検察官の階級（厳密に言うと「種類」）は、検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事の５つだそうですが、「検事正」というのはこれとは次元の違う概念なのでしょうか？

結論から言うと、「検事正」は検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事といった“身分上の区分”（＝検察官の種類）とは別個に定められている“役職名・ポスト”という位置づけです。つまり「検事正」は、法律上定められた「検察官の種類」そのものではなく、地方検察庁のトップを指す職名であり、「検事正」に任命されるのは通常「検事」（場合によっては検事長クラス）が充てられています。 検察官の身分上の種類（公的な区分） 日本の検察庁法で定められている「検察官の種類」は、大きく次の５つです。 1. 検事総長 最高検察庁のトップ。日本の検察官の最上位。 2. 次長検事 検事総長を補佐する立場。 3. 検事長 高等検察庁のトップ。 4. 検事 一般に「プロパーな検察官」という場合、多くはこの検事を指す。 5. 副検事 検察官の準キャリア的存在。裁判官や検察官の資格は有していないが、一定範囲の職務を行う。 「検事正」とは何か • 検事正 地方検察庁のトップ（例：東京地方検察庁検事正、大阪地方検察庁検事正）を指す職名で、上記の五つの「身分上の種類」には含まれません。 たとえば「○○地方検察庁の検事正」に任命された場合、その人の検察官としての身分区分は「検事」であることが多く（ごく稀に検事長クラスの場合もあります）、そのうえで“地方検察庁を統括する長”として「検事正」を務めます。 よくある混同 • 「検事長」と「検事正」はどちらも「トップ」のイメージがあるため混同されがちですが、実際には下記のように管轄が異なります。 • 検事長：高等検察庁のトップ • 検事正：地方検察庁のトップ • 「検事正」は、身分上は「検事」としての区分に属し、職掌・管轄の範囲が広い役職である、というイメージをもつとわかりやすいでしょう。 まとめ • 「検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事」の５つが検察官の“種類”（身分区分）。 • 「検事正」は地方検察庁のトップを指す“役職名”であり、検察官の種類そのものとは別。 • 実際には「検事」の身分をもつ者が「検事正」に任命されるケースが一般的。 このように「検事正」は五つの身分区分（種類）とは次元の異なる概念であり、特定の検察官が兼ねるポストである、と理解していただくと整理がつきやすいかと思います。