脅迫の時効は何年ですか？ 元職場の女性に四年前に「自宅に放火する」と脅迫されました。 その後は一切の連絡手段を絶ったつもりですが、数年経ってからも自宅に押しかけるなどの事態に陥ったため、身の危険を感じ、引っ越しをしました。 今後もこのようなストーカー行為を受ける恐れから、放火予告の件と合わせて警察へ相談しようと考えています。 しかしその女が脅迫メールを送信してから４年近くが過ぎました。この件について警察への証拠提出や告訴は可能でしょうか？ 告訴は据え置いても、警察に証拠を提出した上で、その旨を先方に通告し、今後自宅に押しかけるなどの行為を行えば、ストーカー行為として警察を介入させる予定である旨を警告することは、法的に問題はないでしょうか？

脅迫罪（刑法２２２条１項）の公訴時効は、３年です（刑事訴訟法２５０条６号）。 よって、本件の脅迫罪については、女性が海外に居住していた等の時効停止理由がない限り、すでに公訴時効が成立しています。 公訴時効が成立している以上は警察は捜査ができませんし、相手方に告訴等をほのめかすと質問者が脅迫罪に問われかねません。 もっとも、恋愛感情から自宅に押しかけるといった行為で住居の平穏を著しく害させる行為はストーカー行為等の規制等に関する法律２条、３条によって禁止されています。 この行為について、女性に警告したり、警察に相談したりすることは法的に問題がありません。 ※参考条文 刑法 （脅迫） 第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、２年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。 刑事訴訟法 第250条 時効は、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。 1．死刑に当たる罪については25年 2．無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年 3．長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年 4．長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については７年 5．長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については５年 6．長期５年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については３年 7．拘留又は科料に当たる罪については１年 ストーカー行為等の規制等に関する法律 第二条 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。 一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所（以下「住居等」という。）の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。 第三条 何人も、つきまとい等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。 ※補足について 告訴の例ではありませんが、真実究明等ではなく怖がらせるだけの目的で実際にあった不正を告発する旨の発言をして脅迫罪に問われた例があります（大審院判決大正３年１２月１日）。 本件では公訴時効が成立しており、告訴しても真実究明や処罰はなされないのは明らかであるため、目的は単に相手の女性を怖がらせるだけなのではないかと見られる可能性があります（質問者がそう思っていなかったとしても捜査機関や裁判所がどう考えるかは別問題です）。 なお、怖がらせるだけの目的で告訴をする旨を発言することは「自由、名誉」に対する害悪の告知にあたります。