自社内にパフォーマンスが高い人材が見つかった。しかし会社自体の業績は芳しくない。なぜだろうか。最も優秀な人材を採用するだけでは不十分なのだ。労働生産性を高めたいならば、効果的に配置する必要がある。

 

 自社の人材を評価し、パフォーマンスが高い経営陣や従業員が多数見つかったとしよう。しかし会社の業績は決して芳しくない。A評価の人材が相応の仕事をできていないのだ。なぜだろうか。

 最も優秀な人材を採用するだけでは不十分なのだ。労働生産性を高めたいならば、効果的に配置する必要がある。彼らが能力を発揮し、結果を出せるように配置するのだ。その一つの方法が、オールスターチームの組成だ。このようなチームには乗数効果が働く。3人のA評価従業員をチームにすると、3倍以上のアウトプットを出すことができるのだ。

 パフォーマンスが高いチームには必ず、突出した結果を生む理由が存在する。例えば、90年代に当時GAPのCEOだったミッキー・ドレクスラーは、現在シャネルでCEOを務めるモーリーン・チキットや、スマイソンで後にCEOを務めたアンディー・ヤノウスキーを含むA評価の商品担当者とデザイナーだけでチームを組成し、GAPの事業を再生させた。彼らは商品や店舗を一新、当時のどのリテールブランドよりも急速に成長するまでに導いた。

 最近の例では、起業家イーロン・マスクによって設立された宇宙衛星事業を営むスペースXが、3億ドル強でファルコン9の開発・打上げを実現した。NASAの分析によると、通常の宇宙開発事業会社であれば、同じ成果をだすのに14億ドル程度の投資が必要となるそうだ。NASAによれば、一つの大きな違いはスペースXで業務にあたっていたのが類稀なる優秀な人材ばかりだったという点だ。スペースXのエンジニアは、NASAで彼らと協働していた人たちよりもおそらく長時間働いてきた。しかしより重要なのは、スペースXのパフォーマンスが高いデザインチームが非常に効率的に働き、生産性も高く、NASAがそれまでかけてきた投資のほんの一部にしか値しない投資でもって、ロケットを開発し打ち上げに導いたことである。

 多くの企業は組織構造が障害となって、人材の乗数効果メリットをうまく活用できていない。そこで、こういった社内の障壁を超えるための3つの鉄則を紹介する。