AKBは、スポンサー(経済界)、マスメディア(TV、雑誌等)等が利害関係をを共にする広告ブランドとして確立しています。
これは、結成時期から秋元氏が描いたシナリオであり、広告媒体をフルに活用した戦略です。
結成当初から世間へ派手にアピールするのではなく、上記の業界を利用しながらジワジワと浸透させ、時期を見て一気に露出させました。
結成当初は、「目標はモーニング娘。」と言うような、このマーケットのトップブランドの名前をさりげなく利用し、活動を開始します。
しかし、それ以降は、AKB側からモーニングと言うワードは暫く消えます。
AKBブランドの知名度が上がりだし、モーニングブランドが若干劣化し始めると久しぶりに「ライバルはモーニング」と言うようなマスメディアの情報が出始めます。更に時間の経過と共に「モーニング娘。との世代交代」と言うように表現を変化させていきます。
こうして、マーケットのトップブランドの名前を引き合いに出しながら、その表現を変化させる事で世間のイメージを切り替えて行きました。
これがマスメディア戦略です。これは、モーニングに関わらない部分でも展開させており、AKBというユニットの活動とは別に、広告ブランドとしての価値が上がるように仕組まれており、それまでの秋元氏の実績、信頼を盾に、このブランドは必ずトップブランドになると言う前提で、スポンサー及び番組製作担当者、製作会社を繋ぎ合わせ戦略を展開しました。
一方、モーニング娘。には、そうした政治的戦略は殆ど有りません。不景気と言う時代背景でのヒット商品候補として、勝手にマスメディアやスポンサーが担ぎあげてしまったブランドです。
つんく♂自体、紅白出場が出来たら解散させ、ソロ活動させる方向性で動いています。
全盛期は、戦略ではなく、世間に祭り上げられた状態でした。
更に、デビューの経緯からTV東京の影響が強く、現在に至ってもTV東京ミュージックが、モーニングの著作管理を継続しています。
祭り上げられた全盛期に、このTV東京の独占力が強く、有る意味、それ以外のマスメディアの反感は強かった。
ただ、祭り上げられたトップブランドのブランド力が予想以上に強く、反感を持ちながらも利用せざるを得なかったという状況です。
当然、マスメディアやスポンサーを巧みに使った秋元戦略は、こうしたモーニングの失敗経緯が反面教師となり、マスメディアやスポンサーを見方に付けた秋元戦略が一気に形勢を逆転しました。
つまりモーニング娘。は業界に敵が多いと言う事であり、ある時期を境に一気に逆風が吹き荒れた訳です。
ただ、所属するアップフロントは、自社で責任を持って活動する場を作れる会社であり、所属タレントを大事に育成するスタンスがある。敵が多い環境でも、しっかり活動する場所を確保しているから、継続出来ていると言う事です。
CD販売においても、最近では、自社レーベル単独の販売ルートだけで、推進しています。
確かに、不利な状況ではありますが、逆に色々な付き合いが求められる訳でも無く、気を使わない環境でもあり、自社のペースで運営出来ると言う見方も出来ます。
AKBと電通が・・・なんて話が聞かれますが、元々、そうなるように展開しているのだから当たり前な訳です。
利害関係を共有する事で、ブランドのイメージアップ情報は拡大され、イメージダウン情報は縮小される。
ライバル関係に当たるアイテムの情報は逆のパターンとなり、偏った情報操作がされる訳です。
ただ、秋元氏がAKB結成時に描いたこのシナリオに大きな誤算がありました。それはネット情報の普及の早さと拡大です。
マスメディア情報で世間をコントロールしても、現在ではネット情報が盛んであり、様々な疑問や苦情がリアルタイムで流されてしまう。
・AKBに関する過剰報道
・AKBと電通の癒着の都市伝説
・ハロープロジェクト潰しの都市伝説
更に・・・
・フジのめざましTV内のオリコン順位発表で2位獲得のモーニング娘。の部分だけがカットされた事。(日テレも同様)
・ミュージックステーションに不自然にモーニング娘。が出演しない事。
こうした、ネット情報が目立ち始めて来た。
最近、めざましTVは、そんな情報をカムフラージュするようにモーニング娘。を取り上げる様になった。しかし、前後に必ずAKB情報を入れる。
ミュージックステーションでは、質問者さんの疑問の様な中途半端な情報発信をする。
今、秋元氏の情報戦略に歪が出ているのは確かです。
確証は無いにしても、露骨な情報の偏りや情報操作が話題になれば、マスメディア自体の信頼性を取り戻すため、スタンスを修正せざるを得ないでしょう。
面白いのは、スポンサーに影響されないNHKの動向!
モーニングは、紅白以外のNHKには結構出演している。これが本来のNHKのスタンス。
しかし、NHKの代表番組である紅白歌合戦は、国民的歌番組という位置に有りながら、長い間低迷し、評価を下げている。
評価を下げている要因は、視聴率の低迷だが、実際は、民放とスポンサー、マスメディアが手を組み、紅白歌合戦に対する批判的情報を世間に発進し続けてきた、ある意味成果なのです。
いつしか、NHKの代表番組であるがゆえの紅白歌合戦は、その威厳を失い、民放や世間に迎合し始めた。
つまり、関係の無い所で秋元戦略に迎合してしまったという事でしょう。
最後にもうひとつ・・・
秋元戦略の実例を紹介したい。
モーニング娘。をデビューから押し上げ、全盛期を支えたTBSの「うたばん」と言う番組の構成は秋元氏である。
そして、そのMCを務めた、石橋貴明はとんねるずであり、その共同作業者に秋元氏が名を連ねている。
モーニング娘。は、この長寿番組の中で出演回数51回と断トツの首位である。(2位SMAP38回)
おにゃんこの秋元氏がモーニング娘。に興味を持つのは言うまでも無いが、この番組でのモーニング娘。の扱いの変化が面白い。
デビューから全盛期そして2005年辺りまでは、とにかく、モーニングと石橋、中居(石橋と同様にMC)が絶妙に絡み、メンバーのキャラを押し上げた。
しかし、徐々にそのスタンスが崩れて行く。2007年辺りには「最近面白くないんだよな」「インパクトが無いんだよ」等と、以前ならインパクトの無いメンバーだった保田をピックアップしていたのに、この当時の石橋は、批判的意見だけに終始する。
更に、全盛期の映像や、OGを出演させ、現役の力不足を必要以上にアピールする。
トップブランドに成長したモーニング娘。のイメージを全盛期のまま止めるように世間に浸透させた。
この変化をAKB(2005年結成)の経緯とリンクさせると、秋元氏の戦略が見えて来る。
そして、これだけの番組に、AKBの出演が極端に少ないのも不自然である。
女性アイドルと言うマーケットのトップブランドを上手く利用しながら、AKBと言うブランドを着実に育てた戦略が覗える一例である。
こうして振り返れば、あまりにも露骨な戦略に気が付き、そんな批判がネット上に目立つようになった。
そろそろ、マスメディアもAKBの弱点を探し始めだしながら、AKBブランドとの決別の機会を模索しているようにも見える。
もっとも、その結果がどうであれ、モーニング娘。及びハロープロジェクトは、そんな事に影響されない独自路線を進んでいるのが現実である。
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クオリティーとは、国内の話題性や流行に影響されない親日的な海外の関係者や愛好家に、日本に存在する色々な音楽やパフォーマンス映像を持ちこみ選んでもらって、「これ!」って選ばれる事だと考えている。
自分はアイドルを作ろうと思った事は一度も無い。
常に音楽性やパフォーマンス性に拘って作品を制作しているし、クオリティーを意識している。
必ず、評価されると思っている。だから、評価された時、一度でもそのスタンスを崩してしまっていると後悔することになる。
だから、モーニング娘。の9期-11期のパフォーマンスもこれからどんどんクオリティーを上げて行く。
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つんく♂の言葉です。
こうしたスタンスがある以上、流行や世間に迎合しない。
だから、AKB云々よりも、万人に愛されよう受け入れられようと思っていない。
それが、現状の環境を作った大きな影響なのかも知れない。
それで、良いと私は思っています。
芸能人は人気商売で有る前に、”芸の技”を売る商売だと思っています。
流行や早い浸透性を重視し、単純化する商業音楽より、音楽性、芸術性を重視したつんく♂のスタンスを私は評価しています。