を依頼するのみに止まっているなど、シリーズの中では最も冷遇されている。
Fallout Tactics: Brotherhood of Steel
表記としては「Fallout:Tactics」とも。スピンアウト作品に含まれるため、正史として扱うべきかは不明。[3]
スーパーミュータントの脅威に晒されている地域を見つけ出すために派遣された勢力の一部。飛行船(初代プリドゥエン?)を建造して空を移動していた。
しかし山脈を超えるあたりで自然災害により飛行船が大破し複数のリーダーが行方不明に。やむなく、かつてシカゴ(Chicago)と呼ばれた地に不時着した。本家からは距離が離れている上にそこの現地住民との交流と協力が進んだことで思想も離れてきたため、新たな勢力として独自のBrotherhood of Steelを立ち上げている。[4]
また、敵対勢力への見せしめとして、倒した相手の首を切り落とし残った体を張り付けにして領地外のレイダー達に見えるよう晒している。生け捕りにされた場合は死ぬ方がマシと思える強制労働をさせられるとのこと。そのためレイダーたちからは恐怖の対象となっている。
Fallout: Brotherhood of Steel
「Fallout3」から70年前の2208年のテキサスおよびロサンゼルスが舞台。スピンアウト作品に含まれるため、正史として扱うべきかは不明。
行方不明になっているBOSの仲間を捜索するためテキサスに来ている。仲間がロサンゼルスにいることを知ったためカルト教団やスーパーミュータント軍による支配が続くロサンゼルスに向かう。
ゲームとしてのチュートリアルを兼ねたBOSの訓練所がある。主人公には、グールでありながらBOSに入ったケイン(Cain)というメンバーが登場している。なお、BOSメンバーの中には街で娼婦のもとに通い続けたあげく病気をもらってしまった者もいるようである。[5]
Fallout 3
ゲームの権利がInterplayからベセスダ・ソフトワークスに移行されてから初の作品。この作品ではシリーズ初となる東海岸を舞台としている。
Fallout2より30年後の2277年、東海岸にあるキャピタル・ウェイストランド(旧ワシントンDC)が舞台となっている。西の方から遠征してきた東海岸BOSとして登場。要塞と呼ばれる旧・国防総省(ペンタゴン)跡地を拠点として活動している。指揮官はエルダー・リオンズ(オーウェン・リオンズ)。
当初は東海岸の技術を収集・管理することを目的としていたが、現地住民がレイダーやスーパーミュータントなどに蹂躙されている現状を目の当たりにし、人命救助や治安回復を中心に行う方針へと転換した。
しかしBOS本来の目的からは大幅に外れており、これに異を唱えた多くのBOS兵士が離脱しアウトキャストという独自組織を結成する結果を招いた。加えて組織の資産を浪費して慈善活動をしているせいで本家である西海岸BOSからの支援や交流も打ち切られたため、不足した戦力を補うため現地での人員募集を行っている。
しかし、軍としての総本部だったペンタゴンの接収、巨大ロボット「リバティ・プライム」の確保・復活、敵対組織だったエンクレイヴ残党の壊滅など確たる実績も上げており、決して無能なお人好しというわけではない。
Fallout: New Vegas
舞台は西海岸に戻り、ネバダ州近辺が中心になっている。指揮官はエルダー・マクナマラ(ノーラン・マクナマラ)。
「NV」本編が始まる数年前にBOSと大陸の西部を統括する新カリフォルニア共和国(NCR)との間で戦争が勃発、モハビ・ウェイストランドでも交戦状態に突入する。開戦当初は戦前の集光型太陽熱発電施設であるヘリオス1を基地としていたが、スクライブから昇進した異端のエルダー・エリヤ(当時)がヘリオス1に隠されたとある機能に固執した為に籠城戦を選択。技術力で勝るBOSといえども、やがてNCRの圧倒的物量の前に劣勢となり、多数の戦死者を出し、エルダー・エリヤ自身も行方不明となる。これを受けて、当時ナイトであったマクナマラが残存部隊を率いてヘリオス1から撤退、ヒドゥンバレーにバンカーを築き上げる事となった。
「NV」の時点では、エルダーに昇格したマクナマラがNCRに発見されるのを恐れてロックダウンを発令しており、ほとんどの構成員はバンカーに潜って訓練や既に収集した技術の保守管理に明け暮れる生活を続けている。例外として物資調達や偵察、実地訓練で地表に出る事もあるが、地表のキャラバンにはNCRの息のかかっている者もいるため、細心の注意を払ってBOSとしての素性を隠して活動せざるを得なくなっている。
こうした組織の理念である戦前の技術の収集も満足に行えない厳しい状況が続いている中で、地表ではNCRやシーザー・リージョン、ハウスといった三大勢力が台頭しており、既に勢力としてはモハビ・ウェイストランドの趨勢に大きな影響力を持たない程までに衰退してしまっている。
Fallout 4
「Fallout3」から10年が経過した2287年の連邦(マサチューセッツ州ボストン)が舞台となっている。人造人間(Synth)を製造している連邦の組織インスティチュート(Institute)を技術を悪用する者たちとして危険視し破壊するため、キャピタル・ウェイストランドから遠征してきた。指揮官はエルダー・マクソン(アーサー・マクソン)。
当時のエルダーだったオーウェン・リオンズは死亡、後を継いだ娘のサラも戦死しており、その後は何人ものリーダーが短期間に入れ替わる状態で一時は組織が路頭に迷いかけたが、従者時代から大幅な成長をとげ頭角を現したアーサー・マクソンがエルダーに着任すると、これまでのリオンズが定めていた方針を転換しBOS本来の方針である「技術情報の収集と管理」に回帰した。また、方針が元に戻ったことで、分派していたアウトキャストとは合流・再統合を果たし、西海岸BOSとのつながりも復活した模様。
過去作で倒したエンクレイヴのベルチバード(Vertibird)をはじめとする様々なテクノロジーを接収したことで、T-45パワーアーマーより優れたT-60パワーアーマーを集団的に整備・運用できるだけの資源や技術力を持っている。また、マクソンにより厳しい規律が敷かれたため、軍事力および統率力が大幅に向上した強大な軍事組織へと成長している。
キャピタルでは、ベルチバードの空母としての役割や兵員の輸送も行える大型飛行船プリドゥエン(The Prydwen)を建造しており、連邦に持ってきている。[6]
なお、初代ハイエルダーだったロジャー・マクソンは脱退時の声明として「アメリカ合衆国軍(USAF)本部からの正式な処分や命令がない限りは抜けさせてもらう」という旨の通告を行っていたらしく、リオンズBOSが総本部の西海岸BOSとケンカ別れしている状態で合衆国軍総本部であるペンタゴンを接収したことで、プレイヤーたちからは「立場逆転」「下克上が来るのでは」といった見方もされていたが、「4」では普通に交流再開しているため、杞憂に終わったようである。
Fallout 76
舞台は引き続き東海岸で、シリーズでは現在最も古い西暦2102年(最終戦争からわずか25年)のアパラチア地域(ウェストバージニア州一帯)が舞台となっている。
西海岸BOSは『Fallout3』時代に遠征で東に来たと言われるが、実際は東海岸の方にもBOSがいたらしい。当時のリーダーは、BOS創設者ロジャー・マクソンの部下の一人だったパラディン・タガーディ(エリザベス・タガーディ) → のちにパラディン・ラフマーニ(レイラ・ラフマーニ)。
当時まだ形を留めていた病院や発電所を拠点とし、現地人たちの各組織と協力していたが、アパラチアの敵たちとの続く戦いに疲弊していき、さらには現地組織との関係も悪化。一発逆転を狙った作戦も失敗したことで主要戦力を喪失。2095年に最後の砦が陥落し組織が壊滅・崩壊したとされる。
その後、西海岸の側からやってきた遠征チームが到着したことによりアパラチアBOSが再興したが……。[7]
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関連項目
- Falloutシリーズ
- 軍隊 / 軍事組織
脚注
- *逆に東海岸BOSでは、西海岸BOSからの援軍や助力を得られないことから、人員不足を補うため現地の人員を募集して登用している。そのため、BOSの子孫以外のメンバーが多い。
- *かつて組織を立ち上げたマリポーサ軍事基地がある方向だが、その歴史は忘れ去られようとしており、ハイエルダーたるジョン・マクソンでさえも覚えていなかった。
- *ただ、正史作品(FO3、FO4)などでも飛行船を建造して旅立ったBOSがいることや中西部あたりにBOSがいるらしいことは言及されているため、正史として扱われている可能性はある。
- *ちなみに、失われた戦力の不足を補うため、人間・グールだけでなく、言葉を話すデスクローやスーパーミュータント、果ては犬まで新兵として採用しているとか。
- *ゲーム主人公のこと。街にいる娼婦のルビー(Ruby)はキャップを払うとサービスを受けられるが、何回も遊んでいると主人公は病気になってしまう。
- *ちなみにランサー・キャプテン・ケルズによると、設計だけで2年、実際の建造では倍の4年かかったらしい。
- *Fallout 76: Steel Dawn – 「ラフマーニ、シン、バルデス」公開トレーラー - YouTube
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