哲学では、もって回った言葉を使うので分かりにくくなりますよね。 英語で言うと、「形而下的」は「physical、material」、「形而上的」は「metaphysical」です（metaは超えるという意味）。 つまり、形而下は「形あるもの、物＝五感で確かめられるもの」、形而上は「形のないもの＝理念的・精神的なもの、頭で考えたり、心で感じて生まれてくるもの＝五感では確かめられないもの」です。 「心理学は、哲学から分派して科学を目指した。そのこと自体が矛盾であった。つまり、心という形而上的対象を、形而下の対象を扱う物理学と同じようなアプローチで解明しようとしたのである。そこから（形而下の）目に見える行動だけを研究対象とする行動主義的心理学や実験心理学が生まれたが、フッサールの現象学を契機に、行動観察や実験（という形而下的アプローチ）だけでなく、内省や深層面談から心の状態や心の働きを理解していく形而上的アプローチも心理学の方法論として認めようという機運が高まった。」 「我々は、普段はいくら儲かったとか、昼飯に何を食べるかといった形而下のことだけに頭を使いがちだが、時には、なぜ人間は生まれてきたのか、生きる意味とは何かといった形而上的なことを考える時間も持つべきである」 難しく考えずに、「形而上的に」とは「頭で考えたり心で感じたりして」と同じだととらえればいいと思います。あるいは、もっとシンプルに、「形而下的とは、物質的。形而上的とは、精神的。」と考えてしまってもかまいません。