なぜ、客席にポツリと空いた あの一つの席は、 誰もが気づきながら、誰も触れようとしないの？ 審査の点数が上がるたび、 どこかで聞こえるはずの あの「おもろいやないか」という声は、 今宵、どこへ消えたの？ 漫才の本質を問う声が、 この劇場の隅々まで響いていた日々は、 空気のように当たり前だったはずなのに、 なぜ今更、その大切さに気づくの？ 若手たちの涙と笑いが交差する舞台で、 松本人志という巨星の不在は、 誰の心の中でも、 満点を意味しなくなってしまったの？ あの独特な間と、 鋭い視線と、 容赦ない言葉の数々は、 いつまた戻ってくるの？ それとも私たちは、 新しい時代の幕開けを、 ただ静かに受け入れるべきなの？