こんにちは。この記事は freee Developers Advent Calendar 2025 12/09(9日目) の記事です。
今日は請求書チームでエンジニアをしているkochanが書きます。
夏に企画した 真夏の自由研究〜AIを使って雑にアプリを作ろう!〜 - freee Developers Hub の振り返り記事を書こうと思っていたらいつの間にか年末になっていたので、これを機に供養させていただければと思います。
「 真夏の自由研究〜AIを使って雑にアプリを作ろう!」の企画では10日間に渡ってAIを利用して雑なアプリを作らせた経験を連載記事にしました。 この記事ではそんな雑アプリを作ったメンバーで企画の振り返りを行いAIで雑アプリを作ることと実務にどんな違いがあるかを考えた様子をお届けします
振り返り会
先日はAI雑アプリアドベントカレンダーへのご参加ありがとうございました。
ありがとうございました〜。
対話形式珍しいね。
振り返り会のゆるい雰囲気が伝われば良いなと思いまして。
AIで雑アプリを作るのと本番では何が違う?
早速ですが、AIを使って0から簡単なアプリを作るのと実務にAIを活用するのとでスピードや容易さが全然違ったのはなんでだと思います?
雑アプリの場合には守らせたいコンテキストがほぼなかったから楽だったんですかね?
コードベースのコンテキストがどれだけ複雑・巨大なのかは関わっていそうですね。
コードがないところに作るのが一番シンプル。既存のコード自体が制約だよねって話だね。
後は雑アプリの場合、ロジックの正しさに責任を取らなくていいので、レビューとかは「なんか良さげ」レベルでどんどんマージしていけたのは大きいですね。
レビューの観点確かに、雑アプリだったらほぼ読まないよな。
わかる。雑アプリの場合はビジネスロジックが無いから大部分をAIに生成してもらえるという感覚があった。業務ではモデル設計を新規も更新でも議論しつつ進めている。
僕の場合、業務の場合にはAIにタスクを投げる前に実装が頭の中で完成していることが多くて、頭の中の実装をコードに書き起こす作業をAIを使って効率的にやるイメージですね。
わかる、受け入れ条件とか変更ファイル、修正内容などを与えて出力をコントロールしますね。
雑アプリ作る時にはコードは想像はついてないけど、こういう機能が欲しいという感じで実装を依頼している
ガチャだね。
どっちのほうがいいんでしょうね?
一長一短じゃないかな、ガチャの方が人間の消費するコンテキストは小さいけどコントロールはできない。人間が考える部分の抽象度が違う。
周りからの期待と実際みたいなとこ
世の中から「なんかすごいのが、爆速にできるんでしょ」と思われている感じがすることに立ち向かいたい。
わかる。
うまくいった事例だけが一人歩きして誤解を生んでしまう部分もありそうですね。マーケ目的と現実みたいなのを切り分けできるようにしたい。
AIに全部任せると爆速でできて爆速で腐るよな。
カッコいいAIの話はもう世の中にありふれているから、カッコ悪いAIの話を増やして幻想を打ち砕いていきたい。
コンテキスト分割の話
コンテキストが一定を超えると急に出力の精度劣化しない?
ワンショットで多くの実装をしたとき、後半が辛いですね。見た目だけ作ったり、中のロジックがスカスカだったりします。
そうですよね。分割できるタスクは細かくセッションを分けた方が精度が上がりますね。コミット叩くくらいの単位でセッションを区切るのが良い気がする。
これはある。いくら賢くなってきてもコンテキストは少なければ、少ないほど良い精度の出力が出る。
一方で、一回のセッションを細かくしてやりとり回数が増えると、タスク全体での再現性が落ちますね。
結局どれだけLLMの得意な土俵で戦わせるかが大事。
名言出ましたね。
業務用の使い捨てのツールを作るのには向いている
雑アプリと同じような感じで、爆速で使い捨てできる便利ツールを作って職種横断で使う路線に可能性を見出している。
Imagine with Claude みたいな。
この前MCPの実験用クライアントをRubyで作らせたわ。
テスト用のデータ投入するタスク書かせたりとか、業務の脇道のちょっとしたタスクはかなり高速化できますね。
脇道なんだよなぁ。
CodingAgentが出てきたことで、むしろ仕事が大変になっていない?
AIの登場によってエンジニアの業務の負荷上がったよね。
設計が完成したコードを書いていく作業とか、あんまり頭使わなくていい部分がAIで高速化できるようになった分、設計とかの頭を使う業務の比率が増えましたね。
エンジニアリングの本質はコーディングではないみたいな話だ。
仕事の負荷は上がったのに、周囲からは「エンジニアはコーディングエージェントに仕事を任せて楽でいいな」と思われていそうですよね。
誤解されないようにちゃんと主張していかないとね。
脳に直接コード繋ぎたい
議論の最終盤、僕たちはある一つの結論、というか究極の願望にたどり着いた。
もはやキーボードで何か入力したり、文章読むのが面倒なので脳に直接コード繋ぎてぇってなる。
www.nicovideo.jp
でも煩悩で汚染されたコードができそう(笑)。
そういえば今回、音声でコーディングした人はいなかったね。
ですね。
him0さんとも音声入力を試してみているけどあまり上手く行ってないですね。音声入力だと他のこと考えられなくなるんですよね。
わかる。喋っているとキーボード入力が遅くなるのと感覚近いかも。
僕も喋りながら議事録取れないわ。
他のこと考えていても入力できるキーボードというインターフェース、一周回ってすごいのでは?
俺タイピングしている時息してないんだよね。
え???
スクリーン無呼吸症候群って呼ぶらしい。
集中しすぎると息ができなくなる感じですか。電脳化するとより集中力使いそうだから、入力中息できなくなるかも。
今のうちに肺活量鍛えておきましょう
終わりに
LLMの進歩とともにエンジニアリングの現場は大きな変化が生まれ、毎週のように新しいモデルや新しいツール、効果的な使い方の情報が発信されています。社内で利用されるツールもここ半年間でCline、Roo Code、goose、Claude CodeとLLM以前には考えられないペースで変化してきました。このように日々変化が発生している中でも、新しい技術に触れる上で大事なことはこれまでと変わらず、まず試しに自分で使ってみて感じたことを周りに共有することなのではないかと思います。
今回私たちはAIで雑にアプリケーションを作ってみる企画を実施して、実際に感じたことを雑多に話して共有しました。AIを利用して小さなアプリケーションを作る体験はAIの特性を学ぶ良い経験になったと思います。また、シンプルな条件の元でも挙動を知ることで、業務にどのように活用できるかの示唆も得られました。 これからもLLMの進歩とともに新しいツールが沢山生まれると思いますが、今回の企画のように、まず自分で使ってみて感じたことを周りに共有していこうと思います。
明日は、Shoさんから、Security Group for Podsについての記事が公開されます。明日も是非ご覧ください!
