我が家に『わたしたちの道徳』がやってきたよ!

以前のエントリで高学年用を取り上げた文部科学省の道徳教材『私たちの道徳』。上の子に聞いてみたところ教室には置いてあるけれども持って帰る予定はないとのこと。
しかし、先日下の子が低学年用を持ち帰ってきた。どうやら一人1冊配布された模様。高学年用で疲れて低学年用はちゃんと見ていなかったので、この機会にパラパラとめくってみた。

また『心のノート』とひとつひとつ比較していくのはくたびれるので、めくっていて少しひっかかった分だけ確認。結果、ひとまずは下の3点。

こころのノート48〜49ページに、「ありがとうをさがそう」というタイトルのイラストがある。黄色いニコニコしたキャラが「ありがとう」で、それがどんな場面であるか考えさせようというものらしい。
一方、わたしたちの道徳82〜83ページのイラストも趣旨は同じだが、こころ〜ではキャラや動物で描かれていた町の人々がすべて人のイラストになり、その結果として人物の性別がこころ〜よりも明確になっている。そしてそれらの人物の性別を確認してみると、職業を持っている人は全員男性、家事をしていたり子どもを連れている人は、横断中の人物(少年?)を除いて全員女性として描かれているようだ。こころ〜でも服装から判断する限りその傾向はあったものの、キャラ部分については男女どちらとも見ることができる余地があったのだが、わたし〜では性別役割分担が明確化されてしまった。

さらに、続くページの「ありがとうカードを送ろう」というところにもそれは現れていて、こころ〜では「ありがとうカード」を送る相手の例として6年生が出ていたのが、わたし〜では「お母さんへ いつもごはんの用意をしてくれて、ありがとう。 お母さんが 作ってくれるおみそしるは、とてもおいしいです」ときたもんだ。ちなみに「おかあさん おいしいごはん ありがとう」とか「おかあさん おいしい料理 ありがとう」とかは、親守詩の上の句の定番みたいっすね。以前某所で展示されてた親守詩作品のほとんどがそんな上の句だったもの(たぶん見本がそんなんだったんだろう)。

それと、こころ〜82ページ、わたし〜140〜141ページの家族に関する部分。こころ〜では「お父さんが 帰ってきた。 とてもつかれた顔を していたので、 ぼくが、『かた、たたいてあげようか。』と言うと、にこっと わらった」「はじめて おるす番を しました。わたしは、弟がないてしまったらどうしようと思いました。でも、お母さんには、『いってらっしゃい。』と、にこにこして 言いました。」と、かろうじて仕事とも私用での外出とも受け取れる内容だった。
わたし〜では「お父さんが、しごとから帰ってきました。お父さんは、つかれた顔をしていたので」「お母さんは、いそがしそうに夕はんのしたくをしています。」と、ここでも「お父さん=仕事、お母さん=家事」である。

というわけで、高学年用ほどのインパクトはないし、低学年用はこころ〜もわたし〜もポエム感が強くて正直どっちもどっちなんだけど、安倍・下村的ジェンダー観がずいぶんと反映された内容になった点が注目だね!